作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

VPI HW-16.5でのレコードクリーニング作法

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最近LPを聴く頻度が上がっているのは当ブログの読者の皆様ならご存知の通り。世の中ハイレゾやネット配信がはびこる中、高齢者の懐古趣味とも思えるLPですが、どっこい最近は若者にもレコードの良さが認められつつあり、クラシック以外のジャンルでも新譜がLPで発売されたり、レコードプレーヤーなども新たな商品がどんどん発売されるなど、懐古趣味にとどまらないムーヴメントになりつつあります。かく言う私もディスクユニオンやオークションでLPを仕入れては針を落として、長年の時の流れをくぐり抜けた円盤から湧き出る音楽に浸って楽しんでいる次第。CDが世に出た以降は音楽を楽しむのはCDが中心でしたが、このところLPを聴き直してみると音楽を聴くという行為はやはりLPに分がありますね。

しかも昔はレコードのパチパチノイズに一喜一憂していたのですが、最近はノイズは気になりません。無論、加齢により高音域の聴力が落ちていることも一因ですが(笑)、やはり、VPIのレコードクリーナーを入手して以来、レコードをクリーニングして、盤を綺麗にして楽しんでいることも大きいですね。

このような境地に至るまでに色々と試行錯誤はしましたが、現在行ってるクリーニング方法でレコードのクリーニングについては一定のノウハウがたまりましたので、ここでまとめて紹介しておこうと思って本記事をまとめました。

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レコードのクリーニングは、以前はたいていの方がそうであるように、乾式のクリーナーでホコリを取るだけでしたが、それだとノイズにまみれた盤はどうしようもありません。大昔はノイズのひどいアルバムは水で洗ったり、ボンドパックなども試してみたことがありますが、かける労力ほどの効果があるわけではなく、また音楽をのんびりと楽しむ雰囲気ではなくなってしまうので、私にはちょっと合いませんでした。またレイカのバランスウォッシャーを使っていたこともありますが、そこそこの効果はあるものの1枚仕上げるのに随分な労力がかかり、こちらも長続きせず。レイカで盤を磨くのはさながら修行のような感じでした。

2014/04/04 : オーディオ : 【番外】LPレコードクリーナー到着

流れが変わったのはVPIのクリーナーを入手してから。爆音を立てて汚れた液を吸引してくれるのはむしろ快感。しかも盤もかなり綺麗になり明らかにノイズが減少し、物によっては新品同様の素晴らしい状態に生まれ変わります。ただし、VPIのクリーナーについてもそのまま使っただけよりも、いくつかの工夫をすることで、効果はかなり上がります。現在のクリーニング方法で大抵のアルバムはピカピカになりますので、その作法を公開します。なお、バキューム式のクリーナーはVPIの他にもかなり高額なもののあり、私はVPI以外は使ったことはありませんが、とりあえずVPIで十分な効果があり、コストをかける価値は十分にあると思います。



<ハイドン音盤倉庫式レコードクリーニング作法>

①検盤
LPを手に入れたらまず検盤です。ディスクユニオンでLPを手に入れる時にはカウンターでLPを目視検盤しますが、その検盤ではありません。レコードを手に入れ家に帰ったら、まずターンテーブルに乗せ、そしておもむろに顕微鏡を取り出します。顕微鏡といっても本格的なものではなく、こちら。



1000円ちょっとで買える、主に子供の学習用のものですが、これが絶妙に素晴らしい。まずは顕微鏡で音溝を覗いた画像をお見せします。

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これは上の顕微鏡の接眼レンズにiPhoneのカメラのレンズを近づけて撮っただけの写真ですのでコントラストなどはかなり低く見えますが、実際にこの顕微鏡で見ると、クッキリと音溝が見える上に、顕微鏡についているLEDライトによって埃がまるでダイヤモンドのようにクッキリと光り輝いて見えます。どうしてまず検盤かというと、レコードの汚れは音溝の奥まで達する汚れと表面的な汚れ、キズなど様々なものがあり、手に入れたLPの状態と、それをクリーニングした後の音、状態を知ることで、表面的に肉眼で見るLPの状態から、それがクリーニングで消えるものかどうかの勘を養うためなんです。古いLPの中には見た目は結構汚れているアルバムもありますが、意外とクリーニングで綺麗になり、ノイズもほとんどなくなるアルバムも多いものです。ですから店頭での検盤で良盤を見分ける力を養うために検盤が必要なんですね。写真はほぼ綺麗なアルバム。クリーニング後もこの程度ならノイズはほぼない状態になります。

顕微鏡の使い方ですが、拡大率が60〜120倍と高いため、最初はちょっと綺麗に見るのが難しいですが、コツは以下のとおり。

・まずLEDライトをオンして、倍率は最高の120倍にセットします。
・それを机などの上に置き、机の表面にピントが合うよう調節します。これは簡単。
・LPには顕微鏡がプラスチック製で軽いことから、私はLPの盤面に直接置いてしまいます。そうすることでピントがピタリと合った状態で盤面を確認できます。

最初は顕微鏡を浮かした状態で見ようとしていましたが、浮かした状態でピントを確保するのは至難の技。そっと置いてしまうのが一番確実です。なお、顕微鏡は置く前にエアダスターでホコリなどを吹き飛ばしておくと精神衛生上もいいですね。

②レコードクリーニング(VPI HW-16.5)
検盤が終わったら、クリーニングです。クリーニングにもコツがあります。

まずはクリーニング液。VPI HW-16.5本体に純正のクリーニング液がついていますが、これはなかなか高価な上に、クリーニング効果についても下記する液の方が高いです。このクリーニング液の作り方はネットで知ったものですが、安価でかつ効果も高くお気に入りです。

(クリーニング液)
精製水6、50%イソプロピルアルコール4、その混合液にドライウェル数滴たらします。
作り方は空の純正のクリーニング液ボトルに2/5イソプロピルアルコールを入れ、それを精製水で満たして作ります。

精製水はドラックストアで簡単に手に入ります。イソプロピルアルコールは消毒用としてこれもネットなどで手に入ります。またドライウェルは富士フィルム製でこれもネットで手に入ります。ドライウェルは昔はモノクロネガフィルム現像後の水切りに使いました。昔はコダックのTRY-XやPLUS-X、フジのネオパンSSなど、自分でよく現像したものです。純正液は匂いはあまり気になりませんが、この液はアルコール特有の消毒臭い匂いがしますので、換気には十分気をつけて使った方が良いでしょう。(自己責任でお願いします)

このクリーニング液は安価に作れますので、私は純正液の指定量よりも多目に使います。

(ブラシ)
ブラシは重要なポイントです。特にクリーニング後の盤面を顕微鏡でチェックするとブラシが重要であることがわかります。私は純正ブラシは使わず、こちらのブラシを使います。



2015/12/14 : オーディオ : LPは黒光りするほど綺麗に!(VPIレコードクリーナー用新兵器)

以前の記事で紹介したブラシは今も使っていますが、バージョンが変わり、現在はこのブラシが販売されています。私も予備に新型を2個購入してあります(笑) 本来は美顔用途のブラシなんですが、これがLPのクリーニングに絶妙な効果を発揮します。まずは毛先が非常に細く、音溝の奥に入ること。レコードのクリーニングをされている方の中にはデンターシステマ歯ブラシを使われている方がいらっしゃいますが、こちらは毛の細さは同等以上で密度と量は圧倒的。しかも電動で超音波振動しますので、まるでLPのクリーニングのために作ったかのような素晴らしさ。顕微鏡でクリーニング後の盤面をチェックすると純正のブラシとは効果が全く違います。

※そもそも美顔用途のブラシですが、当ブログで紹介したところ、LPクリーニング用に購入される方がかなりあるようで、amazonのよく一緒に購入されている商品として表示されている商品は「レコード乾燥台」と「LP用内袋」です(笑) 新たな需要を開拓したようです(笑)

この私製クリーニング液と美顔ブラシを使ったクリーニング方法は以下のとおり。

(液垂らし)
LPをVPIにセットしてターンテーブルを回します。そして私製クリーニング液をLP外周から内周に向けて垂らします。垂らす時に気をつけることは、最外周から1cmくらいのエリア、レーベル際がら1cmくらいのエリアには垂らさないこと。外周ギリギリに垂らすとブラシでこすった時にクリーニング液が外に溢れて裏側の盤面を汚します。また内側はレーベル面に液がかからないためです。液を垂らさない外周縁部、内周部には後でブラシで液を広げるようにすれば大丈夫です。垂らす量はブラシで伸ばした時に盤面全体が液で十分に覆われる量ですが、これはクリーニングを始める最初の面ではかなりの量になります。純正ボトルから内周、真ん中、外周にそれぞれ10cmくらい液を垂らすイメージです。というのも美顔ブラシがかなり液を吸いますので、最初の面は液をケチると液で面を覆うまでになりません。2面目以降はブラシが十分に液を含んでいますのでその1/2から1/3で良いでしょう。何れにしても液は多めの方がクリーニング効果は高いです。

(液伸ばし)
液を垂らし終わったら、外周1cm残した内側に、スイッチを入れてブルブル震えている美顔ブラシを下ろし、1周させブラシを上げます。このときは力はまったく入れず、液が盤面に広がるように伸ばすだけです。これで盤面の外側1/3に液が広がります。続いてLPの外周と内周の間の部分が1周するまでブラシを下ろして液を伸ばします。これで真ん中1/3。そして内周をレーベルの際から1cmくらいまでを1周。これで内側1/3。これで盤面の最外周1cm、最内周1cmを残して液が表面を覆う状態になりました。続いて最外周と最内周に液を伸ばします。最外周は盤の縁から1〜2mmのところまで攻めます(笑) 針を落とした時に最初にノイズを気にする部分ですので。ここでも液が覆うことだけ考えて力を入れません。レーベル側も同様、最内部の音溝まで攻めます。これで、盤面全体に程よく液が広がった状態になります。スプレーを使った盤などの中には盤面が液を弾いてしまう盤もありますが、多少弾いたところが残っても問題ありません。

(洗浄)
液が盤面を覆ったらクリーニング開始です。先ほどまでは液を伸ばすことだけを目的にしていましたので、力は入れず、ブラシを盤面に置くくらいの力でよかったんですが、これからクリーニング開始です。クリーニングは内周からやります。これは伸ばした液がホコリや付着物に染み込む時間を考慮すると、液を広げてから時間がたった方がクリーニング効果が高いため、外周を重視するとまずは内周から始めた方がいいわけです。かなり汚れた盤ではクリーニングを綿密にすると徐々にノイズがなくなっていきますので、それなりに根拠はあります。

まずは最内周、レーベルの際にブラシが触れない程度の位置にブラシを落とし、4〜5周ブラシを盤面に押し付けます。押し付ける強さは経験上、ブラシの毛が多少たわむ程度が良いでしょう。あまり強いと毛が寝てしまいますので音溝の奥まで届かない可能性もあります。またブラシを少し傾けてブラシ面と盤面が並行よりも少し手元が高くなるようにすると、ブラシの盤面への圧力が弱い部分から強い部分になるので良いような気がします。このようにして内周4〜5周、中周4〜5周、外周4〜5周というのが普通のパターンです。ブラシ自体が振動していますので、ブラシを支える手は動かさず、ブラシの振動で汚れを落とすイメージです。綺麗な盤では短め、逆に汚れた盤では長めに時間をとります。

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(ヴァキューム)
上記が終わったらブラシを置き、VPIの真骨頂、ヴァキュームに入ります。私はヴァキュームは4周と決めています。液の吸い取り漏れがなくなるのが4周くらいですね。

これで、一連のクリーニング作業は終わりですが、もう一つポイントを。

VPIのターンテーブル面はコルクが貼り付けられていますが、このコルク面、ホコリが目立たなくて良いのですが、逆にホコリが溜まりやすいんですね。クリーニング前のLPはホコリがついていることも多いので、まず片面をクリーニングした時、クリーニング前の面がコルクに接しているわけです。そしてもう片面のクリーニングのためにLPをひっくり返すと、今クリーニングした面がホコリだらけのコルク面に触れることになります。というわけで、このコルク面をクリーニングのたびに綺麗にする必要があります。私はエアダスターを手元に置いて、クリーニングの度にシュッとひと吹きコルク面のホコリを払うようにしています。

③乾燥
クリーニングしたLPはすぐに針は落としません。ヴァキュームしても溝の奥まで完全に乾いているとは限りませんので乾燥が必要です。ということで、LPを一定の枚数乾かすためにこれを使ってます。



なんとなく似たものは100円ショップにありそうですが(笑)、とりあえずこれを買って、クリーニング後の盤を立てかけて乾燥させます。しばらくしたら、やおら盤を手に取り、黒光りする盤面を目視チェックしてニンマリします。

④再検盤
クリーニングに慣れるまでは再度顕微鏡で検盤することをおすすめします。クリーニング前とクリーニング後でかなり変わりますので、それを確認して、クリーニング後のコンディションをチェックしましょう。

ちなみに、この時点でホコリがまだ多いようであれば、私はもう一度クリーニングします。かなり古めのモノラル盤などは、経過した時代なりに汚れているものもありますので、2度目のクリーニングは有効です。



如何でしょうか。ここまでのクリーニングですが、慣れると1枚に必要な時間は2〜3分です。私は中古盤を買った時は針を落とす前に必ずクリーニングして聴くようにしています。どんなに綺麗な盤でもこのクリーニングはしています。クリーニングした盤の方が伸びやかな音がする感じですし、汚れた盤よりは針を長持ちさせられそうな感じがするのが理由でしょうか。

こうして綺麗な盤面にクリーニングして聴くLPは時代を超えて演奏の息吹を伝えてくれます。レコードのコレクションをある程度お持ちの方はVPIを導入する価値はあると思います。手元の古びたアルバムが宝物に変わりますよ!





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