作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

H. R. A. Award 2016

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さて、大晦日ということでいよいよ当ブログの今年一年の総決算である今年のベストアルバムの選定です。これでもこの企画も今年で5年目を迎え、継続のみが力となってハイドン愛好家という超ニッチな皆さんには一定の影響力がある、、、ことになっています(笑)

当アワードに選定されても、賞金も賞品も賞状も発行せず、完全に個人の勝手表彰であり、選ばれたアルバムの奏者の方にも、レーベルにも音楽事務所の方にも何のメリットもありません。が、ハイドンの音楽を愛し、仕事に追われる中ハイドンの音楽ばかり聴き、10000近いハイドンの演奏を記録したディスコグラフィーを公開し、おそらく日本で最も多くハイドンの演奏のレビューをしている私が、2016年に聴いた演奏で最も心を打たれた演奏であるということの名誉は提供できると思います。

基本的には毎月選ぶベスト盤(Haydn Disk of the Month)の中から、各ジャンルのベスト盤を選ぶという流れになっています。ということで今年のベスト盤を部門別に選んでいきましょう。



【交響曲部門】

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2016/10/02 : ハイドン–交響曲 : 【新着】佐渡裕/トーンキュンストラー管の朝、昼、晩(ハイドン)

交響曲のアルバムは色々レビューしたと思って調べてみたところ、それでも20枚ほど。しかも今年はLPのレビューが多く、必然的に古い演奏が多かったですね。もちろん新譜もオッターヴィオ・ダントーネ、ジョヴァンニ・アントニーニ、ハリー・クリストファーズなどの古楽器の鮮烈な演奏が次々とリリースされ、そして日本でも飯森範親と日本センチュリー響による全集を志すシリーズなどもリリースされ、いずれも素晴らしい演奏でしたが、私が一番心を打たれたのは佐渡裕とウィーン・トーンキュンストラー管による、朝、昼、晩のアルバム。ハイドンの初期の交響曲の魅力が現代楽器で見事に表現されています。キビキビとしてキレ味鋭く、響は非常に豊か。佐渡裕がこれほど見事にハイドンを料理してくるとは思っていなかっただけに、非常にインパクトがありました。ムジークフェラインでのライヴで録音も極上。これはすべての人にオススメなアルバムです。ちなみに飯森盤も素晴らしい演奏でしたが、録音が音楽ファン向けというよりEXTONにありがちなオーディオマニア向けであまり好みではありませんでした。次点は9月選定のギュンター・ヴィッヒのパリセット後半3曲です。


【管弦楽・協奏曲部門】

今年は、Haydn Disk of the Monthで協奏曲のアルバムを選定していせん。新譜にも抜きんでたアルバムもなく、該当なしとします。あえて次点を挙げるとすれば、12月に取り上げたクレメンス・ハーゲンと1B1室内管のチェロ協奏曲でしょう。


【弦楽四重奏部門】

私の好みが室内楽の方に集中していたせいか、室内楽のアルバムは弦楽四重奏曲が20枚、室内楽が13枚、ピアノソナタが10枚とかなりの数を取り上げています。昨年はボビー・ミッチェルのピアノソナタ1点に絞りましたが、今年は室内楽部門を量に応じて弦楽四重奏部門とその他の室内楽部門に分割いたします。ということで弦楽四重奏はこちら。

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2016/11/23 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 【新着】キアロスクーロ四重奏団のOp.20(ハイドン)

弦楽四重奏は交響曲と並んでハイドンが確立した分野ということで、素晴らしい曲ばかりであり、素晴らしい演奏も目白押しでしたが、今年のトドメはやはりこのアルバムでしょう。アリーナ・イブラギモヴァ率いるキアロスクーロ四重奏団による太陽四重奏曲集。
これまでに様々な奏者が名演奏を聴かせてきましたが、これまでの演奏とは全く異なるアプローチ。同じハイドンの楽譜から生み出される音楽が、これほどまでにフレッシュに聴こえるとは思いませんでした。ハイドンの名曲を超個性的な表現でまとめた、創造力と刺激に満ちた素晴らしい演奏と言っていいでしょう。これは必聴です。 次点はモラヴィア四重奏団の「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」といたします。


【室内楽部門】

弦楽四重奏曲を除く室内楽やピアノソナタから選んだアルバムはこちら。このアルバムを外すわけには参りません。

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2016/01/21 : ハイドン–室内楽曲 : ヴィヴェンテ三重奏団のピアノ三重奏曲集(ハイドン)

今年の1月に取り上げた当盤、当ブログ始まって以来の評判となった衝撃のアルバムです。上の記事のコメントを読んでいただければわかる通り、元の記事を上回る量のコメントでこの演奏の凄さがさらにくっきりと浮かび上がります。私のみならず、ハイドンに造詣の深い読者諸氏の心も鷲掴みにした驚愕のアルバムです。もともと湖国JHさんから送っていただいたアルバムですが、CDプレイヤーにかけて最初の一音が鳴った時の衝撃は忘れられません。よくコメントをいただくSkunJPさんが岡本太郎が「何だ…これは!」と驚く姿をイメージしたほどの驚き。ピアノのユッタ・エルンストの恐ろしいまでのキレ方、そして火花散る見事なアンサンブルと、ハイドンのピアノトリオの演奏史上稀に見る素晴らしい演奏です。このアルバムを巡ってのブログでの盛り上がりを読者のだまてらさんがユッタ・エルンストにメールしてしまったほど! その後ブログにはドイツからのアクセスが増加しました(笑) このアルバム、まだ手に入りますので未聴の方は是非! 湖国JHさん、その節はありがとうございました!
次点には美貌のピアニスト、エイナフ・ヤルデンのピアノソナタ集、そしてデニス・コジュヒンのピアノソナタ集を挙げておきましょう。


【声楽部門】

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2016/04/03 : ハイドン–オラトリオ : コリン・デイヴィス/BBC響の「四季」旧録音(ハイドン)

最後は声楽曲部門です。今年はHaydn Disk of the Monthで選んだ声楽曲はこの1点のみ。コリン・デイヴィスといえば、コンセルトヘボウ管を振ったハイドンの交響曲集は名盤であり、またミサ曲などの素晴らしい録音もありハイドンを得意としてきた指揮者です。晩年にロンドン交響楽団の自主制作レーベルであるLSO Liveから交響曲集と天地創造、四季などをリリースしています。こうしたデイヴィスの多くのハイドンの録音の中でも、このアルバムをご存知な方は少ないでしょう。オケはBBC響、録音は1968年とかなり前のもの。しかし、この録音は多くのデイヴィスのハイドンの録音の中で、ベストなものだと断じます。冒頭からみなぎる覇気、晩年のロンドン交響楽団との四季のSACDよりも鮮明な録音で収録された未曾有の名演盤です。こちらも未聴の方は是非!
次点はカスタリアン・バンドのスコットランド歌曲集とします。


さてさて、ただいま大晦日の23:00少し前。ドタバタしているうちに、今年もあと1時間少々となりました。
今年も多くの方のお世話になり、細々とですがブログを書き続けることができました。振り返って見ると、2009年の12月から書き始めた当ブログもまる7年経過し、記事の方ももうすぐ1500記事に到達できそうです。これも日頃からいただくコメントなど、皆さんの励ましがあってのこと。あらためて皆さんのご支援に感謝申し上げます。これからも2032年のハイドンの次なるアニヴァーサリー目指して書き続けようと思いますので、変わらぬツッコミよろしくお願いいたします。

来年も皆様にとって良い一年でありますよう、お祈りしております!


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2 Comments

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だまてら

No title

坊主の年始もとうに過ぎて、七草のころになって遅まきながら明けましておめでとうございます。
アウォード2016はどれも甲乙付け難いですが、インパクトからすればやはり室内楽部門のトリオ・ヴィヴェンテに止めを刺しますね!この極東における栄えある受賞が、同トリオのプロジェクト進行の後押しになることを願って止みません。

  • 2017/01/07 (Sat) 20:35
  • REPLY

Daisy

Re: No title

だまてらさん、今年もよろしくお願いいたします。

今年もヴィヴェンテのような超絶名盤に巡り会えるよう、発掘を続けますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

  • 2017/01/08 (Sun) 11:56
  • REPLY