作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

クレーメルの「十字架上のキリストの七つの言葉」

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昨日のプレヴィンにつづき、クラシック以外での多彩な活動つながりでもあり、フィリップスつながりでもある、ギドン・クレーメルの「十字架上のキリストの七つの言葉」を取り上げましょう。今日は厳しいハイドンを。

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残念ながら、このアルバムも廃盤です。

録音は1981年7月。ヴァイオリンをクレーメルとカトリン・ラブス、ヴィオラをジェラール・コセ、チェロが岩崎洸というメンバーでの録音。

クレーメルといえば、カミソリのような鋭い切れ味のヴァイオリニストとして知られており、数々の名録音がありますが、本盤も名録音のひとつと言えるでしょう。
期待を裏切らない、孤高のヴァイオリンを聴かせます。この曲自体の曲想に潜む厳しさ、凛々しさをここまで毅然と表現できるのは彼だけなんじゃないかと思います。

クレーメルのヴァイオリンは深く心をえぐる気高い響きで毅然としたフレージング。ノリや情緒に流されることなく、淡々と曲を奏でていこうとする姿はプロそのもの。
クレーメルに比べるとまわりの3名はやや存在が薄い気もしないでもないですが、3名の伴奏によるクレーメルの独演会という極端な聴き方が出来ない訳でもありません。それだけクレーメルのフレージングの深さが違います。

この曲の編曲として、管弦楽版とオラトリオ版があるのが知られており、これらの編曲も含めて、この曲を考えていかなくてはなりませんが、私はこの弦楽四重奏曲版がもっとも緊張感が感じられて好きですね。

評価はもちろん[+++++]です。

今日もオマケの1枚を。
クレーメルはクラシック以外のアルバムも沢山出しているんですが、紹介したいのはクレーメルの鬼気迫るソロの魅力を楽しめる次の1枚。

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ミルシュタイン、シュニトケ、エルンスト、ロッホベルクなどの現代作曲家がパガニーニの曲に着想を得て作った曲を集めたアルバム。
なんと言うテクニックとなんと言う厳しい響き。クレーメル独特の空間に楔を打つような厳しさに耳をそばだてざるを得ません。クレーメルの圧倒的な存在感を思い知らされた1枚です。

今日紹介した十字架上の七つの言葉も、おそらくもっとも峻厳なハイドン演奏のひとつだと思います。
演奏家の視点によって、ハイドンの曲にも厳しい側面があることが浮き彫りになってしまう訳です。演奏という行為の範囲の広さを痛感させられる1枚でした。
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