リヒテルのXVI:52 1967年ロンドンライヴ(ハイドン)
ライヴを中心にいろいろな演奏が出回っているリヒテルのハイドン。未入手の音源が手に入りました。

TOWER RECORDS / amazon
スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)のピアノによるハイドンのピアノソナタ(XVI:52)、ウェーバーのピアノ・ソナタ3番(Op.49)、シューマンの2つのノヴェレッテ Op.21より第4番、第8番、ショパンの舟歌(Op.60)、ドビュッシーの前奏曲集第2集より4曲(妖精たちはあでやかな舞姫/エジプトの壺/交替する3度/花火)などを収めたアルバム。収録は1967年6月11日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのリサイタルの模様をBBCが収録したライヴ。レーベルはica CLASSICS。
リヒテルはハイドンを気に入っていたようで、リサイタルでもかなりの回数取り上げていました。リヒテルの力感溢れるハイドンは好きなので未聴のアルバムを少しずつ手に入れては楽しんでいます。これまでにもリヒテルのハイドンは何回か取り上げています。
2014/01/24 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】スヴャトスラフ・リヒテル1984年東京ライヴ(ハイドン)
2013/07/15 : ハイドン–ピアノソナタ : 【新着】リヒテルのピアノソナタライヴ集
2010/11/23 : ハイドン–ピアノソナタ : リヒテルの1993年のソナタ録音
2010/02/23 : ハイドン–ピアノソナタ : リヒテルのソナタ録音
今日取り上げるのはハイドン晩年の傑作ソナタXVI:52ですが、この曲のリヒテルの演奏はネットを調べたところ下記の録音があります。
1949年5月30日モスクワライヴ:Venezia(所有盤)
1960年2月27日ブカレストライヴ:AS disc
1960年3月3日キエフライヴ:TNC
1966年11月3日メッシーナライヴ:MESSINA
1966年11月19日フェラーラライヴ:PHILIPS
1967年5月8日モスクワライヴ:RUSSIAN MASTERS
1967年6月11日ロンドンライブ:ica(所有盤:今日取り上げるアルバム)
1987年2月マントヴァセッション録音:DECCA(所有盤)
1993年セッション録音:DECCA(所有盤)
今日取り上げるアルバムを含めて4種が手元にあります。つまりまだ未入手のものが5種あるということで、コレクション意欲が高まります。手元のアルバムでは1967年録音のDECCAのセッション録音がピアノの美しい響きが録られたバランスの良い名演奏としておすすめできるものですが、リヒテルの鋼のような強靭なタッチの快感に酔うという面は少し弱いもの。ということでコンサートの模様を興奮とともに詰め込んだライヴ盤に興味が湧くわけです。このアルバムは1967年とライヴの中では最も新しいもの。しかもロンドンでBBCによる放送用の録音ということで、録音にも期待できそう。アルバムの解説によればもともとモノラルの音源をアンビエント・マスタリングで聴きやすく仕上げたということです。
Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
冒頭の分厚い響きは流石にリヒテル。セッション録音とは異なり豪放な入りに電気ビリビリ。速めのテンポで音楽に力と勢いが漲り、そしてこれぞリヒテルという彫刻的な立体感。あまりに見事なフォルムにうっとりします。この力感とイキイキとしたリズム感、そしてふと力を抜いた部分の静寂感の神がかったバランス。録音はセッション録音とはだいぶ差がつきますが、1967年のライヴとしては悪くありません。モノラルをアンビエント・マスタリングで処理しているのも不自然ではありません。リヒテルの力感は力任せというのとまったく異なり、一人だけ異次元の走りをみせるウサイン・ボルトのように圧倒的な余裕のなかでの迫力。アムランに代表される、青白い炎をカミソリでえぐるような切れ味の最新の演奏と比べると、古風に感じなくもありませんが、それでもその個性は際立つもの。
アダージョでは鋼のような強靭さをすこし緩めて孤高の表情で美しいメロディーを置いていきます。それでも左手による低音の強靭さは隠しきれず、何か背後に大きな意思があるのを不気味に感じさせるような大きな音楽を造っていきます。
フィナーレはキレキレ。これで録音がよけれがものすごい迫力を味わえたことでしょう。リヒテルがさらりと弾きこなす速いパッセージの鮮やかなキレをそこここに散りばめ、そして余裕をもってそれをつなぎ合わせて音楽組み立てます。あまりに鮮やかなフィニッシュに最後は拍手が降り注ぎます。
リヒテルの1967年のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライブの冒頭に演奏されたハイドンの傑作ソナタ。期待を裏切らない名演でした。強靭なタッチによる険しいハイドン。ただし表現には余裕があり、力任せの演奏とはまったく異なり、孤高の個性という次元。ハイドンの曲のなかでも力感が映える曲をこれほどまでに見事に演奏されてはかないません。ライブなので少々のタッチの乱れはありますが、音楽の乱れは微塵もなく堅固なもの。流石リヒテルという演奏でした。評価は[+++++]とします。

スヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter)のピアノによるハイドンのピアノソナタ(XVI:52)、ウェーバーのピアノ・ソナタ3番(Op.49)、シューマンの2つのノヴェレッテ Op.21より第4番、第8番、ショパンの舟歌(Op.60)、ドビュッシーの前奏曲集第2集より4曲(妖精たちはあでやかな舞姫/エジプトの壺/交替する3度/花火)などを収めたアルバム。収録は1967年6月11日、ロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのリサイタルの模様をBBCが収録したライヴ。レーベルはica CLASSICS。
リヒテルはハイドンを気に入っていたようで、リサイタルでもかなりの回数取り上げていました。リヒテルの力感溢れるハイドンは好きなので未聴のアルバムを少しずつ手に入れては楽しんでいます。これまでにもリヒテルのハイドンは何回か取り上げています。
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今日取り上げるのはハイドン晩年の傑作ソナタXVI:52ですが、この曲のリヒテルの演奏はネットを調べたところ下記の録音があります。
1949年5月30日モスクワライヴ:Venezia(所有盤)
1960年2月27日ブカレストライヴ:AS disc
1960年3月3日キエフライヴ:TNC
1966年11月3日メッシーナライヴ:MESSINA
1966年11月19日フェラーラライヴ:PHILIPS
1967年5月8日モスクワライヴ:RUSSIAN MASTERS
1967年6月11日ロンドンライブ:ica(所有盤:今日取り上げるアルバム)
1987年2月マントヴァセッション録音:DECCA(所有盤)
1993年セッション録音:DECCA(所有盤)
今日取り上げるアルバムを含めて4種が手元にあります。つまりまだ未入手のものが5種あるということで、コレクション意欲が高まります。手元のアルバムでは1967年録音のDECCAのセッション録音がピアノの美しい響きが録られたバランスの良い名演奏としておすすめできるものですが、リヒテルの鋼のような強靭なタッチの快感に酔うという面は少し弱いもの。ということでコンサートの模様を興奮とともに詰め込んだライヴ盤に興味が湧くわけです。このアルバムは1967年とライヴの中では最も新しいもの。しかもロンドンでBBCによる放送用の録音ということで、録音にも期待できそう。アルバムの解説によればもともとモノラルの音源をアンビエント・マスタリングで聴きやすく仕上げたということです。
Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
冒頭の分厚い響きは流石にリヒテル。セッション録音とは異なり豪放な入りに電気ビリビリ。速めのテンポで音楽に力と勢いが漲り、そしてこれぞリヒテルという彫刻的な立体感。あまりに見事なフォルムにうっとりします。この力感とイキイキとしたリズム感、そしてふと力を抜いた部分の静寂感の神がかったバランス。録音はセッション録音とはだいぶ差がつきますが、1967年のライヴとしては悪くありません。モノラルをアンビエント・マスタリングで処理しているのも不自然ではありません。リヒテルの力感は力任せというのとまったく異なり、一人だけ異次元の走りをみせるウサイン・ボルトのように圧倒的な余裕のなかでの迫力。アムランに代表される、青白い炎をカミソリでえぐるような切れ味の最新の演奏と比べると、古風に感じなくもありませんが、それでもその個性は際立つもの。
アダージョでは鋼のような強靭さをすこし緩めて孤高の表情で美しいメロディーを置いていきます。それでも左手による低音の強靭さは隠しきれず、何か背後に大きな意思があるのを不気味に感じさせるような大きな音楽を造っていきます。
フィナーレはキレキレ。これで録音がよけれがものすごい迫力を味わえたことでしょう。リヒテルがさらりと弾きこなす速いパッセージの鮮やかなキレをそこここに散りばめ、そして余裕をもってそれをつなぎ合わせて音楽組み立てます。あまりに鮮やかなフィニッシュに最後は拍手が降り注ぎます。
リヒテルの1967年のロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライブの冒頭に演奏されたハイドンの傑作ソナタ。期待を裏切らない名演でした。強靭なタッチによる険しいハイドン。ただし表現には余裕があり、力任せの演奏とはまったく異なり、孤高の個性という次元。ハイドンの曲のなかでも力感が映える曲をこれほどまでに見事に演奏されてはかないません。ライブなので少々のタッチの乱れはありますが、音楽の乱れは微塵もなく堅固なもの。流石リヒテルという演奏でした。評価は[+++++]とします。
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