作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ボロディン四重奏団のひばり(ハイドン)

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月末ですが、一本追加です!

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ボロディン四重奏団(Borodin Quartet)の演奏による、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」、モーツァルトの弦楽四重奏曲KV421(417b)、クラリネット五重奏曲KV581の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1958年。レーベルは露Мелодия(Melodiya)。

ボロディン四重奏団や、メンバーの一部で構成されたボロディン三重奏団の演奏はこれまで4度ほど取り上げています。

2012/09/17 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ボロディン四重奏団の十字架上のキリストの最後の七つの言葉
2012/07/02 : ハイドン–室内楽曲 : ボロディン三重奏団のXV:27
2011/08/21 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】ボロディン四重奏団のロシア四重奏曲
2011/08/06 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : ボロディン弦楽四重奏団の十字架上のキリストの最後の七つの言葉ライヴ

一番下の記事に書いたように、ボロディン四重奏団は終戦の年1945年に結成されたクァルテットですが、メンバーを替え現在も活動している世界でも最も活動期間の長いクァルテットの一つ。最初に取り上げた「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」のライヴは鋼のような引き締まりまくった素晴らしい演奏が鮮明に印象に残っています。そのあと比較的最近の録音を取り上げていますが、今日取り上げるアルバムは手元の録音の中でも最も古い1958年の録音。ボロディン四重奏団のオリジンに迫ることができるでしょうか。
この演奏のメンバーは以下のとおり。

第1ヴァイオリン:ロスティラフ・ドゥビンスキー(Rostislav Dubinsky)
第2ヴァイオリン:ヤロスラフ・アレクサンドロフ(Yaroslav Alexandrov)
ヴィオラ:ディミトリー・シェバリーン(Dmitri Shebalin)
チェロ:ユーリ・トゥロフスキー(Yuri Turovsky)

Hob.III:63 String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
なんと禁欲的な入りでしょう。各パートが引き締った音色を重ねますが、滲みも厚みも皆無。デッドな録音であることも手伝って非常にタイトなアンサンブル。鋭利な響きが耳に刺さります。ひばりという優雅な曲から優雅さを取り払って、真剣による居合いの勝負のような険しい響きになっちゃってます。アンサンブルの険しさは類を見ないほど。ヴァイオリンのドゥビンスキーのボウイングに隙はなく、他のメンバーもそれに触発されて全く隙のない緻密な演奏にこちらも襟を正さざるを得ません。
続くアダージョでも、張りつめた緊張感はかわらず。本来は癒されるような音楽なのに、それとは正反対に緊張を強いるテンションの高さ。そう思って聴いているとチェロばぐっと踏み込んできて、音楽に厚みをもたらし、少し緊張をほぐしてくれます。緻密なアンサンブルだけにこうしたちょっとした変化が鋭敏に察せれ、それが音楽の豊かさをもたらします。
メヌエットでも鋭利な表現は変わらず。リズミカルなんですが鋭利さが鋭いアタックを印象づけ、舞曲とは感じられませんが、この曲の本質には関係ありません。パートごとにメロディーを重ねていくところでは滲みのない鮮明な録音によって重なりのおもしろさが鮮明によみがえります。そしてフィナーレは上下する音階を完璧に再現して、複雑な楽譜がさも簡単に演奏されているが如き磐石の安定感でまとめます。

こちらが想像した通りのボロディン四重奏団のタイトな響が聴かれtました。このあとのモーツァルトのクァルテットとクラリネット五重奏曲もこのクァルテットらしくタイトなものですが、最後に収められたクラリネット五重奏曲が絶品です。こちらは録音のせいかあじわい深い演奏。

ボロディン四重奏団のオリジンを知るべく取り上げた1958年メロディアによる録音。予想どおり超タイト、超辛口の演奏を堪能する事ができました。ボロディン四重奏団のオリジンはやはりこの引き締ったタイトさにありましたね。メンバーを替えて今もこの往時の響きがこのクァルテットの個性の雛形になっているということで、クァルテットの個性はメンバーのみにあらずということを証明しているようでもあります。もちろん評価は[+++++]とします。

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2 Comments

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だまてら

No title

メロディア、というか旧ソヴィエト時代のボロディンSQは、ショスタコーヴィチの演奏に象徴される、隙の無いというか息苦しい程の緊張感に溢れた演奏が特徴だったと思います。
当盤は未聴ですが、「ひばり」のレビューからもその事が伺えますね。
ドゥビンスキーとトゥロフスキーは、西側(確か北米らへん?)に居を移してから、ショスタコのP五重奏でも共演しているリューバ・エドリーナ(ドゥビンスキー夫人)と新生ボロディン・トリオを編成して、初期のシャンドスにかなりの録音を残しています。

  • 2017/10/02 (Mon) 06:15
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Daisy

Re: No title

だまてらさん、こんばんは。
ボロディンのこの演奏、まさに「隙の無いというか息苦しい程の緊張感に溢れた演奏」で、だまてらさん好みの演奏だと思ってました! この隙のなさは弦楽四重奏の演奏の一つの完成形ですね。ハイドンにはもうすこし緩さが欲しいと思わなくもありませんが、これはこれで素晴らしい演奏に違いありません。この対極はウィーンスタイルのコンツェルトハウス四重奏団の典雅な演奏でしょう。どちらのハイドンも魅力的なんですね〜、これが(笑)

  • 2017/10/05 (Thu) 00:02
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