作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】オラ・ルードナー/ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルの悲しみ(ハイドン)

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しばらく間を空けてしまいましたが、新着アルバムが続きます。

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TOWER RECORDS / amazon / HMV ONLINEicon

オラ・ルードナー(Ola Rudner)指揮のロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団(Württembergishe Philharmonie Reutlingen)の演奏で、モーツァルトの協奏交響曲KV.297b、ハイドンの交響曲44番「悲しみ」、ベートーヴェンの交響曲8番の3曲を収めたSACD。収録は2014年4月22日から25日、10月27日から28日、収録場所は記載されておりません。レーベルは独Ars Production。

このアルバムは最近リリースされたばかりのもの。指揮者もオケも馴染みがなく、聴く前からちょっと期待が高まります。

オラ・ルードナーはスウェーデン生まれの指揮者。ヴァイオリニストとしてジェノヴァで開催されたパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールで入賞したのをはじめに、シャーンドル・ヴェーグのアシスタントとなり、カメラータ・ザルツブルク、ウィーン・フォルクスオーパー、ウィーン交響楽団のコンサートマスターとして活躍しました。1995年にはフィルハーモニア・ウィーンを創設、2001年から2003年までタスマニア交響楽団、2003年から2007年までイタリア北部のボルツァーノのハイドン管弦楽団の首席指揮者務め、その後ハイドン管弦楽団の終身客演指揮者となっています。このアルバムのオケであるロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルには2008年から首席指揮者を務めているとのこと。日本ではあまり知られた人ではありませんが、地元スカンジナビア、オーストラリアなどでは広く知られた人のようですね。オペラも得意としているようで、フォルクスオーパーの常連のようです。

Ola Rudner

Hob.I:44 Symphony No.44 "Trauer" 「悲しみ」 [e] (before 1772)
SACDらしく広い空間にオケが響くようすがよくわかる録音。演奏は新たなリリースとしては珍しくオーソドックスで、手堅さが光るもの。オケは適度に粗さもあって、それが迫力につながっています。太い筆で勢いにのって書かれた書のよう。金管木管は抑え気味で弦楽器重視の端正なバランスの響き。1楽章は教科書的正統派の演奏。もう一歩の踏み込みがほしいいという余韻を残します。
つづくメヌエットも端正なテイストは変わらず、淡々と演奏を続けますが、短調の仄暗いメロディーから自然に立ち上る情感が滲みでてきてこうしたスタイルも悪くないとの印象。楽章ごとの対比ではなく滔々と流れる音楽の一貫性を重視しているようです。作為のない表現を通してハイドンの音楽の魅力が浮かび上がってきました。ルードナーはオケをきっちりコントロールしながら、自身の作為を極限までなくそうとしているような指揮ぶり。この名曲の魅力を実に自然に感じさせます。
つづくアダージョも同様。ここに至って、ルードナーのオーソドックスなコントロールも悪くないと思い始めます。前のメヌエット同様、ハイドンの美しいメロディーがしっとりと心に沁みてきます。元ヴァイオリン奏者らしく弦楽器のフレージングは実に丁寧で自然。この楽章の美しいメロディーが生成りの布のような優しい感触で包まれます。
フィナーレに入るとオケはギアチェンジしてかなりの迫力。特に分厚く響く弦楽器の迫力はかなりのもの。鮮明な録音により自然な厚みのある響きが心地よく伝わります。よく聴くと各パートともに実によく揃っています。鍛え上げられた弦楽器陣の響きが魅力のオケであることがわかります。明らかにフィナーレの力強さを意識した演奏でした。

つづくベートーヴェンの8番もハイドンの終楽章の力感を引き継いで、素晴らしい迫力の入り。こちらも端正さを基調にした好演。

オラ・ルードナーというスウェーデンの指揮者によるハイドンの名曲「悲しみ」。近年では珍しい実にオーソドックスな演奏。優秀な弦楽器陣の繰り出す分厚い響きを基調にした端正なハイドンです。録音も優秀なので、この交響曲の魅力をベーシックに伝えるいい演奏だと言っていいでしょう。古楽器や古楽器風の斬新な演奏も魅力的ですが、こうした地に足のついたアプローチの魅力も捨て難いですね。人によってはこうした演奏の方がハイドンの魅力が伝わるという意味で高評価となるかもしれませんが、私の評価は[++++]としておきます。

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