作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ダヴィド・ゲリンガス/RIASシンフォニエッタのチェロ協奏曲1番(ハイドン)

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今日は最近手に入れたLPです。

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ダヴィド・ゲリンガス(David Geringas)のチェロ、レオポルド・ハーガー(Leopold Hager)指揮のRIASシンフォニエッタ・ベルリン(RIAS-Sinfonietta Berlin)の演奏で、ハイドンのチェロ協奏曲1番、ボッケリーニのチェロ協奏曲、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲1番の3曲を収めたLP。収録は1977年5月、ベルリンのRIASスタジオでのセッション録音。レーベルはeurodisc。

名チェリストゲリンガスのアルバムはこれまでにも結構取り上げています。

2017/07/13 : ハイドン–協奏曲 : ダヴィド・ゲリンガス/北ドイツ放送響のチェロ協奏曲2番(ハイドン)
2014/07/05 : ハイドン–協奏曲 : ダヴィド・ゲリンガス/チューリンゲン・ヴァイマル室内管のチェロ協奏曲2番(ハイドン)
2014/03/23 : ハイドン–室内楽曲 : ダヴィド・ゲリンガス/エミール・クラインのバリトン二重奏曲集(ハイドン)
2013/11/14 : ハイドン–室内楽曲 : ゲリンガス・バリトン・トリオのバリトン三重奏曲集(ハイドン)
2013/09/14 : ハイドン–協奏曲 : ダヴィド・ゲリンガス/チェコフィルのチェロ協奏曲集

ゲリンガスの素晴らしさを知ったのはCANYONからリリースされていたチェコフィルとのチェロ協奏曲集で、その後、出会うたびに色々集めてきたというのが正直なところ。協奏曲については2番の方がチェコフィルとの演奏の他に2組あったのに対し、1番の方はチェコフィル番のみ。おそらく1番の方も録音があろうと思っていたところに出会ったもの。オークションで見かけた時は若干過呼吸気味(笑)。しかも手元のゲリンガスの録音としてはもっとも古い1977年の録音ということで、ゲリンガスのオリジンに迫る録音であることがわかりました。1946年生まれのゲリンガスの30代の頃の録音ということになります。ジャケットに写るゲリンガスもレオポルド・ハーガーも実に若いですね。

このLPを聴く前に手元にあるチェコフィルとの1993年録音のCDの1番を聴き直してみましたが、指揮もゲリンガスが担当するだけにオケとの一体感が見事なのに加え、ゲリンガスの達観したかのような澄み切った表情とオケの透明感ある響きが素晴らしく、比較のために聴いたのにとろけちゃいました(笑)。

Hob.VIIb:1 Cello Concerto No.1 [C] (1765–67)
さて、肝心の当盤。レオポルド・ハーガーの振るオケの響きは穏やかで、鮮度抜群のチェコフィルの序奏と比べると若干おとなしい感じ。ゲリンガスのチェロもそれにつられて穏やかな入り。ただ、ゲリンガスのチェロの美音はこの頃から健在で、特に高音の伸びやかさはロストロポーヴィチ門下であることを感じさせます。ハーガーの落ち着いた伴奏に、ゲリンガスも落ち着いて美音で応えていくやり取りは円熟を感じさせるもの。聴き進むうちにめくるめくような暖かな楽興に包まれていきます。1楽章も終盤に至り、カデンツァの伸びやかな美音でクライマックスに。
続くアダージョは、ハーガーも思い切りテンポを落としてゲリンガスの伸びやかな美音の受け入れ態勢を整えます。ゲリンガスの弾き振りとは異なり、この辺りの阿吽の呼吸が協奏曲の醍醐味。ゲリンガスも老成したかのように達観しきった孤高のソロで応えます。演奏スタイルとしては時代がっかた印象もありますが、ゲリンガスの圧倒的な存在感の前にスタイル如何は消し飛んでしまいます。遅めのテンポから生み出される深い呼吸のメロディーによってこの曲のメロディーの美しさが完璧に描ききられます。カデンツァでの音量を落としてチェロの美音を極めます。
そして静寂を断ち切るようにフィナーレが鮮やかなメロディーが鳴り響くと雰囲気が一変。この対比の鮮やかさは見事。ゲリンガスはオケの鮮やかさを引き立てるように控え目に入りますが、徐々にボウイングに力が漲り、曲が進むにつれて陶酔の坩堝に突入。この変化に富んだテンポ設定、やはりハーガーの戦略でしょうか。ゲリンガスもその流れに見事に対応して素晴らしいクライマックスに至ります。最後はキレ良くまとめました。

ダヴィド・ゲリンガスのおそらく最初のチェロ協奏曲の録音。ゲリンガスは31歳ということで、若さ溢れる演奏かと思いきや、むしろ後年の録音よりも老成したような円熟味を感じさせる演奏でした。チェコフィルとの演奏が弾き振りだったのに対して、こちらはレオポルド・ハーガーの存在が協奏曲のソロとオケとの掛け合いの面白さに繋がっています。チェコフィル盤も廃盤となっていますが、Apple Musicなどで聴くことができますので、ご興味のある方は是非。このLPの評価は[+++++]とします。

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