ホーレンシュタイン/ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団の時計(ハイドン)
久々にヒストリカルもの。未聴のCDとLPがほぼ同時に手に入りました。

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ヤッシャ・ホーレンシュタイン(Jascha Horenstein)指揮のウィーン・プロ・ムジカ交響楽団(Pro Musica Symphony, Vienna)の演奏で、ハイドンの交響曲101番などを収めたCD。収録は1957年とだけ記載されています。レーベルはVOX LEGENDS。他に南西ドイツ放送交響楽団とのベートーヴェンの「英雄」も収められています。
LPの方はこちら。

CDと同じ演奏である「時計」と、同じくウィーン・プロ・ムジカ交響楽団による「ロンドン」を収めたLPです。ちょっとここで気づいたのが、ホーレンシュタインの「天地創造」のCDにウィーン交響楽団との「ロンドン」が収められていますが、そちらも同時期の演奏でかつレーベルもVOXということで、いろいろネットを検索してみたところ、ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団とはウィーン交響楽団の別称ということがわかりました。ということで「ロンドン」もCD、LPともに揃ったことになります。
ホーレンシュタインの演奏は過去にライヴを取り上げています。略歴などの情報はそちらをご覧ください。
2013/01/28 : ハイドン–交響曲 : ホーレンシュタイン/フランス国立管弦楽団の軍隊ライヴ
もともと私はホーレンシュタインやシェルヘンなど、コンセプチュアルな演奏をする指揮者は好きな方です。特にホーレンシュタインの構えの大きな音楽はなかなか真似の出来るものではありません。上の軍隊のライヴも絶品でした。そして唯一未入手だった時計がCDとLPで手に入ったということで、これを取り上げない訳にはまいりませんね。
Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
この演奏、CDはゆったりと落ち着いた柔らかな音色。そしてLPはあまりコンディションの良いものではありませんでしたが、それでも切れ込むような鋭利な響きと立体感は感じられるもの。入手のしやすさを考慮して、以下はCDを中心にレビュー。落ち着き払ってゆったりとした序奏。このゆったりとした中に構築感を感じさせるところがホーレンシュタインの凄み。主題に入るとメロディが滑らかに、適度な力感を持って流麗に響きます。ピニンファリーナのデザインした車の曲線のような完璧な調和。CDではオケがかなり遠方に定位しながらも、徐々に迫力を帯びて盛り上がっていきますが、力感と流麗さのバランスが見事で聞き応え十分。成熟期のハイドンの素晴らしい筆致が実に鮮やかに浮かび上がります。アポロン的に完璧に響きが調和します。完璧なプロポーション。幾分古い録音から浮かび上がる白亜の神殿のような圧倒的な姿。
そして2楽章のチクタクアンダンテ。ゆったりと優雅典雅流麗に時が流れます。演奏スタイルとしては古いものですが、この時計の癒しに満ちたメロディーに古さは感じられません。完璧にリラックスした音楽が流れます。中盤からの盛り上がりも余裕たっぷりにおおらかなもの。何回かの転調で変奏を重ねるごとに音楽が燻され、味わい深くなっていきます。時代を超えた素晴らしい説得力。ホーレンシュタインは楽譜の余白から音楽の構造を精緻に読み取り、音にしていく類い稀な感覚の持ち主なんですね。
メヌエットは穏やかさをたもちながら、ちょっと荒れたよう表情を感じさせる絶妙な演出。メロディーが実にいきいきと踊り、リズムもこれしかないというハマり方。中間部のフルートのなんとデリケートなこと。ここまで優雅に歌うメヌエットはなかなかありません。見事。
そして時計の総決算のフィナーレ。すべてのメロディーをしっとりと響かせながら、徐々にスロットルを開いていき、落ち着きを保ちながらクライマックスにひたひたと近づいていきます。オケの厚みを増しながらスロットル全開! この余裕に満ちたクライマックスへもってくるコントロール力は素晴らしいものがあります。最後は再び白亜の神殿を思わせる完璧なプロポーションを印象付けます。
LPの方はオケのリアリティがあり、スクラッチノイズは少々多めなものの、タイトな響きの魅力も味わえます。
今から50年以上前に録音されたホーレンシュタインの時計。時計という曲にハイドンが仕込んだ優雅な気配を汲み取り、素晴らしい演奏でまとめられました。時代は流れ、演奏スタイルも楽器も変わりましたが、このホーレンシュタインの時計は、そうした時の流れを超えて、この曲の一つの理想的な演奏として変わらぬ価値を保ち続けるでしょう。時計の名演奏として多くの人に聴いていただくべき価値があると思います。CDはまだまだ手に入りますので、未聴の方は是非。評価はもちろん[+++++]とします。
さて、手元には湖国JHさんから色々アルバムが届いております。またまた隠れた名盤を紹介できますね。お楽しみに!

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ヤッシャ・ホーレンシュタイン(Jascha Horenstein)指揮のウィーン・プロ・ムジカ交響楽団(Pro Musica Symphony, Vienna)の演奏で、ハイドンの交響曲101番などを収めたCD。収録は1957年とだけ記載されています。レーベルはVOX LEGENDS。他に南西ドイツ放送交響楽団とのベートーヴェンの「英雄」も収められています。
LPの方はこちら。

CDと同じ演奏である「時計」と、同じくウィーン・プロ・ムジカ交響楽団による「ロンドン」を収めたLPです。ちょっとここで気づいたのが、ホーレンシュタインの「天地創造」のCDにウィーン交響楽団との「ロンドン」が収められていますが、そちらも同時期の演奏でかつレーベルもVOXということで、いろいろネットを検索してみたところ、ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団とはウィーン交響楽団の別称ということがわかりました。ということで「ロンドン」もCD、LPともに揃ったことになります。
ホーレンシュタインの演奏は過去にライヴを取り上げています。略歴などの情報はそちらをご覧ください。
2013/01/28 : ハイドン–交響曲 : ホーレンシュタイン/フランス国立管弦楽団の軍隊ライヴ
もともと私はホーレンシュタインやシェルヘンなど、コンセプチュアルな演奏をする指揮者は好きな方です。特にホーレンシュタインの構えの大きな音楽はなかなか真似の出来るものではありません。上の軍隊のライヴも絶品でした。そして唯一未入手だった時計がCDとLPで手に入ったということで、これを取り上げない訳にはまいりませんね。
Hob.I:101 Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
この演奏、CDはゆったりと落ち着いた柔らかな音色。そしてLPはあまりコンディションの良いものではありませんでしたが、それでも切れ込むような鋭利な響きと立体感は感じられるもの。入手のしやすさを考慮して、以下はCDを中心にレビュー。落ち着き払ってゆったりとした序奏。このゆったりとした中に構築感を感じさせるところがホーレンシュタインの凄み。主題に入るとメロディが滑らかに、適度な力感を持って流麗に響きます。ピニンファリーナのデザインした車の曲線のような完璧な調和。CDではオケがかなり遠方に定位しながらも、徐々に迫力を帯びて盛り上がっていきますが、力感と流麗さのバランスが見事で聞き応え十分。成熟期のハイドンの素晴らしい筆致が実に鮮やかに浮かび上がります。アポロン的に完璧に響きが調和します。完璧なプロポーション。幾分古い録音から浮かび上がる白亜の神殿のような圧倒的な姿。
そして2楽章のチクタクアンダンテ。ゆったりと優雅典雅流麗に時が流れます。演奏スタイルとしては古いものですが、この時計の癒しに満ちたメロディーに古さは感じられません。完璧にリラックスした音楽が流れます。中盤からの盛り上がりも余裕たっぷりにおおらかなもの。何回かの転調で変奏を重ねるごとに音楽が燻され、味わい深くなっていきます。時代を超えた素晴らしい説得力。ホーレンシュタインは楽譜の余白から音楽の構造を精緻に読み取り、音にしていく類い稀な感覚の持ち主なんですね。
メヌエットは穏やかさをたもちながら、ちょっと荒れたよう表情を感じさせる絶妙な演出。メロディーが実にいきいきと踊り、リズムもこれしかないというハマり方。中間部のフルートのなんとデリケートなこと。ここまで優雅に歌うメヌエットはなかなかありません。見事。
そして時計の総決算のフィナーレ。すべてのメロディーをしっとりと響かせながら、徐々にスロットルを開いていき、落ち着きを保ちながらクライマックスにひたひたと近づいていきます。オケの厚みを増しながらスロットル全開! この余裕に満ちたクライマックスへもってくるコントロール力は素晴らしいものがあります。最後は再び白亜の神殿を思わせる完璧なプロポーションを印象付けます。
LPの方はオケのリアリティがあり、スクラッチノイズは少々多めなものの、タイトな響きの魅力も味わえます。
今から50年以上前に録音されたホーレンシュタインの時計。時計という曲にハイドンが仕込んだ優雅な気配を汲み取り、素晴らしい演奏でまとめられました。時代は流れ、演奏スタイルも楽器も変わりましたが、このホーレンシュタインの時計は、そうした時の流れを超えて、この曲の一つの理想的な演奏として変わらぬ価値を保ち続けるでしょう。時計の名演奏として多くの人に聴いていただくべき価値があると思います。CDはまだまだ手に入りますので、未聴の方は是非。評価はもちろん[+++++]とします。
さて、手元には湖国JHさんから色々アルバムが届いております。またまた隠れた名盤を紹介できますね。お楽しみに!
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