作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

カンブルラン/読響:メシアン「彼方の閃光」(サントリーホール)

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1月31日は楽しみにしていたコンサートに出かけました。

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読売日本交響楽団:第566回定期演奏会

シルヴァン・カンブルランの振る読響の演奏で、プログラムはメシアンの晩年の大作「彼方の閃光」。当ブログの読者の方ならご存知の通り、カンブルランが特別ご贔屓というわけではありませんが、カンブルランのコンサートには今まで結構な数通ってます。

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カンブルランはこれまでにハイドンも振っていますが、カンブルランのコンサートのお目当はやはり現代物。最初に聴いた春の祭典も良かったんですが、そのあとのデュティユー、ペトルーシュカ、シェーンベルク、リームなどどれも素晴らしい出来でした。ということで、カンブルランがメシアンを振るとのことで楽しみにしていたコンサートです。

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今週は仕事がお休み。年に2度の長期休暇をとならくてはいけないんですが、年度末を前に1月末に2度目のお休みを消化です。せっかくのお休みなのにちょっと風邪気味ということで、この日は車でサントリーホールに出かけました。だいぶ早めについたので、ホールの向かいのオー・バカナルでサンドウィッチで腹ごしらえ。

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のんびり開場時間を待っているうちに、ホールの前に人が集まり始めたのでお店を出ます。いつも通り入り口上のからくり付きのパイプオルゴールが鳴って会場時刻を知らせると、ホールの前の人がホールに吸い込まれていきます。この日はメシアン1曲というハードなプログラムでしたが、かなりの人出。現代音楽でもこれだけの人を集められるあたり、カンブルランの功績でしょうね。

チケットを取るのが遅かったので好きなRA席は取れず、少し高いRB席。RA席がオケの真横からなのに対し、少し客席よりからのため、眺めはいいですね。

メシアンの「彼方の閃光(Éclairs sur L'au-delà)」は1992年のニューヨーク・フィルの創立150周年を記念してズービン・メータとニューヨーク・フィルの委嘱により作曲されたもの。1987年から91年にかけて作曲され、初演は1992年10月5日、メータ指揮のニューヨーク・フィルによってされましたが、メシアンは初演を聴くことなくその年の4月に亡くなりました。曲のテーマは神の地、彼岸とエルサレムへの瞑想とのこと。

手元には、リリース時に話題となったラトルの振るベルリンフィル盤と、DGのメシアンの32枚組全集のチョン・ミョンフンの振るバスティーユオペラ座管の2組がありますが、どちらも聴いたのはだいぶ前。メシアンの独特の音楽は現代音楽の中でも我々日本人には理解しにくい音楽ではないでしょうか。武満やブーレーズ、デュティユーなどはなんとなく作曲の動機というかやりたいことがなんとなく想像できるのですが、メシアンの音楽の展開はこちらの想像をかなり超えたところにあり、それが面白さでもあるように感じます。全11楽章で、随所にメシアンが採譜した鳥の鳴き声が散りばめられ、晩年の作品らしく内省的、静的な深みに溢れた曲です。

難曲だからか、会場直後でもステージ上には多数の奏者が練習中。始まる前からホールに鳥の声が満ち溢れていました。

開演時刻となり、オケがステージ上に勢ぞろい。もちろん大編成ですが、特徴的だったのがグランカッサはあるのにティンパニはなし。パーカッションはかなりの数に上り、ウィンドマシーンもありました。また木琴のような楽器が3台登場しますが、これはシロフォン、シロリンバ、マリンバとのこと。音色的にもこのシロフォン、シロリンバ、マリンバがオケに加わることで独特の響きを産むことがわかりました。

カンブルランがステージ上に現れ、第1楽章のトロンボーンなどを主体としたコラールをゆったりとしたテンポで紡いでいきます。刷り込みはラトル盤ですが、ラトルが現代音楽らしい冷静な透明感でコントロールしていたのとは異なり、カンブルランはやはり色彩感を大事にしているのか、透明感よりはハーモニー重視でしっかりと管を鳴らして入ります。11楽章の構成は以下のとおり。

1.栄光あるキリストの出現 (Apparition du Christ glorieux)
2.射手座 (La Constellation du Sagittaire)
3.コトドリと神と婚姻した都 (L'Oiseau-lyre et la Ville-fiancée)
4.刻印された選ばれし人々 (Les Élus marqués du sceau)
5.愛の中に棲む (Demeurer dans l'Amour)
6.トランペットを持った7人の天使 - Les Sept Anges aux sept trompettes)
7.神は人々の目から涙をあまさず拭いたもう (Et Dieu essuiera toute larme de leurs yeux)
8.星たちと栄光 (Les Étoiles et la Gloire
9.生命の樹に棲む多くの鳥たち (Plusieurs Oiseaux des arbres de Vie)
10.見えざる道 (Le Chemin de l'Invisible)
11.キリスト、天国の栄光 (Le Christ, lumière du Paradis)

やはり眼前で大オーケストラが緻密な音楽を奏でていくのは迫力があります。この日の読響は精度抜群。ミスらしいミスはなく、カンブルランの棒に完全に集中できていました。ラトルが作品からちょっと距離を置いて冷静なコントロールに終始していたのとは異なり、カンブルランは積極的に音色をコントロールして丁寧に曲のメロディーを拾い上げ、フレーズの意味をかみしめるようにコントロールしていきます。大振りなアクションはいつも通りですが、メシアンのこの曲でも表情付けは緻密。同じフランス人だからでしょうか、音楽に共感したような踏み込んだところも多々あり、濃いめの演奏。素晴らしかったのが、フルートと木琴3台を中心とした鳥の鳴き声。鳥の鳴き声はあの世ではこう聴こえるのかと一瞬あちら側に行ったような気になります。楽章ごとに大きく表情を変え、特に5楽章の弦楽合奏の透明感、7楽章の木琴による鳥の描写の精妙さ、そして最終11楽章のトライアングルの微かなトレモロに乗った弦楽器による天上に昇りつめるような上昇感が印象に残りました。

約75分の大曲の最後にカンブルランのタクトが下され、ホールが静寂に包まれてしばし。そっと顔をあげると、暖かい拍手が降り注ぎ、カンブルランも読響の熱演を称えます。いやいや、この日の読響は上手かった。完璧な出来と言っていいでしょう。客席も満員とはいきませんが、9割方埋まり、しかもカンブルランのメシアンの熱演を皆称えるという、上質な観客でした。日頃はメジャー曲ばかりが取り上げられがちですが、このようなコンサートが埋まること自体、日本のコンサート文化も捨てたもんではありませんね。個人的には非常に感銘を受けたコンサートとなりました。



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終演後は皆笑顔で帰途につきます。私たち夫婦は、もちろん、いつも通り食事をして帰ります。最近お気に入りのホールの入り口向かいにあるスペインバル。

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食べログ:スペイン バレンシアナバル ブリーチョ

この日はちょっと風邪気味だったことから車で来ましたので、いつものようにワインガブリとはいきません。私はザクロジュース(涙)、嫁さんはサングリアを注文。

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いつも通り、入るとすぐに注文して、テキパキと運ばれて来ます。コンサート後なのでさらりといきたいところに、ピタリ。こちらはズッキーニのグラタン。

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最近いつも頼むムール貝のワイン蒸し。岩手産のムール貝がたっぷり。身も大きく食べ応えがあります。スープをパンに浸して食べるとなお旨し。

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そしてこちらはレンズ豆とチョリソの煮込み。こちらもお気に入りでいつも頼みます。チョリソの独特の風味が癖になる味なんですね。小一時間でお腹も満ちて、いい気分。本来ならワインをクイッといきたいところですが、車なのでそうもいきませんね。



さて、カンブルランは、今度はメシアンの「アッシジの聖フランチェスコ」を取り上げるそう。調べてみると4時間超のオペラとのことで、これはどうしようかと、、、(笑)

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