【新着】深沢亮子のピアノソナタ集(ハイドン)
今日は日本人奏者のアルバム。

TOWER RECORDS / amazon
/ HMV ONLINE
深沢亮子のピアノによるハイドンの主題と6つの変奏(Hob.XVII:5)、アンダンテと変奏曲(XVII:6)、ピアノソナタ(XVI:52)、シューベルトのピアノソナタ18番「幻想」の4曲を収めたアルバム。収録は2014年10月21日から22日にかけて東京の稲城市立iプラザホールでのセッション録音。レーベルは日本のART UNION。
いつものようにハイドンに関する最近リリースされたアルバムを検索していて出会ったアルバム。日本人によるハイドンの演奏は多くはありませんので目につきます。しかもアンダンテと変奏曲やXVI:52などハイドンも名曲を配置したアルバム。深沢亮子さんは初めて聴く人ということで気になって注文を入れた次第。
深沢亮子さんは私が知らなかっただけで、よく知られた人のようですね。12歳で日本学生音楽コンクール小学校の部で1位、15歳で日本音楽コンクール1位を獲るなど早くから才能が開花、17歳でウィーン音楽大学に留学し同校を首席で卒業、翌年にはムジークフェラインのブラームスザールでデビューリサイタルを開きました。1961年にはジュネーブ国際音楽コンクールで1位なしの2位となり、以後ヨーロッパ、アジアなどでソロやオケとの共演を重ねてきたとのこと。近年ではウィーンのベートーヴェン国際ピアノコンクールの審査員や、日本音楽舞踏会議の代表理事などを務めているとのこと。
このアルバムのタイトルは"Fantasie(幻想曲)"ということで、最後に置かれたシューベルトのソナタがメインのようですが、私にはもちろんその前に置かれたハイドンの3曲がメイン。早速CDプレイヤーにかけます。
Hob.XVII:5 Tema con 6 variazioni "Faciles et agreables" 「やさしく快適」 [C] (1790)
最新の録音だけあって超鮮明なピアノにホールの空気感まで伝わる素晴らしい録音。ピアノの実在感もあり、響きも非常に美しく録られています。事前に想像したよりかなりハツラツとした演奏。かっちりとした明確なタッチでハイドンの変奏曲がクッキリと描かれます。ほのかに情感も漂う理想的な演奏。高音の磨き抜かれたタッチ、そして左手のタッチも力強く、淀みなく音楽が流れます。教科書的な堅苦しさは微塵もなく澄み渡る奏者の心境を表すような晴朗さ。1曲目から引き込まれます。
Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
そして名曲のアンダンテと変奏曲。15分以上の演奏もあるなか、9’25とかなり短めの演奏時間。速めのテンポで今度は行書体のようなしなやかなタッチで入ります。磨き抜かれた美しいピアノの響きはそのままに、アゴーギクを効かせて流れるような演奏。前曲の明晰なタッチとは表現を変えてきます。詩情はより濃くなり、さながら桜の花びらが川面を流れていくような景色を感じさせます。変奏ごとにメロディが恣意的に踊り、短調のメロディーの微妙な翳りの変化を描き分けていきます。終盤の盛り上がりはベートーヴェンのような力感ではなく、枯淡の境地を表すような風情。曲ごとにアプローチを周到に変えています。
Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
そしてこちらもハイドンの最後期の傑作ソナタ。どちらかというとアンダンテと変奏曲に近い自在な表現から入ります。堂々としたこのソナタの1楽章に、少々の軽妙さを与えたいのでしょうか、力任せではなく、柔らかなタッチも織り交ぜ、特徴的な高音の輝きを帯びたメロディーをベースとした表現。リズムをすこし溜めながらアクセルをコントロールして曲に立体感を与えています。アンダンテと変奏曲では、しなやかな表情の変化が詩情を生んでいましたが、このソナタの1楽章では、そのしなやかさとデリケートさが、もう少し骨太な演奏を求めてしまう印象も残しました。
続くアダージョは逆にしなやかな音楽がすっと耳に馴染みます。このソナタに私が期待するものが既存の演奏の影響で残っているのでしょう、それがアダージョではすんなりと入るということかもしれません。きらめく星空のようなメロディーがゆったりと心に沁みます。
フィナーレでは最初の連続音の鳴らし方に音色に対する感覚の鋭さに驚かされます。スタイルは一貫してしなやかな流れのなかででのきらめきと詩情。やはり他の演奏の刷り込みからか左手のアタックの力強さや響きの厚みがもう少し加わればとの期待も感じさせます。
この後のシューベルトは流石にアルバムタイトルにしているように、じっくりと染み入るような響きを楽しめます。
深沢亮子さんの奏でるハイドンのピアノソナタ。ハイドンとシューベルトを並べてベテランピアニストの今の音楽を世に問う意欲的なアルバム。冒頭に置かれた珍しい主題と6つの変奏はこの曲でも指折りの出来と言っていいでしょう。素晴らしく鮮明な録音によって輝かしくも晴朗な音楽が流れます。そして名曲アンダンテと変奏曲ではこの素晴らしい構成の曲に柔らかな詩情ときらめきを与え、こちらも絶品。ハイドン最後のソナタは、あと少しの力感がと思わせますが、やはりその表現には色濃い音楽が宿っていました。流石の出来といって良いでしょう。評価は最後のソナタが[++++]、前2曲の変奏曲は[+++++]とします。

深沢亮子のピアノによるハイドンの主題と6つの変奏(Hob.XVII:5)、アンダンテと変奏曲(XVII:6)、ピアノソナタ(XVI:52)、シューベルトのピアノソナタ18番「幻想」の4曲を収めたアルバム。収録は2014年10月21日から22日にかけて東京の稲城市立iプラザホールでのセッション録音。レーベルは日本のART UNION。
いつものようにハイドンに関する最近リリースされたアルバムを検索していて出会ったアルバム。日本人によるハイドンの演奏は多くはありませんので目につきます。しかもアンダンテと変奏曲やXVI:52などハイドンも名曲を配置したアルバム。深沢亮子さんは初めて聴く人ということで気になって注文を入れた次第。
深沢亮子さんは私が知らなかっただけで、よく知られた人のようですね。12歳で日本学生音楽コンクール小学校の部で1位、15歳で日本音楽コンクール1位を獲るなど早くから才能が開花、17歳でウィーン音楽大学に留学し同校を首席で卒業、翌年にはムジークフェラインのブラームスザールでデビューリサイタルを開きました。1961年にはジュネーブ国際音楽コンクールで1位なしの2位となり、以後ヨーロッパ、アジアなどでソロやオケとの共演を重ねてきたとのこと。近年ではウィーンのベートーヴェン国際ピアノコンクールの審査員や、日本音楽舞踏会議の代表理事などを務めているとのこと。
このアルバムのタイトルは"Fantasie(幻想曲)"ということで、最後に置かれたシューベルトのソナタがメインのようですが、私にはもちろんその前に置かれたハイドンの3曲がメイン。早速CDプレイヤーにかけます。
Hob.XVII:5 Tema con 6 variazioni "Faciles et agreables" 「やさしく快適」 [C] (1790)
最新の録音だけあって超鮮明なピアノにホールの空気感まで伝わる素晴らしい録音。ピアノの実在感もあり、響きも非常に美しく録られています。事前に想像したよりかなりハツラツとした演奏。かっちりとした明確なタッチでハイドンの変奏曲がクッキリと描かれます。ほのかに情感も漂う理想的な演奏。高音の磨き抜かれたタッチ、そして左手のタッチも力強く、淀みなく音楽が流れます。教科書的な堅苦しさは微塵もなく澄み渡る奏者の心境を表すような晴朗さ。1曲目から引き込まれます。
Hob.XVII:6 Andante con Variazioni op.83 [f] (1793)
そして名曲のアンダンテと変奏曲。15分以上の演奏もあるなか、9’25とかなり短めの演奏時間。速めのテンポで今度は行書体のようなしなやかなタッチで入ります。磨き抜かれた美しいピアノの響きはそのままに、アゴーギクを効かせて流れるような演奏。前曲の明晰なタッチとは表現を変えてきます。詩情はより濃くなり、さながら桜の花びらが川面を流れていくような景色を感じさせます。変奏ごとにメロディが恣意的に踊り、短調のメロディーの微妙な翳りの変化を描き分けていきます。終盤の盛り上がりはベートーヴェンのような力感ではなく、枯淡の境地を表すような風情。曲ごとにアプローチを周到に変えています。
Hob.XVI:52 Piano Sonata No.62 [E flat] (1794)
そしてこちらもハイドンの最後期の傑作ソナタ。どちらかというとアンダンテと変奏曲に近い自在な表現から入ります。堂々としたこのソナタの1楽章に、少々の軽妙さを与えたいのでしょうか、力任せではなく、柔らかなタッチも織り交ぜ、特徴的な高音の輝きを帯びたメロディーをベースとした表現。リズムをすこし溜めながらアクセルをコントロールして曲に立体感を与えています。アンダンテと変奏曲では、しなやかな表情の変化が詩情を生んでいましたが、このソナタの1楽章では、そのしなやかさとデリケートさが、もう少し骨太な演奏を求めてしまう印象も残しました。
続くアダージョは逆にしなやかな音楽がすっと耳に馴染みます。このソナタに私が期待するものが既存の演奏の影響で残っているのでしょう、それがアダージョではすんなりと入るということかもしれません。きらめく星空のようなメロディーがゆったりと心に沁みます。
フィナーレでは最初の連続音の鳴らし方に音色に対する感覚の鋭さに驚かされます。スタイルは一貫してしなやかな流れのなかででのきらめきと詩情。やはり他の演奏の刷り込みからか左手のアタックの力強さや響きの厚みがもう少し加わればとの期待も感じさせます。
この後のシューベルトは流石にアルバムタイトルにしているように、じっくりと染み入るような響きを楽しめます。
深沢亮子さんの奏でるハイドンのピアノソナタ。ハイドンとシューベルトを並べてベテランピアニストの今の音楽を世に問う意欲的なアルバム。冒頭に置かれた珍しい主題と6つの変奏はこの曲でも指折りの出来と言っていいでしょう。素晴らしく鮮明な録音によって輝かしくも晴朗な音楽が流れます。そして名曲アンダンテと変奏曲ではこの素晴らしい構成の曲に柔らかな詩情ときらめきを与え、こちらも絶品。ハイドン最後のソナタは、あと少しの力感がと思わせますが、やはりその表現には色濃い音楽が宿っていました。流石の出来といって良いでしょう。評価は最後のソナタが[++++]、前2曲の変奏曲は[+++++]とします。
- 関連記事
-
-
ボビー・ミッチェルによるソナタ集(ハイドン)
2015/08/25
-
園田高弘のピアノソナタ集(ハイドン)
2015/07/25
-
【新着】オリヴィエ・カヴェーによるピアノソナタ集(ハイドン)
2015/07/05
-
リヒテルのXVI:52 1967年ロンドンライヴ(ハイドン)
2015/06/11
-
【新着】深沢亮子のピアノソナタ集(ハイドン)
2015/06/06
-
ファブリツィオ・キオヴェッタのピアノソナタ集(ハイドン)
2015/03/21
-
【新着】ラザール・ベルマンのXVI:27 1972年ミラノライヴ(ハイドン)
2015/02/08
-
キャロル・セラシのクラヴィコードによるXVI:20(ハイドン)
2015/02/05
-
【新着】ギルバート・カリッシュのピアノソナタXVI:52(ハイドン)
2014/11/09
-