作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

H. R. A. Award 2015

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今年で4年目を迎えたこの企画。2015年にレビューしたアルバムの中から最も心に残ったアルバムを選びます。基本的には毎月選ぶベスト盤(Haydn Disk of the Month)の中から、各ジャンルのベスト盤を選ぶという流れになっています。

まあ、一人のハイドン愛好家がその年に聴いたアルバムからベスト盤を選ぶということで、大した意味はありませんが、それでもハイドンばかりを取り上げる激ニッチなブログ上のイベントで、失礼ながら読者もニッチ層(笑)。世界にオタク文化を発信し、「コミケ」なるイベントで世界から人が集まるという今の日本で、こうしたマイナーな取り組みこそ、明日の文化を創るという心意気だけで強引にいきたいと思います!



慣例となった部門別表彰です!

【交響曲部門】

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2015/05/09 : ハイドン–交響曲 : 絶品、ニコラス・マギーガンの交響曲集第2弾(ハイドン)

交響曲では全集をリリース途上のトーマス・ファイが大怪我で残りのリリースが危ぶまれる状況のなか、ジョヴァンニ・アントニーニ率いるイル・ジャルディーノ・アルモニコが全集に着手したり、ロビン・ティチアーティ/スコットランド室内管の爽快な演奏、ノリントンのパリセットなど新録音にも魅力的なものが多くリリースされた他、古い録音にもいろいろいいものを再発見したのは皆様ご存知のとおり。その中で一際素晴らしかったのが、このマギーガンのアルバム。中期の地味な3曲を実に表情豊かに聴かせる素晴らしい演奏。ロンドンセットやパリセット、告別や受難などの有名曲ばかりではなく、こうした地味な曲にこそハイドンの面白さが詰まっているわけで、このアルバムはまさにそうした曲の入門盤としても好適。未聴の方は是非!

【管弦楽・協奏曲部門】

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2015/06/20 : ハイドン–協奏曲 : マリア・クリーゲルのチェロ協奏曲集(ハイドン)

ロレンツォ・ギエルミ盤と最後まで迷ったのですが、やはり今年はこのマリア・クリーゲル盤でしょう。記事にも書きましたが、これまで聴いたNAXOSのハイドンの演奏では間違いなくベスト。名盤目白押しのチェロ協奏曲の中でも、これだけ味わい深いチェロを聴かせるアルバムはそうありません。伴奏のヘルムート・ミュラー=ブリュール率いるケルン室内管も盤石のサポート。クリーゲルにあわせてか、いつもよりしなやかな響きで支えます。チェロ協奏曲ではエアリング・ブロンダル・ベンクトソン盤とともに私の愛聴盤になっています。

【室内楽部門】

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2015/08/25 : ハイドン–ピアノソナタ : ボビー・ミッチェルによるソナタ集(ハイドン)

こちらも迷いました。今年は弦楽四重奏、ピアノ三重奏ともに素晴らしいアルバムが目白押し。特にトリオ・フランツ・ヨゼフとトリオ・ホーボーケンとハイドンに由来する名前のトリオの素晴らしさは印象に残りました。そしてクァルテットではフーゴ・ヴォルフにダイダロス、古いところではクイケン兄弟によるフルートトリオなども鳥肌が立つほど素晴らしいもの。これらを差し置いてこのボビー・ミッチェル盤を選んだのは、若い才能に期待して。ハイドンのソナタの演奏に格別の才能を発揮する若手フォルテピアノ奏者として、今後もハイドンのレパートリーを広げ、新たな録音を期待したいところです。Haydn Disk of the Monthには選定していませんが、アレッシオ・アレグリーニのホルン三重奏曲も素晴らしい演奏でした。

【声楽部門】

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2015/10/23 : ハイドン–オラトリオ : 【新着】フィリップ・ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ管の天地創造(ハイドン)


四季につづくヘレヴェッヘとシャンゼリゼ管による天地創造。演奏、録音、プロダクションの三拍子そろった素晴らしいアルバム。これまでのどの演奏も、なにがしらかの色が付いていたと思わせる、透明でしなやかな表情の天地創造。ニュートラルといえばいいでしょうか。力づくの演奏も多いなか、淡々とこの名曲を進めていくうちに曲の魅力に飲み込まれているのに気づくような演奏。歌手も粒ぞろい、そしてオケ、コーラスも素晴らしい精度で、ヘレヴェッヘによるしなやかなコントロールが行き届いた演奏。天地創造の新たなスタンダード盤と言っていいでしょう。

以上4点が今年のベスト盤です。なんとなく今年の表彰盤をここまで眺めていると、私の好みが枯れてきているような気もしないでもありません。尖った演奏よりも、曲自体の良さを踏まえて、自然なスタンスで演奏していくタイプの演奏を好むようになってきたような気がします。もちろんハイドンの曲の魅力がそういった演奏でこそ生きるという面もあります。

なお、今年のベスト盤はいずれも入手しやすいものばかりです。マイナー盤ばかりにレビューが集中していたことを多少反省しております(笑)

さて、今年も読者の皆さんには大変お世話になりました。皆さんのアクセス、コメント、拍手、メールなどが励みになって、ずぼらな私でもなんとか記事を書き続けてこられました。あらためて深く感謝しております。

皆さんにとって来年も良い1年でありますように。そして来年もよろしくお願いいたします。

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8 Comments

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だまてら

No title

明けましておめでとうございます。
アウォード2015、交響曲部門はリステンパルト盤か若杉盤に来てもらいたかったところですが、幸い協奏曲部門でクリーゲル盤が予想(というか期待!)と一致しました。
チェロ協奏曲は、ロストロ盤の刷り込みが強くてなかなか次のチョイスが出て来ませんでしたが、これは良いですねー、と思ったら当初の記事にコメントしてましたっけ。
ハイドン愛好の同志、と勝手に自称しながら、当方ときてはカルテット7割シンフォニー2割その他1割といった偏食気味の同志であります。まあその分伸び代が有るということで、今年もよろしくお願いいたします。

  • 2016/01/01 (Fri) 01:08
  • REPLY

Haydn2009

No title

Daisyさん あけましておめでとうございます。

2015年も、Daisyさんのハイドンレビューを十分楽しませていただきました。
2016年も引き続きレビューの方、よろしくお願いします。

なお、大変残念ながらトーマス・フェイの全集録音の企画は中止になったそうです。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

  • 2016/01/01 (Fri) 08:30
  • REPLY

Daisy

Re: No title

だまてらさん、明けましておめでとうございます。

クリーゲル盤、支持いただきありがとうございます。チェロ協奏曲はいろいろなタイプの名演があり、皆さんそれぞれ刷り込み盤があろうかと思います。ロストロポーヴィチはもちろん、有名なところではデュ・プレ、ペレーニ、ハレル、マイスキーなど好みもそれぞれあろうかと思います。クリーゲル盤はそれらの演奏に匹敵する、しっかりとした個性をもった演奏だと思います。
交響曲の方は、もちろんリステンパルトという選択肢もありましたが、このところ新たないい演奏が相次いでリリースされていますので、新しい演奏を選んだ次第。若杉弘も我々の世代にはグッとくるアルバムでした。

さてさて、古典四重奏団の件、メールにて連絡いたします!

本年もよろしくおねがいいたします。

  • 2016/01/01 (Fri) 09:17
  • REPLY

Daisy

Re: No title

Haydn2009さん、明けましておめでとうございます。

トーマス・ファイの件、中止ということは再起が難しいほどの怪我だったということでしょうね。また、他の指揮者で継続も、ファイの個性を補完できるはずもなく、中止はやむなしといったところでしょう。ハイドンの交響曲全集を収録するということの難しさをあらためて痛感します。あとは未収録の曲をファイだったらどう演奏しただろうと想像して楽しむこととしましょう。

こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

  • 2016/01/01 (Fri) 09:55
  • REPLY

michael

No title

新年おめでとうございます。

マギーガンの交響曲第2弾は必聴盤と思い、取り寄せました^^

今年もよろしくお願いいたします。

sifare

遅ればせながら、、

明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願い致します

新しい年、Daisyさん、ご家族の皆様にとって穏やかな楽しい日々でありますことを願っております


ご挨拶が遅れて申し訳ありません。毎年年末年始は主人の実家で慌ただしく過ごしております。
一昨年から家族の健康問題で私自身忙しい日々となり、なかなか落ち着いての観賞と言うわけにはいかないのですが、その中でこのブログに来てほっこりするのが大切な時間です。
お仕事などお忙しいでしょうけれど、更新楽しみにしておりますので頑張ってくださいね。



sifare

Awardを読ませていただき、

Daisyさんの2015のハイドン観賞の愛情溢れた地道な時間の流れを感じることができ、何だかしみじみしちゃいました(笑)

Daisy

Re: 遅ればせながら、、

sifareさん、こちらこそ遅ればせながら、明けましておめでとうございます。

当ブログでほっこりされたり、しみじみされちゃったりと、いろいろご苦労されながらの生活の気休めになっているようで何よりです。この役割を守るためには私自身も常におおらかな心境を保たねばなりませんね。

私自身も日頃は仕事に追われていて日常はドタバタとしておりますが、音楽を聴いている時間やブログを書いている時間は不思議とのんびり過ごせ、適度なストレス発散になってます。

あんまり生産的なことはやってませんが、先日亡くなった水木しげるさんも「しないではいられないことをし続けなさい」、「好きの力を信じる」などとおっしゃっており、これからもぼちぼち続けていこうと思います。

忙しい日常かとは思いますが、音楽をを楽しみ、心の平安を保たれるようお祈りしております。良い年でありますように!

  • 2016/01/07 (Thu) 08:00
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