イシュトヴァン・ケルテス/バンベルク響の協奏交響曲(ハイドン)

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イシュトヴァン・ケルテス(István Kertész)指揮のバンベルク交響楽団(Banberger Symphoniker)の演奏で、モーツァルトの協奏交響曲(K.364)、ハイドンの協奏交響曲(Hob.I:105)の2曲を収めたアルバム。収録年などは不明とアルバムに記載されていますが、ネットで調べてみると元のLPは1962年にリリースされたようです。レーベルはDENONですが、原盤はAriola-Eurodiscと記載されています。
このアルバム、当方の所有盤リストにないアルバムということで湖国JHさんから送られてきたもの。確かに未聴のアルバムでした。ケルテスといえば若くして亡くなった指揮者で、ドヴォルザークの「新世界から」などが日本では有名ですが、あまりハイドンを振る人の印象はありません。それでもハイドンの地元ハンガリー出身だけあって何点かの録音があり、過去に1度だけレビューで取り上げています。
2012/03/15 : ハイドン–声楽曲 : 【新着】イシュトヴァン・ケルテスのネルソンミサ
ケルテスの略歴は上の記事に記してありますが、今一度調べてみると、1973年にテル・アヴィヴの海岸で高波にさらわれて亡くなった時、すでにバンベルク響の首席指揮者就任が決まっていたとのことで、バンベルク交響楽団はケルテスを気に入っていたことがわかります。このアルバムを聴いてみるとその理由がわかるような気がします。
最初にモーツアルトの協奏交響曲が収録されていますが、冒頭から弦楽器のキレが異常ににいい。どっしりと重厚な響きなのにリズムがキリリとキレて、華やかさに満ちた素晴らしい演奏。ケルテスのモーツァルトがこれほど素晴らしいとは今更ながらの再発見。全般に躍動感に満ちた充実した演奏に、続くハイドンにも期待します。ハイドンの方のソロは以下のとおり。
ヴァイオリン:ズザーネ・ラウテンバッハー(Susanne Lautenbacher)
チェロ:ペーター・シュヴァルツ(Peter Schwarz)
オーボエ:ヴィンフリート・リーバーマン(Winfried Liebermann)
ファゴット:ハンス・ベア(Hans Bär)
Hob.I:105 Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
モーツァルト同様、非常にリズム感のよい伴奏から入ります。ケルテスはアクセントをしっかりつけ、ヴァイオリンパートのエッジを立てて、折り目正しく軽やかな響きを引き出します。録音の時代を感じさせない豊かな広がりを感じさせるもの。ソロはちょっとオケとは響きが異なり、スポットマイクで録っているようなのでオケに比べて広がりが今一ですが、鮮明さはそれなりにあります。モーツァルトの方がソロの録り方が上手いですね。ヴァイオリンのズザーネ・ラウテンバッハーは線はちょっと細いものの伸びやかボウイングはなかなかのもの。他のパートもリズムはいいですが演奏のテイストがそれぞれ微妙に異なる感じ。聴き進むうちに、この演奏のポイントはオケの爽快感というかくっきりクリアな響きだとわかってきます。オケは特にヴァイオリンパートは本当に瑞々しく、ハツラツそのもの。ハイドンらしい楽天的な響きが心地よく耳に届きます。
続くアンダンテはソロが活躍する楽章。1楽章ではオケの優秀さばかりが目立っていましたが、ここにきてソロの各パートの表情が少しずつ揃ってきて音楽もまとまってきます。そして時折オケが爽やかな響きでサポートに入りますが、重くならずに軽やかに響きを加えるのが流石なところ。
フィナーレはオケが堂々とした響きで入りますが、響きは引き締まってタイト。ソロとオケの丁々発止がテンポ良く進みます。ここでもオケの反応の良さが浮き彫りになります。ソロではオケに触発されてファゴットにオーボエがなかなかいいアンサンブルを聴かせます。最後までオケの見事な響きにソロがのまれるような展開でした。
イシュトヴァン・ケルテスによるこのアルバム、聴きどころは前半のモーツァルトです。私はケルテスという人がどのような音楽を奏でるのか、他の作曲家の演奏もあまり聴いていないため、確かな印象は残ってはいないのですが、このアルバムで聴くケルテスは、オケからタイトで華やかな響きを引き出すことにかけては素晴らしい才能を持った人のようです。それが完全にミートしたのがモーツァルト。ハイドンの方もオケについては同じくしっかりとコントロールしきれていましたが、ソロがちょっと弱い。オケの見事な響きについていけてない感じを残してしまいました。ということで、ハイドンの評価は[++++]とします。これがウィーンフィルだったら、、、
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