作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

マクシミリアン・ホルヌングのチェロ協奏曲集(ハイドン)

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SONY CLASSICALから続々とリリースされているハイドンの新譜からの1枚。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV ONLINEicon

マクシミリアン・ホルヌング(Maximilian Hornung)のチェロ、アントネッロ・マナコルダ(Antonello Maanacord)指揮のポツダム室内アカデミー(Kammerakademie Potsdam)の演奏で、ハイドンのチェロ協奏曲1番、ラトヴィアの作曲家、ヴァージャ・アザラシヴィリのチェロ協奏曲を挟んでハイドンのチェロ協奏曲2番の曲を収めたアルバム。収録は2014年3月5日から7日、ベルリンのイエス・キリスト教会でのセッション録音。レーベルはSONY CLASSICAL。

最近続々とハイドンの新譜をリリースしているSONY CLASSICAL。このアルバムも例に漏れずなかなか質の高いプロダクションに仕上がってます。

ネットをいろいろ調べてみるとチェロのマクシミリアン・ホルヌングは1986年、ドイツのアウグスブルク生まれの若手チェリスト。8歳からチェロを始め、あのダヴィド・ゲリンガスにも師事。2005年にはドイツ音楽評議会のコンクールで入賞して頭角を現わします。その後テックラー・トリオ(Tecchler Trio)のチェリストとして2011年まで活躍します。2007年にはARD音楽コンクールで優勝。2010年からはSONY CLASSICALと専属録音契約を結び、最初にリリースしたアルバムでエコー・クラシックで年間最優秀新人賞受賞、そして翌年リリースしたセバスチャン・テヴィンケル指揮のバンベルク響とのドヴォルザークのチェロ協奏曲のアルバムで同じくエコー・クラシックの年間最優秀チェロ協奏曲賞を受賞するなど目覚ましい活躍ぶりです。2009年から2013年までバイエルン放送響で首席チェロ奏者を務めたほか、アンネ=ゾフィー・ムター財団からも支援を受けるなど、すでに大物への道を歩んでいるようです。2014年に来日しているのでおなじみの方もいるでしょう。また今年の7月にも来日予定が組まれています。

指揮者のアントネッロ・マナコルダは2010年よりこのアルバムのオケであるポツダム室内アカデミーの首席指揮者であり、ヨーロッパの名だたるオケ、歌劇場に客演している人。日本での知名度はイマイチですが、録音を聞く限りスッキリとした音楽を作る人というところでしょう。

すでに名盤が数多あるチェロ協奏曲の新録音。新風を吹かせることができるでしょうか。

Hob.VIIb:1 Cello Concerto No.1 [C] (1765-7)
速目のテンポでのそよ風のような心地良い入り。オケはかなり爽やか系。ところどころにキリリとアクセントを効かせてきますが、全く練らず、一貫して爽やかな伴奏。ホルヌングのチェロはそれを受けて、こちらも爽やか系。弓の抵抗が感じられないほどにサラサラとメロディーを置いていきます。まさに淡麗系の演奏。オケ同様よく聴くとアクセントはくっきり明快につけ、サラサラながらキリリとした表情を保ちます。さすがにチェロの高音の伸びは素晴らしく、時折ドキッとさせられます。1番のハ長調の晴朗さが、5月の湿度の低い爽やかな風を浴びて一層爽やかさを増しているように聴こえます。カデンツァではホルヌングの軽さを活かした美音の魅力をたっぷり聴かせます。
アダージョは爽やかな魅力を保ちつつ、ホルヌングの美音をゆったりと響かせる聴かせどころ。オケはかなり抑えてホルヌングのチェロの引き立て役に徹します。録音は自然な残響が美しいなかなかいい録音。さっぱりとスタイリッシュながら詩情も濃く乗った名演奏。
フィナーレはかなりエッジを立てて粒立ちの良さを鮮明にしようとしています。ヴァイオリンの音階をあえてクッキリと目立たせることでシャープな印象が際立ちます。ホルヌングのテクニックが冴え渡り、オケもそれに呼応。疾風のようなフィナーレでした。

Hob.VIIb:2 Cello Concerto No.2 [D] (1783)
1番同様、ちょっと早めなテンポに乗って、爽やか系の演奏。もとより癒し系の2番ですが、ハイドンの曲自体よりも、このホルヌングとマナコルダのコンビによる演奏のキレの良さに耳がいきます。よく聴くとホルヌングのチェロは音色が刻々と変わり、変化の幅も見事なもの。ともすると単調になりがちな部分も実に爽やかにまとめてきます。特に速い音階の爽やかな切れ味が聴き所。ただし長大な1楽章の音楽の構造を前にすると表現が音色と演奏スタイルというちょっと表面的な部分で勝負しているように感じなくもありません。音色の美しさキレの良さの魅力が目立たちすぎて、音楽の深みにまで到達してこない印象も残してしまいます。カデンツァはホルヌングの美音とテクニックが堪能できるもの。
短いアダージョでは逆に音量を落として、音色ではなく音楽の深みが感じられるから不思議なものです。そしてフィナーレも晴れ渡る秋空のような爽やかでまとめました。

新進気鋭の若手チェリスト、マクシミリアン・ホルヌングによるハイドンのチェロ協奏曲集ですが、これまでの数多のこの曲の演奏のなかでは、やはり新しさを感じさせる演奏であり、このチェリストの才能はかなりのものとわかりました。1番はそうしたホルヌングの演奏がマッチしていましたが、2番では特に1楽章でちょっと音色の方に関心が移り、音楽の深遠さを感じさせるところまでいいっていない印象でした。ここがハイドンの演奏の難しいところでしょう。これだけの才能がある人ゆえ、歳を重ねていくにつれ、音楽に深みがでてくるでしょう。評価は1番が[+++++]、2番は[++++]としたいと思います。

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