作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

カール・リステンパルト/ザール室内管の81番、王妃(ハイドン)

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予想どおり年末で仕事が忙しく、加えて忘年会なども加わりドタバタとしておりました。なんとかもう1記事書きたいということで駆け込みで1本。

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カール・リステンパルト(Karl Ristenpart)指揮のザール室内管弦楽団(Orchestre de Chambre de la Sarre)の演奏で、ハイドンの交響曲81番、85番「王妃」の2曲を収めたLP。収録はLP自体には記載はありませんが、ネットの情報などを見ると1954年との記載があります。85番の方はCD化された演奏もあり、そのCDには1966年9月との記載されています。聴いてみたところ、王妃のCDは明らかに鮮度が高くとLPは別のように聞こえます。レーベルはLES DISCOPHILES FRANÇAIS。

このLPを取り上げたのは、実は年末にモノラル用のカートリッジ(audio-technica AT33MONO)を手に入れ、手元のモノラル盤を試し聴きしていて、あらためてこの味わい深い演奏にふれたから。リステンパルトの演奏は過去に2度取り上げています。略歴は驚愕の方の記事などをご参照ください。

2013/01/07 : ハイドン–交響曲 : カール・リステンパルトの驚愕、軍隊、時計
2010/02/04 : ハイドン–交響曲 : 絶品! リステンパルトのホルン信号

Hob.I:81 Symphony No.81 [G] (before 1784)
モノラルながらLPらしい鮮明な響き。爽快なテンポで入ります。ステレオ用のカートリッジとは次元の違う安定感とキレ。おまけにスクラッチノイズもかなり少ないです。これほどの安定感とは思いませんでしたので、モノラル盤は聴き直さなければなりませんね。CDで聴くリステンパルトはゆったりとした響きから味わい深さが印象的でしたが、LP時代の録音で聴くとそれなりの切れ込みと鋭さもあり、ちょっと印象が変わりました。もちろん響き全体から燻し銀のような味わいが醸し出されているのは変わりありません。1楽章は爽快さのなかに味わいがにじみ出る円熟の演奏。
つづくアンダンテはリステンパルトの本領発揮、ハイドンの美しいメロディーがゆったりとのどかに響きます。現代の演奏からは失われてしまった、ヴァイオリンとフルートが奏でる古き良き時代の心地よい響きに酔いしれます。ヴァイオリンにフルートを重ねた独特の響きにハイドンの閃きを感じます。中間部の強奏を経て、終盤のメロディーの美しさも心を打ちます。弦楽合奏のあとはピチカートに木管が加わり美しいメロディーを引き立てます。
メヌエットは実にユーモラス。リステンパルトはじっくりとフレーズを進めていきます。ゆったりとした中にもしっかりとした起伏があり、フレーズ毎のニュアンスの微妙な変化を実に丁寧に描いていきます。
そしてフィナーレは力強く浸透力のある響きが迫ってきます。LP独特の鮮明でダイレクトな響きが演奏の力強さを後押し。

Hob.I:85 Symphony No.85 "La Reine" 「王妃」 [B flat] (1785?)
CD化された演奏はゆったりとした広い空間にオケが伸びやかに響くものでしたが、こちらはダイレクトな響きで、流石に弦楽器の潤いは後年のものかないませんが、逆に切れ込みの良い鋭さがあります。演奏の基調は変わりませんが、録音年代とメディアの違いで受ける印象も変わりますね。1楽章は王妃独特の穏やかな表情よりもキリリと引き締まった響きが印象的。
2楽章はここでもフルートが美しいメロディーに柔らかい響きで華やかさを加えていきます。なにげないフレーズの一つ一つが実にしっとりと美しく響くリステンパルトの神業。オーケストラから音楽が湧き出すような素晴らしい時間。
さらに素晴らしいのがメヌエット。出だしの一音からノックアウト。なんというニュアンスの豊かさ。オケ全員がリステンパルトの棒の魔力に率いられて歌っています。木管やヴァイオリンのソロも実にニュアンスに富んだ演奏。ハイドンのメヌエットの最も美しい演奏と言っていいでしょう。
そしてフィナーレはギアを入れ替えて快速に入ります。全楽章の癒しを洗い流すがことき躍動感。この楽章間の変化こどハイドンの真骨頂とばかりの切り替え。最後までイキイキした表情を失わず終わります。

カール・リステンパルト率いるザール室内管による81番と王妃の演奏。私はこのリステンパルトのハイドンは大好きです。演奏のスタイルは古いものの、にじみ出る慈しみ深さと、ニュアンスの豊かさは時代を超えた魅力を放っています。LP自体はなかなか入手しにくいとは思いますが、オークションやら海外やらに目を向ければ手に入らないことはないでしょう。評価は両曲とも[+++++]とします。

さあ、これからいろいろこなして夜には今月、今年のベスト盤の記事を書きたいと思います。皆様良い大晦日をお過ごしください。



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