作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

エミール・ギレリスのピアノ協奏曲Hob.XVIII:11(ハイドン)

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ピアノの演奏が続きますが、今日はヒストリカルなもの。

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エミール・ギレリス(Emil Gilels)のピアノ、ルドルフ・バルシャイ(Rudorf Barshai)指揮のモスクワ室内管弦楽団(Moscow Chamber Orchestra)の演奏で、ハイドンのピアノ協奏曲(Hob.XVIII:11)、モーツァルトのピアノ協奏曲21番(KV.467)の2曲を収めたLP。収録情報は記載されていませんが、ネットでギレリスのディスコグラフィを調べて見ると1959年の1月とのこと。レーベルはМелодия(Melodiya)。

このアルバムも先日オークションで手に入れたもの。もちろんギレリスのピアノがお目当てでした。エミール・ギレリスはみなさん良くご存知でしょう。あまりハイドンを演奏する人とのイメージはありませんが、数少ない録音のうち、当ブログでも2枚ほど取り上げています。

2015/10/29 : ハイドン–ピアノソナタ : エミール・ギレリスのXVI:20 1962年ライヴ(ハイドン)
2011/11/08 : ハイドン–室内楽曲 : ギレリス/コーガン/ロストロポーヴィチのピアノ三重奏曲

いずれもギレリスの「鋼鉄のタッチ」によってハイドンの音楽が揺るぎない格調高さを聴かせる名演奏。1950年代のギレリスの素晴らしさは深く記憶に刻まれておりますので、今日取り上げるアルバムを見つけるや否や迷わず入手した次第。早速針を落としてみます。

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Hob.XVIII:11 Concerto per il clavicembalo(l'fortepiano) [D] (1784)
ルドルフ・バルシャイの振るモスクワ室内管の序奏は実に軽やか。理想的な入りです。ギレリスのピアノは、ピアノの胴に響くような余韻を伴いながらこちらも最初は軽やかなタッチでリズミカルに音楽が進みますが、徐々に音量が上がってくると、ギレリスらしいキレの良い鋭いタッチが顔を覗かせてきます。バルシャイは一貫して爽やかな演奏でサポート。ギレリスのタッチの変化が聴きどころだと踏まえて、伴奏に徹している感じ。勢いを保ったまま、大きくうねるように表情を変化させていくギレリスのピアノ。速いパッセージの鮮やかなキレも抜群。指が回りまくってます! このコンチェルトは爽快さこそがポイントと踏まえたような演奏。
素晴らしいのが続く2楽章。バルシャイもぐっとテンポを落として音楽にえも言われぬ深みが宿ります。ギレリスもそれに応えて、じっくりとメロディーを紡いていきますが、ここにきてギレリスのタッチから生み出されるピアノの鋭くも深い音色が燦然と輝きだします。同じピアノなのにギレリスが弾くと、峻厳さ、孤高さを感じさせるところがすごいところ。バルシャイもそれに触発されて、伴奏も深く深く集中していきます。夢のような音楽が流れていきます。カデンツァは抑えた音量でピアノを鳴らしながら天上に登っていくような凝縮された時間が流れます。ピアノ1台から繰り出される音楽が、オケも含めて全員を惹きつける素晴らしいカデンツァ。
フィナーレで再びリズムと推進力を取り戻しますが、ここでもギレリスのピアノの鋼鉄のタッチが素晴らしい躍動感を帯びて圧倒的な存在感。コンチェルトのソロでテクニックではなく演奏の集中力でここまで他を圧倒する存在感を感じさせる演奏は滅多にありません。バルシャイもそれを踏まえて、控えめながら味わい深い伴奏で支えます。最後はキレのいいピアノの響きを轟かせて終了。いやいや素晴らしい演奏でした。

やはりギレリスはギレリス。奏者によって様々な響きを聴かせるピアノですが、ギレリスが弾くと、はっきりギレリスの音楽とわかる音楽が流れ出すのがすごいところ。鋼鉄のタッチでも、爽快な響きも孤高の響きもグイグイ推進する響きも自在に繰り出しながら、音楽を作っていきます。このコンチェルトでは、テクニックではなく音楽の深さで圧倒的な存在感を示し、特に2楽章のカデンツァでは微かなタッチの紡ぎ出す音楽の存在感に圧倒されました。録音も鮮明で1950年代のギレリスの魅力を余すところなく捉えた素晴らしいもの。これは文句なしの名演盤です。もちろん評価は[+++++]とします。

裏面のモーツァルトもこれまた素晴らしい演奏。バルシャイはハイドンの時よりも踏み込み、ギレリスのピアノも冴えまくってます。こちらもオススメです! 中古で見かけたら即ゲットですね。

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