作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ジョナサン・ノット/東響の「ドン・ジョヴァンニ」(ミューザ川崎)

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旅行記の途中ですが、猛烈に良かったコンサートレポートを書いておきましょう。

ちなみに現在記載中の旅行記の旅行から帰ったのが12月1日金曜日。実はその翌日12月2日にもコンサートのチケットをとってあり出かけました。東京芸術劇場で行われた読響のコンサート。目玉はドラムの名手、ピーター・アースキンのためにイギリスの作曲家マーク=アンソニー・タネージが書いたドラムス協奏曲「アースキン」の日本初演。こちらの方は時間があれば、別途触れることにして、本題に入りましょう。

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東京交響楽団:コンサート情報:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

このコンサートは、昨年同じくノットと東響での「コジ・ファン・トゥッテ」があまりにも素晴らしかったんで、早くからチケットをとってあったもの。ノットと東響のコンサートは最近かなり行ってます。

2017/10/15 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の86番、チェロ協奏曲1番(東京オペラシティ)
2017/07/23 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「浄められた夜」、「春の祭典」(ミューザ川崎)
2017/07/17 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響のマーラー「復活」(ミューザ川崎)
2016/12/12 : コンサートレポート : ジョナサン・ノット/東響の「コジ・ファン・トゥッテ」(東京芸術劇場)

ノットと東響のコンサートは最近お気に入り。「コジ・ファン・トゥッテ」がかなり面白かったことから通い始めましたが、前回聴いたハイドンの86番は、ちょっとせせこましくて、ノットの指揮する演奏では今ひとつな印象で、逆にハイドンの演奏の難しさというか、奥行きを再認識した次第。

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この日のコンサートの配役は以下のとおり。

指揮&ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット(Jonathan Nott)
ドン・ジョヴァンニ:マーク・ストーン(Mark Stone)
騎士長:リアン・リ(Liang Li)
ドンナ・アンナ:ローラ・エイキン(Laura Akin)
ドンナ・エルヴィーラ:ミヒャエラ・ゼーリンガー(Michaela Selinger)
レポレッロ:シェンヤン(Shenyang)
マゼット:クレシミル・ストラジャナッツ(Kresimir Stražanac)
ツェルリーナ:カロリーナ・ウルリヒ(Carolina Ullich)
ドン・オッターヴィオ:アンドリュー・ステープルズ(Andrew Staples)
合唱:新国立劇場合唱団
演出監修:原純(Jun Hara)

入り口で手渡されたプログラムには「【謹告】出演者変更のお知らせ」というチラシが挟まれ、主役のドン・ジョヴァンニとドンナ・エルヴィーラの歌手が急病のため当初の予定から変わったとのこと。

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この日の開演は15:00ということで、いつものように少し早めについて、ホワイエで嫁さんとワインを楽しんプログラムやらチラシやらをチェックして開演時刻を待ちました。この日の配布物には「オペラ『ドン・ジョヴァンニ』を彩る楽器たち」というチラシが含まれていましたがこれが秀逸。ハンマー・フリューゲル、ティンパニ、マンドリン、トロンボーン、オーボエ、クラリネットなど演奏に使われる楽器の解説が書かれていますが、内容が非常に良くできていて役にたちました。制作はリトルミューザという小学生から高校生までのコミュニティ。これはいい取り組みですね。

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席はお気に入りのステージ右側の2階。歌手は横から聴くことになりますが、何より指揮姿はよく見えますし、オケの響きも程よくダイレクトで音響は申し分なし。

ステージ上には演出用に白と赤の布がかけられた大きな箱が一つ置かれています。ティンパニはバロックティンパニ、そして先ほどのチラシに解説があったハンマーフリューゲルが中央に置かれています。

開演時刻になり、オケのメンバーが登場し、チューニングを終えるとノット登場。序曲からタイトに引き締まったビヴラートを抑えた古楽器風の響きに包まれます。前回の「コジ・ファン・トゥッテ」同様、アクセントをきっちりつけ、フレージングは非常に表情豊か、そしてテンポはかなり自在に動かしながらゆったりとしたところときりりと引き締めるところの対比を鮮明につけ、軽やかなところの爽快感はノットならではの高揚感。やはりモーツァルトはノットの演奏スタイルに合っているのでしょう。序曲が終わって、ハンマー・フリューゲルを実にニュアンス豊かに自ら弾きながら音楽を紡ぎ出していく様子は見事。ハンマー・フリューゲルの入り一つで曲のニュアンスが変わってしまいますので、他の人に任せるわけにはいかないのでしょう。歌手の主役のドン・ジョヴァンニ役はイケメンバリトンで代役ながら素晴らしい演技と歌唱。レポレッロはちょっと太め(笑)で道化役にしてはちょっと演技のキレが悪いですが、歌はよかったです。そして最初に殺されてしまう騎士長は役に負けない素晴らしい声量のバスで迫力十分。ドンナ・アンナは抜けるようなクリアなソプラノで役の期待通りの美しいソプラノ、ドン・オッタヴィーオは実に味わい深い円熟の演技が光るテノール。そして物語の展開を左右するドンナ・エルヴィーラはこちらも代役ながら演技力も歌唱も見事なレベルで、代役とは思えない素晴らしい存在感でした。そのほかツェルリーナ、マゼットとも含めて歌手は皆見事な演技と歌唱ということでジョナサン・ノットによると思われる歌手の配役は皆レベルが高くこれも見事。
第一幕ではモーツァルトの書いたアリアが次から次へと湧き出てくる素晴らしさを堪能できました。特にレポレッロのカタログの歌の軽やかなオケ、そして何より登場人物それぞれの複雑な思いが交錯しながら一つのメロディーにまとめ上げて行くモーツァルトの見事なアンサンブルが味わえる第一幕半ばの四重唱と第一幕最後のアンサンブルの見事なことと言ったらありませんでした。
オケはバロックティンパニの硬質な響きで引き締まって迫力十分。小規模オケにも関わらずキレ味鋭い俊敏な反応でミスらしいミスはなしで完璧でした。
25分の休憩を挟んで第二幕でよかったのはマンドリンの伴奏によるドン・ジョヴァンニのカンツォネッタ「窓辺にいでよ」。舞台下手から登場したマンドリン奏者の女性がドン・ジョヴァンニの横に座って奏でるマンドリンの響きの美しさは素晴らしかった。そして女心を射止めようとするドン・ジョヴァンニの歌が引き立ちました。そして何と言ってもハイライトはやはり最後の騎士長が登場する地獄落ちの場面でしょう。騎士長の亡霊がノックするところから始まる最後のクライマックスは迫真の歌唱と演奏。演出ではドン・ジョヴァンニが拳銃自殺してしまうという落ちでしたが現代風の演奏会形式の舞台にマッチしていてなかなかよかったです。終曲ではドン・ジョヴァンニが生き返って歩き回る大団円。最初から最後まで緊迫した歌唱と演奏に惜しみない拍手が送られ、ノットと歌手陣が何度も何度も呼び戻されるカーテンコールが続きました。

昨年のトーマス・アレンを中心とした歌手陣もよかったですが、このドン・ジョヴァンニのメンバーも実に良かった。そしてノットと東響も素晴らしい演奏で舞台を盛り上げました。非常にレベルの高い舞台にこの日の観客は熱狂。心に残るコンサートとなりましたね。

プログラムには早くも来年の12月にフィガロの結婚が組まれるとの速報が掲載されていました。ノットの素晴らしいモーツァルトのダポンテ3部作が完結することになりますね。こちらも必聴でしょう。

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