作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】タマール・ベラヤのピアノソナタXVI:37(ハイドン)

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今日は久々の女流ピアニストのアルバム。

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TOWER RECORDS / HMV ONLINEicon

タマール・ベラヤ(Tamar Beraia)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:37)、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第10番(Op.14-2)、シューマンの謝肉祭(Op.9)、リストのメフィストワルツ第1番、バッハ(ブゾーニ)のシャコンヌ(BWV.1004)の5曲を収めたアルバム。収録は2013年11月15日から17日にかけて、ミュンヘンのバイエルン放送第1スタジオでのセッション録音。レーベルはバイエルン放送のBR KLASSIK。

モノクロームのアーティスティックなジャケットが印象的なアルバム。もちろんハイドンのソナタが含まれている若手ピアニストのアルバムということで注文したものですが、調べてみるとこのアルバム、このピアニストのデビューアルバムのようです。

タマール・ベラヤは1987年、黒海の東、トルコの北隣のジョージア(グルジア)の首都トビリシ生まれのピアニスト。録音当時26歳ということで、ピチピチの若手ピアニストということになります。ジャケットの写真はあえてアイドル路線とはしていませんが、彼女のサイトを見ると、かなりの美貌の持ち主。日本だったら完全にアイドル系で売り出すところでしょうが、そこは成熟市場のヨーロッパだけあって、実に堅実なプロダクションに仕上がっています。オフィシャルサイトにはこのジャケット写真とは雰囲気を異にする、これまたアーティスティックなベラヤの写真が多数掲載されています。

Tamar Beraia Offical Website

略歴にも触れておきましょう。音楽一家に生まれ、5歳から母にピアノの教えを受け、1997年に早くも10歳でリトアニアで開催されたバリス・ドヴァリオナス(Balys Dvarionas)国際ピアノコンクールで1位、2000年にはロシアで開催されたハインリッヒ・ノイハウス(Heinrich Neuhaus)国際ピアノコンクールで1位となり才能が開花します。その後パリアシュビティ(Z. Paliaschwili)音楽学校、トビリシ国立音楽院と長らくジョージア国内で教育を受けてきて、最後はルツェルン音楽アカデミーでイヴァーン・クラーンスキーに師事。現在はスイスに活動拠点を置いています。

タマール・ベラヤのハイドン、ジャケットのアーティスティックなイメージそのままの演奏でした。

Hob.XVI:37 Piano Sonata No.50 [D] (c.1780)
少し遠めにかっちり硬質なピアノがくっきり定位します。現代音楽にも通じるようなシャープなタッチですが、テンポを揺らしながら曲が進むとハイドンらしい諧謔性と機知を感じさせるようになります。さりげない表情のなかからほのぼのとした雰囲気をうっすらと感じさせる、なかなか高度な芸術表現。音階がだんだん複雑に絡み合うようになると、タッチのキレで徐々に鮮やかなテクニックの持ち主とわかってきます。硬質なピアノの音色が表情を引き締めます。
ぐっときたのがつづく2楽章。テンポをかなり落として、冒頭から深い音楽に引き入れられます。1楽章のシャープな表情から一転して深淵な表情に。ゆったりとしながらもどこか冷徹さもあり、現代音楽風の緊張感も漂います。
その淵に光が射すように明るい表情のフィナーレに入ります。この楽章間の鮮やかな変化のセンスは鳥肌もの。シンプルなメロディーによる明朗な音楽ですが、淵からの変化であるところにハイドンの音楽の素晴らしさがあることを知りぬいたような演奏。アムランのハイドンに宿る鋭敏な感覚とは少し異なりますが、若いタマール・ベラヤのデビュー盤にも同種の閃きを感じます。

このアルバムのプログラム構成はデビュー盤としてはかなり意欲的なもの。実は演奏の難しいハイドンから入り、ベートーヴェン、シューマン、そしてリストを挟んでバッハのシャコンヌと、センスも抜群。どの曲もハイドン同様、奏者の立ち位置が明確な演奏で、それぞれの作曲家の真髄にさらりと触れる演奏。この人、大物かもしれませんね。鮮鋭度は差がありますが、音楽の造りはクレーメルを想起させるものがあります。これからが楽しみなピアニストですね。ハイドンの評価は[+++++]とします。

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