作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

巌本真理弦楽四重奏団のひばり(ハイドン)

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今日はお宝盤。邂逅とはこのことでしょう。

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巌本真理弦楽四重奏団の演奏でハイドンの弦楽四重奏曲Op.64のNo.5「ひばり」、ドヴォルザークの弦楽四重奏曲Op.96「アメリカ」の2曲を収めたアルバム。収録は1974年6月6日、7日、Chiba Public Hallとありますが千葉市民会館もしくは千葉県文化会館のどちらかでの録音ということでしょうか。レーベルは日本のVictor。

巌本真理四重奏団のひばりは以前に取り上げていますが、そちらは録音年不詳。収録時間もレーベルも異なることから別の演奏だということで入手した次第。

2012/02/13 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : 巌本真理弦楽四重奏団のひばり

今日取り上げるアルバム自体は国内盤で日本語解説もついているのですが、巌本真理四重奏団についてとメンバーの略歴のみで、肝心のこの演奏の背景については触れられていません。奏者については前記事を参照願います。

レビューのためにCDプレイヤーにかけたとたん、素晴らしいヴァイオリンの響きに釘付けとなったのが正直な所。このアルバム、音楽の神様が降りてきています。

Hob.III:63 / String Quartet Op.64 No.5 "Lerchenquartetett" 「ひばり」 [D] (1790)
以前取り上げたアルバムも良かったんですが、こちらはさらに上を行きます。収録時間も全楽章が少し長めなことからわかるとおり、前盤よりもゆったりとした演奏。録音は残響が若干多く、鮮明さは前盤に軍配があがるものの、しっかりと実体感があり音楽としてはこちらの方が楽しめます。几帳面な感じの曲の入りも雰囲気満点。すぐにヴァイオリンの音色に釘付け。巌本真理のヴァイオリンの輝かしさは圧倒的。この曲の演奏見本と言ってもよいくらいオーソドックスですが、ヴァイオリンの磨き抜かれた音色の存在感は素晴らしいものがあります。日本人による弦楽四重奏曲の演奏の一つの頂点と言っていいでしょう。この曲のメロディーの素晴らしさを改めて堪能。1楽章から完全に引き込まれます。
つづくアダージョ・カンタービレでも巌本真理のヴァイオリンの浸透力に打ちのめされるような迫真の演奏。ハイドンの音楽に純真に従いながらもヴァイオリンを奏でる弓には確信に満ちた力が宿り、まったく迷いなく旋律を描いていきます。ゆったりとした気分ながらヴァイオリンの図太い音色にグイグイ攻め込まれます。
そしてメヌエットでもオーソドックスなテンポによる飾り気のない演奏ながら奏者の気迫に圧倒される感じは変わらず。ライヴを聴いているような緊張感に包まれます。中間部ですっと力を抜いてメリハリをつけますが、徐々に迫力とメロディーを取り戻します。
そしてフィナーレ。意外に遅めのテンポ出入りフーガのように展開しますが、各パートとも円熟の境地という感じでさらりとこなして行きます。副旋律の伴奏を際立たせながら、自然に終盤にたどり着きます。最後はピタリと息を合わせて終わります。

巌本真理弦楽四重奏団のハイドンが正直これほど素晴らしいものとは思っていませんでした。このアルバムで聴かれるひばりは他のどの奏者の演奏よりも確信に満ちた演奏であり、揺るぎない説得力をともなった演奏です。特にヴァイオリンの磨き抜かれた響きの気高さは他のものを寄せ付けない孤高の存在。この堂々とした音楽は、日本人の演奏という但し書きをなくしても一二を争うほどのものと言っていいでしょう。ネットを調べてもこのアルバムは容易に手に入りそうもありません。ディスクユニオンの新着アルバムの棚をたまには丹念に探してみて良かったと思える出会いでした。存命時にはその素晴らしさを知ることはありませんでしたが、巌本真理弦楽四重奏団の存在がいかに大きなものだったかを改めて知った次第。心に深く刻まれました。評価は[+++++]とします。

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