作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アントニオ・ヤニグロ/ウィーン祝祭管の哲学者、ラメンタチオーネ(ハイドン)

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ちょっと間が空いてしまいました。最近手に入れたLP。

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アントニオ・ヤニグロ(Antonio Janigro)指揮のウィーン祝祭管弦楽団(Orchestra of the Vienna Festival)の演奏で、ハイドンの交響曲22番「哲学者」、歌劇「騎士オルランド」序曲、交響曲26番「ラメンタチオーネ」、歌劇「無人島」序曲の4曲を収めたLP。収録に関する情報はレーベル面にヨーロッパで1965年に録音されたとだけ記載されています。レーベルはVANGUARD。

アントニオ・ヤニグロのアルバムは何度か取り上げています。

2013/07/18 : ハイドン–協奏曲 : ヘルムート・ウォビッシュ/アントニオ・ヤニグロのトランペット協奏曲
2012/04/26 : ハイドン–交響曲 : アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の「受難」
2012/04/24 : ハイドン–交響曲 : アントニオ・ヤニグロ/ラジオ・ザグレブ交響楽団の「悲しみ」

ラジオ・ザグレブ交響楽団との2枚組のCDが有名で、交響曲の録音はそのアルバムに含まれる6曲のみかと思っておりましたが、さにあらず。好きな「哲学者」と「ラメンタチオーネ」が含まれるこのLPを見つけた時はちょっと過呼吸になりました(笑)。このLP、モノラル盤ですが、ステレオ盤もあるということで、そちらも見かけたらゲット予定です。

ヤニグロについては「悲しみ」の記事をご覧ください。

入手したLPはジャケットも盤面も見事なコンディション。いつものようにVPIのクリーナーと必殺美顔ブラシで綺麗にクリーニングして針を落とします。

Hob.I:22 Symphony No.22 "Philosopher" 「哲学者」 [E flat] (1764)
1楽章のアダージョは独特のリズムが整然と刻まれながら入ります。多少古びた響きの印象はありますが、淡々としながら実に彫りの深い見事な演奏にのっけからぐっときます。特に単調なリズムに乗って奏でられるヴァイオリンの透明感溢れる美しい響きやホルンの柔らかな響きが印象的。聴いているうちにこの曲の不思議な雰囲気にのまれます。
続く2楽章がアレグロで、ギアを2段上げて、颯爽とした演奏に切り替わります。1楽章で響きの美しさを聴かせたヴァイオリンが、今度は松脂が飛び散らんばかりのボウイングできりりと引き締まって音階を刻みます。素晴らしい推進力に圧倒されます。メヌエットも覇気溢れる堂々としたもの。弦楽器の見事に揃ったボウイングで分厚い響きが素晴らしい迫力を感じさせます。そしてフィナーレでもその弦の迫力が聴きどころ。ホルンや木管も見事に揃って素晴らしい一体感。湧き上がるような見事なクライマックスで締めます。

Hob.XXVIII:11 "Orlando Paladino" 「騎士オルランド」 (before1782)
3分少々の短い序曲。短い曲にも関わらずオペラの幕が開ける前のざわめきを伝えるハイドンの見事な構成に唸ります。前曲同様ウィーン祝祭管の弦楽陣の優秀さを感じさせる精緻なアンサンブル。

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LPをひっくり返してB面です。

Hob.I:26 Symphony No.26 "Lamentatione" 「ラメンタチオーネ」 [d] (before 1770)
シュトルム・ウント・ドラング期独特の仄暗い1楽章の入り。彫り深くタイトな響きは哲学者同様。メロディーラインが明確な曲なんですが、ヤニグロのコントロールで聴くと内声部が豊かに響きます。速めのテンポで颯爽とした展開。
聴きどころの2楽章のアダージョは幽玄さを感じさせるような味わい深いもの。淡々としながらも実に丁寧にメロディーを紡いでいき、古風な雰囲気と陰りのある音色が絶妙な響きを作り、心を震えさせます。これは見事。ハイドンがこの曲を書いた時代にタイムスリップします。時折り印象的なアクセントを打ち込みます。
フィナーレまでオケの燻んだ音色の魅力は続きます。ただ古風な演奏というのではなく、ヤニグロが絶妙な味わい深さを加えています。これまた見事に曲を閉めました。

Hob.XXVIII:9 "L'isola disabitata" 「無人島」 (1779)
最後の曲。こちらは7分少々の曲でオルランド序曲よりも展開の面白さが味わえます。序奏に続いて湧き上がるような主題に入り、続いて物語りの展開を暗示させる典雅な音楽。そして再びタイトな主題で締める完璧な構成。ヤニグロ流の彫りが深く起承転結が明快なコントロールでこの緊密な序曲をキリリと仕上げました。

イタリアの名匠アントニオ・ヤニグロによる、あまり知られていなかった「哲学者」、「ラメンタチオーネ」他序曲2曲を収めたLPでしたが、有名なラジオ・ザグレブ交響楽団との交響曲集に劣らず素晴らしいものでした。自身がチェリストであるためか、弦楽器の扱いが秀逸で、響きを巧みにコントロールして分厚さとキレを両立させた見事な響きを作り上げていました。少々古風な印象もありますが、この哲学者とラメンタチオーネという曲にはそれが味わい深さとして見事にマッチしています。評価は全曲[+++++]とします。

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