作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】トリオ・ショーソンのピアノ三重奏曲集(ハイドン)

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いろいろ仕入れているんですが、いつもながら消化の速度が追いついていません。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV ONLINEicon

トリオ・ショーソン(Trio Chausson)によるハイドンのピアノ三重奏曲3曲(XV:27、XV:1、XV:12)、フンメルのピアノ三重奏曲No.2 opus 22の4曲を収めたアルバム。収録は2014年7月、パリ近郊のアンギャン=レ=バンにあるアートセンターでのセッション録音。レーベルは仏MIRARE。

トリオ・ショーソンはもちろんはじめて聴く団体。ちょっと前にレビューしたトリオ・フリューシュチュックもそうですが、若手演奏家のアルバムを聴くのは楽しみですね。いつものようにちょっと調べてみました。

Trio Chausson

トリオ・ショーソンの結成は2001年。フランスはボルドーの南東にある街クラレック(Clairac)で同年に開催されたクラレック音楽祭で最初のコンサートを行い、その時ショーソンの作品を演奏したことからトリオ・ショーソンと命名したとのこと。3人ともパリ国立音楽院で器楽と室内楽をピエール=ローラン・エマールの元で学び、卒業後も室内楽コースで学んでいます。2005年にはドイツのワイマールで開催されたヨゼフ・ヨアヒムコンクールで1等を獲得、そして2007年には将来性ある若手音楽家に贈られる「ライジング・スター賞」を受賞。その年、ニューヨークのカーネギーホールをはじめとする有名ホールでの演奏機会に恵まれ、以後世界的に活躍しています。録音はMIRAREレーベルからリリースされ、このハイドンが最新盤で5枚目になります。メンバーは下記のとおり。

ピアノ:ボリス・ド・ラロシェランベール(Boris de Larochelambert)
ヴァイオリン:フィリップ・タレク(Philippe Talec)
チェロ:アントワーヌ・ランドウスキ(Antoine Landowski)

ピエール=ローラン・エマールに師事したフランスの若手トリオということで、エマールのピアノのような色気さえ感じられるような眩いばかりの輝かしさが聴かれるのでしょうか。

Hob.XV:27 Piano Trio (Nr.43/op.75-1) [C] (1796)
非常にクリアな録音。しかも緻密で奥行きの深いいい響き。有名曲を最初にもってきましたが、まさにエマールを彷彿とさせるクリアなピアノ。ヴァイオリンもチェロもリズムが軽く、カミソリのようなキレ。ピアノがつくるリズムにのって実に軽やかに演奏していきます。独墺系のトリオと異なり、響きがカラッと明るく、しかも時折り華やかな装飾音を織り交ぜ、フランスの香りを加えます。重厚さはあえて避け、チェロの音色も軽め、そしてヴァイオリンとピアノがクッキリと浮かび上がる鮮鋭な表情。ハイドンのピアノトリオはどれも素晴らしい曲なんですが、トリオ・ショーソンの演奏で聴くと、華やかさが際立ちます。
アンダンテに入るとピアノの磨き抜かれた美しい響きに耳を奪われます。途中から鋭いアクセントが連続しますが、キレの良さで聴かせ、ゆったりと癒される部分に楔を打つような迫力。
フィナーレもこれ以上ないようなリズムのキレが痛快。キレの良さが半端ではありません。ハイドンらしいかどうかということを超越して、この曲に仕込まれた楽興をトリオ・ショーソン流に引き出したという感じ。

Hob.XV:1 Piano Trio (Nr.5) [g] (c.1760-62?)
ハイドンのピアノトリオの中でもかなり早期の作品。作曲年代はシュトルム・ウント・ドラング期の前になるもの。前曲とはかなり構成も違い、後年の成熟とは異なり、素朴なハイドンの魅力溢れる曲。これだけのテクニックの持ち主たるトリオ・ショーソンがこの曲を選んだということで、やはりハイドンの音楽の魅力は後年の鮮やかな筆致にのみあるのではないとでも言いたいというところでしょうか。この素朴な曲も最上の演奏で輝きを帯び、実に美しい表情を魅せます。音数も起伏も前曲とは比べるべくもありませんが、音楽の輝きは勝るとも劣りません。
2楽章はメヌエットで、不思議に哀愁を帯びたメロディーがぐぐっと迫ります。メロディーと構成がシンプルな分、演奏のキレの良さが鮮明に伝わります。ピアノのラロシェランベールの見事なリードにヴァイオリンのタレクが完璧に追随、そしてチェロのランドウスキも完璧に寄り添います。
フィナーレでもピアノの堅固なリズムにのってヴァイオリンとチェロが完璧なアンサンブルを聴かせます。見事。

Hob.XV:12 Piano Trio (Nr.25/op.57-2) [e] (1788)
フンメルのピアノトリオを挟んで、最後の曲。短調の劇的な始まりが印象的な曲。すでにトリオ・ショーソンの妙技に釘付けゆえ、ゆったりと曲を楽しむスタンス。この曲ではキレの鮮やかさのみならず、間をしっかりとって曲の構造をクッキリと浮かび上がらせて、印象付けます。この余裕はテクニックばかりではないとの自信からでしょう。音楽的な表現力も素晴らしいものを持っています。
アンダンテはピチカートが効果的に使われ、詩情が漂う曲。独特の間の美しさと諦観を感じさせるようなメロディーが交錯するかなり変わった曲調。相変わらずピアノの磨き抜かれた響きは絶品。アンサンブルの精度もスキのないもの。
最後のフィナーレは小気味良いキレでまとめますが、中間部の迫力も、最後のフィニッシュも見事。名演です。

トリオ・ショーソンによるハイドンのピアノトリオ3曲。盛期、初期、中期の作品を並べ、それぞれの良さをしっかりと描きわけてくるあたり、ただのキレもの3人組という存在ではなく、音楽的に実に深いところをしっかりと押さえる力量の持ち主と見ました。このハイドン、絶品の仕上がりと言っていいでしょう。演奏、選曲、録音ともに素晴らしい出来。流石エマール門下といったところでしょう。ピアノ三重奏曲のオススメアルバムですね。評価は3曲とも[+++++]とします。

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