作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】トリオ・フリューシュチュックのXV:13(ハイドン)

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世の中はゴールデンウィーク。当方は先日書いたようにラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンに出かけたり、歌舞伎に出かけたり、近所の神代植物公園に出かけたり、庭の草むしりをしたり、そして所有盤リストをHTML5に書き換えたりと、なんだか適当にすごしました。報道では高速道路は軒並み大渋滞。この時期は遠出はご法度と決めております。ということで、音楽も少しは聴く余裕ができたのでレビューです。

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amazon / HMV ONLINEicon

トリオ・フリューシュチュック(Trio Frühstück)の演奏で、ハイドンのピアノ三重奏曲(Hob.XV:13)、オーストリアの若手作曲家トーマス・ワリー(Thomas Wally)のカプリース、ブラームスのピアノ三重奏曲(Op.101)の3曲を収めたアルバム。収録は2014年4月14日から16日にかけて、オーストリア東部のライディング(Raiding)にあるフランツ・リスト・センターでのセッション録音。レーベルは墺Gramola。

トリオ・フリューシュチュックは初めて聴く団体。手に入れたアルバムのジャケットには奏者の姿はなく、楽器とそれを掴む手などにスポットライトを当てただけのアーティスティックなもの。一目でGramolaとわかる赤茶の帯も印象的ですが、CDを取り出そうとパッケージを開けてみると、ライナーノーツの裏側には思わせぶりな美女3人が写っているではありませんか。若い女性3人によるトリオと手に入れてからわかりました。日本では明らかにアイドル系に振ってきそうな予感がしますが、このジャケットの造りはなかなか凝っています。

メンバーは以下のとおり。

ピアノ:クララ・フリューシュチュック(Clara Frühstü)
ヴァイオリン:マリア・サヴェルタール(Maria Sawerthal)
チェロ:ゾフィー・アブラハム(Sophie Abraham)

トリオの名前はピアノのクララ・フリューシュチュックの名からとったもののようですね。結成は2010年と最近。当初はウィーン音楽院で学び、近年はウィーン音楽大学で学んでいるとのこと。2011年にはブラームス国際コンクールで特別賞を受賞しています。演奏活動はヨーロッパが中心のようですが2013年にはサントリーホールでも演奏していますので、お聴きになった方もいらっしゃるかもしれませんね。

さて、肝心の演奏。ハイドンのピアノトリオでもかなり地味な曲、そして現代音楽、ブラームスのピアノトリオを組み合わせてくるという意欲的な構成。冒頭のハイドンは、アイドル系ではなく、静寂さ、精緻さを感じさせる名演でした。

Hob.XV:13 Piano Trio (Nr.26/op.57-3) [c] (before 1789)
2楽章構成の曲。1楽章はアンダンテ。静寂の中にピアノと弦がすっと現れる印象的な入り。ゆったりとしながらも精妙な雰囲気が漂い、演奏の精度は緻密。実に自然で各楽器の存在感が際立ちます。ゆったりとメロディーを奏でているのに現代音楽のようなクッキリとした翳りを感じる、緊張感あふれる演奏。フリューシュチュックのピアノの詩情が際立ち、それに合わせてヴァイオリンとチェロが従う感じ。各奏者の腕はかなりのもの。フレーズ毎に表情を巧みに切り替えながらも、実にゆったりと詩情を醸し出します。短調の入りから、陽が射すような明るさへの変化の実にデリケートなこと。聴き進むうちにフリューシュチュックのピアノの表情の豊かさに打たれます。これほどデリケートなニュアンスに富んだピアノは滅多に聴けるものではありません。曲が心にじわりと沁みてきます。響きの良いフランツ・リスト・センターでの最新の録音とあって、録音は超鮮明。名演を余すところなく伝えます。
2楽章はアレグロ・スピリトーソ。冒頭から、フリューシュチュックのピアノに釘付けです。豊かなニュアンスのピアノに寄り添うようにヴァイオリンとチェロが合いの手を入れるよう。チェロのアブラハムもかなりキレ良いボウイング。ヴァイオリンのサヴェルタールは存在感のあるヴァイオリンの音色で、じっくり合わせてきます。3人の息はピタリとあって終盤の盛り上がりの切れ味も抜群。フレーズ毎の表情の切り替えも鮮やか。実に見事な演奏でした。

この後のトーマス・ワリーのカプリースは、これぞ現代曲という音符とリズムの破裂のような音楽。こちらも演奏のキレと、現代性の表現は素晴らしいものがあります。もちろん初めて聴きますが、気に入りました。

オーストリア、ウィーンで学んだ若手美女3人組トリオ・フリューシュチュックによるハイドンのピアノトリオ。ジャケットがアイドル系ノリではない理由がわかりました。一流どころの演奏と比べても全く遜色ないどころか、ハイドンのピアノ三重奏曲の新たなスタンダードを築く演奏といってもおかしくないほどの素晴らしい演奏。しかも表現が先走るようなところは皆無で、自然な流れを保ちながらキリリと引きしまり、しかも詩情の深さも素晴らしいものがあります。私はかなり気に入りました。ということで評価[+++++]とします。この冴え渡る感覚、皆さんも味わってみてください。

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