作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

イェンセン/読響/シュタイアーのモーツァルト、ショスタコーヴィチ(サントリーホール)

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昨日は仕事山積みのなか、そそくさと切り上げてチケットをとってあったコンサートにでかけました。

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読売日本交響楽団:第548回定期演奏会

お目当てはフォルテピアノで自在な演奏を聴かせるアンドレアス・シュタイアー。あまりよく考えずにシュタイアーのフォルテピアノを生で聴いてみたいと思ってチケットをとったんですが、ホールに入ってステージに準備されていたのはフォルテピアノではなくピアノ! 先入観からシュタイアーはフォルテピアノを弾くイメージしかなかったため、ちょっと裏をかかれた感じ。プログラムはよく見てチケットを買わなくてはいけませんね(笑)

曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲17番とショスタコーヴィチの交響曲7番「レニングラード」。まあ、このコンサートの来場者の半分以上はショスタコーヴィチ目当てかと思われますが、私はあまりそちらに関心はありませんでした。ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンは好きですし、ブルックナー、マーラー、ファリャ、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、デティユー、メシアン、ブーレーズも守備範囲ですが、正直ショスタコーヴィチは守備範囲外です(笑) 唯一好きなのは交響曲9番とショスタコーヴィチでは変り種。ということで、事前の関心はもっぱらモーツァルト。ショスタコーヴィチは完全にオマケあつかいでした。

奏者についても、この日の指揮者、エイヴィン・グルベルグ・イェンセンは読響初登場ということで、未知の若手指揮者を聴くのも悪くないという程度。

しかし、この日のコンサートで衝撃を受けたのはエイヴィン・グルベルグ・イェンセンのショスタコーヴィチでした。



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いつもどおり、仕事を切り上げてサントリーホールについたのは開演15分前くらい。先に入っていた嫁さんが首尾よくドリンクコーナーでサンドウィッチとワインを注文して待ってましたので、軽く腹ごしらえして、いざホールに入ります。座席はお気に入りのRA席。この日は前から2列目でした。

1曲目のモーツァルトの17番。全く未知のイェンセンでしたが、モーツァルトの序奏からいきなりしなやかな響きを聴かせ、引き込まれます。読響がまるでウィーンフィルのように柔らかに、しかも非常に美しい音色に響きます。優雅にのびのび、しかも要所でクッキリ緩急とアクセントをつける見事なコントロール。イェンセンの略歴を見ると直前までハノーファー北ドイツ放送フィルの首席指揮者を務め、また多くの歌劇場でオペラを振ってきただけにオケを実に巧みにコントロールします。かなりアクションは大きいのですが、動作が流麗なので指示が非常にわかりやすいです。ピアノソロは、ピアノの蓋が正面に向けて開けられていたのでRA席からだと直接音があまり聴こえず、ホールに響くピアノの音を聴く感じ。ピアノ協奏曲の時はRA席ではない方がいいかもしれません。肝心のシュタイアー、手元にある多くのフォルテピアノの録音では鮮烈なキレと自在な緩急による素晴らしい演奏が多く、やはりそんな演奏を期待して聴いてしまうのですが、ピアノでのシュタイアーは、そうしたキレの片鱗を感じさせるものの、演奏スタイルはリズムを少し砕いて、力を抜いた大人な表現。まるで自宅でピアノを前に指慣らしをしながら軽くオケに合わせていくよう。モーツァルトを自身で楽しむような演奏でした。
1曲目のモーツァルトですが、印象に残ったのはイェンセンの繰り出すしなやかな音楽。読響もイェンセンに応えて素晴らしい出来。お客さんも万雷の拍手で演奏を称えました。シュタイアーも快心の出来だったようで、アンコールでモーツァルトのソナタK.330の1楽章が演奏され、こちらも力の抜けた流して弾くようなタッチで聴かせる大人の技。フォルテピアノの冴え渡るキレとは全く別のシュタイアーを楽しむことができました。

休憩の間にピアノが下げられ、ステージ上は大オーケストラ用の配置に転換されます。

オケが入場して、笑顔のイェンセンが颯爽と登場。守備範囲外のショスタコーヴィチをどう料理してくるのか恐る恐る聴き始めます。ショスタコーヴィチ独特の散らかり感ですが、イェンセンの非常に丹念な描写に、あっという間に引き込まれます。長大な(本当に長大!)な1楽章、中間部にラヴェルのボレロを丸ごとショスタコーヴィチ流にアレンジしたような曲が挟まりますが、オケの精度が素晴らしく、特に小太鼓が極度の緊張感の中一定のテンポでリズムを刻み続ける姿を観客も固唾を飲んで見守ります。のけぞるようにバックスイングをともなってオケを煽るイェンセンですが、紡ぎ出される音楽は素晴らしい精度。1楽章はパーカッション郡も金管も大活躍。そして何より素晴らしかったのが各パートの音色の美しさ。途中ヴィオラが奏でるメロディーには鳥肌がたつような美しさ。木管、弦楽器、そしてピアノまでが響きの美しさの限りを尽くした演奏。戦争をテーマにした抑圧された心情のこの曲のなかの一瞬のきらめきのような瞬間がそこここに降り注ぎ、不協和音のなかに虹が浮かぶような不思議な美しさがちりばめられます。読響は私が聴いたなかでは一番の精度。この難曲なのに完璧な演奏で指揮者の期待に応えました。圧倒的な1楽章から普通の長さの2楽章、3楽章、そして間をおかずにフィナーレに続き、最後はブルックナーばりの大伽藍。ホールを揺るがすような大音響がイェンセンに巻き取られて、しばしの沈黙。イェンセンがタクトを下ろした途端にブラヴォーの嵐が降り注ぎました。正直ショスタコーヴィチの真価を初めて身をもって浴びた感じです。もちろんショスタコーヴィチなど詳しいわけもない嫁さんも圧倒され、ワナワナしてました。

イェンセンも会心の出来に満足したようで、小太鼓を皮切りに全奏者を丁寧に指名して祝福。やはり奏者の努力があっての名演奏であることをよくわきまえているようで、なかなかの人柄であることもわかりました。スクロヴァチェフスキからカンブルランときている首席指揮者ですが、つぎはこのイェンセンなどいいかもしれません。

イェンセン、ショスタコーヴィチ、そしてシュタイアーを目一杯楽しめたコンサートでした。今後イェンセンからは目が離せませんね。



ということで、モーツァルトとショスタコーヴィチに酔いしれたコンサートでした。サントリーホールを出るといつものように目の前のアークヒルズのなかの適当なお店で夕食をとって帰ります。この日はおなじみのカレー。

食べログ:フィッシュ

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ここは遅くまでやっているのでコンサート帰りにたまに寄るのでですが、前より味が良くなってますね。まずはビールとコンビネーションサラダ。

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こちらが定番白身魚のカリーライス。揚げた白身魚の旨みがカレーにいい香りを加えていて、癖になる味。

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こちらはキーマカリーライス。なんでしょう、日本のカレーとはかなり異なる香辛料の強烈な香りをベースとしたカレー。こちらも旨いです。

ショスタコーヴィチに酔ったところでカレーを食べながら反省会。このあとの読響のスケジュールを見るとハイドンも幾つかあります。どうしようかな~(笑)

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