作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

パウルス・ファン・デア・メルヴェ/ヴァントのオーボエ協奏曲(伝ハイドン)

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前記事でオーボエ協奏曲を取り上げたのですが、手元の未聴盤ボックスにもう一枚素晴らしい演奏がありました。

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ギュンター・ヴァント(Günter Wand)指揮の北ドイツ放送交響楽団(NDR Symphony Orchestra)の演奏で、バッハのヴァイオリン協奏曲(BWV1041)、伝ハイドン作のオーボエ協奏曲(Hob.VIIg:C1)、モーツァルトのセレナータ・ノットゥルナの3曲を収めたCD-R。ハイドンの協奏曲のオーボエソロはパウルス・ファン・デア・メルヴェ(Paulus van der Merwe)。ハイドンの収録は1992年1月12日とだけ記載されています。

ヴァントにはもう一枚Profilからハンスヨルグ・シェーレンベルガーのソロ、ケルン放送交響楽団の演奏による1980年の録音がありますが、今回聴き比べてみたところ、今日取り上げるアルバムの方が演奏が良いため、こちらを取り上げた次第。ヴァントはハイドンでは交響曲76番を得意としていて、ライヴでかなりの回数取り上げていたようですが、この曲も複数の録音があるということで得意としていたのでしょうか。

演奏を聴く限り、全記事のコンセルトヘボウ室内管の演奏を超えるようなオケの充実ぶり。オーボエのソロを担当するパウルス・ファン・デア・メルヴェは調べたところ、このアルバムの演奏を担当する北ドイツ放送交響楽団の首席オーボエ奏者のようです。

ご存知ヴァントは北ドイツ交響楽団とは多くの録音を残しています。ヴァントがこのオケの首席指揮者となったのは1982年、クラウス・テンシュテットの後を受けて。そして1990年にはその座をジョン・エリオット・ガーディナーに譲っています。ということで、これはヴァントが首席指揮者の座をガーディナーに譲った直後の演奏ということになります。

前記事と同じ曲ですので解説のほうは前記事を御覧ください。

Concerto per il oboe [C] (Hob.VIIg.C1)
ヴァント独特の筋骨豊かながら推進力にあふれた演奏に序奏から盛り上がります。CD-Rらしからぬ実在感あるいい録音。オケの迫力は十分。これを聴いて前記事のコンセルトヘボウ室内管が小規模オケだったと気付かされます。メルヴェのオーボエは協奏曲らしくスポットライトをあてられ、くっきり浮かび上がります。音色の変化も大きく、伸びやさも十分。ヴァントの指示がキレているのか、ソロとオケの掛け合いもリズムがピタリと合って完璧なやりとり。コンセルトヘボウ室内管も良かったんですが、このヴァントのコントロールは流石と言わざるを得ません。ゆったりとした音楽が流れながらも彫刻的に引き締まったフォルムが圧倒的。交響曲76番の名演を彷彿とさせる説得力。1楽章最後には、メルヴェが鮮やかな音階のキレとオーボエ独特の唸るような美しい音色の長大なカデンツァを披露。
2楽章は独特の香りたつような音楽。オーボエの美しい音色に縁取られた可憐な花束のよう。オーケストラが次々と響きを変化させながら伴奏していきます。メルヴェも音色ばかりではなくメロディーの起伏をかなり意識た演奏で、ヴァントに負けないほどの起伏を感じさせます。
フィナーレに入ると規則正しいリズムに乗りながらもオケの力感が湧き上がる快感に酔いしれます。中盤、響きが短調に変わり、さっと光が射すような場面の面白さがヴァントのコントロールで際立ちます。オーボエもかなりの雄弁さでオケに負けていません。実に見事な演奏でした。

伝ハイドンのオーボエ協奏曲。前記事の演奏でなんとなくその面白さがわかってから興味がでてきました。手元にあるアルバムではこのアルバムの演奏がベストではないでしょうか。コンセルトヘボウ室内管とエルネスト・ロンボーの演奏も良かったのですが、オケとオーボエのバランス、オーボエの躍動感と響きの面白さ、そしてなによりヴァントがコントロールするオケの躍動感はこちらの方が上でしょう。偽作ではあっても、これまでにその音楽の面白さを認めた録音も多数あることを考慮すると、真贋ではなく音楽自体を楽しむべきでしょう。もちろん評価は[+++++]とします。

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