作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヴィルモシュ・ザバディ、ペーテル・バールショニのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集(ハイドン)

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またまた、マイナー盤です。ご容赦ください(笑)

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ヴィルモシュ・ザバディ(Vilmos Szabadi)のヴァイオリン、ペーテル・バールショニ(Péter Bársony)のヴィオラでハイドンのヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ6曲(Hob.VI:1、VI:2、VI:3、VI:4、VI:5、VI:6)を収めたアルバム。収録は2004年12月20日から23日、ブダペストのフンガロトンスタジオでのセッション録音。レーベルはハンガリーのHUNGAROTON CLASSIC。

このアルバムも湖国JHさんに貸していただいているもの。ハイドンの曲の中でも知る人ぞ知る、ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲という激マイナーな曲のアルバムということで、当方の所有盤リストにないアルバムでもこうしたニッチなところを送り込まれては取り上げざるを得ません(笑)。

これまで、この6曲セットの二重奏曲は2度ほど他の奏者で取り上げています。

2012/08/12 : ハイドン–室内楽曲 : アントン・シュテック/クリスティアン・グーセズによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集
2012/06/05 : ハイドン–室内楽曲 : デーネシュ・コヴァーチュ/ゲーザ・ネーメトによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集

そのうちの1枚は今日取り上げるアルバム同様HUGAROTONからリリースされています。これだけマイナーな曲を複数リリースするというところにハイドンの地元でもあるハンガリーのレーベルの底力を感じるわけですね。

さて、曲については デーネシュ・コヴァーチュ盤をごらんください。

ヴァイオリンのヴィルモシュ・ザバディはハンガリーでは有名なヴァイオリニストのよう。1959年生まれでブダペストのフランツ・リスト音楽アカデミーで学び、最年少で教職についています。卒業後はシャーンドル・ヴェーグやルッジェーロ・リッチに学び、1982年に開催されたハンガリー放送ヴァイオリンコンクールで優勝して以降、様々な賞を獲得しています。1988年にショルティに招かれロンドンのロイヤル・フェスティヴァル・ホールで開催されたバルトーク音楽祭でのヴァイオリン協奏曲2番の成功以降、世界的にヴァイオリニストとして活躍するようになります。1992年にはショルティの80歳を祝う演奏会にチャールズ皇太子から招かれ演奏するなど、まさにハンガリーを代表するヴァイオリニスト。
ヴィオラのペーテル・バールショニはフランツ・リスト・アカデミーの教授であり、ソリスト、室内楽奏者などとしても活躍しています。ケラー弦楽四重奏団のメンバーである他、2000年からはコンサート・ブダペストのメンバーです。またブダペスト祝祭管弦楽団の主席ヴィオラ奏者あるほか、大阪センチュリー管弦楽団の主席ヴィオラ奏者としても招かれています。

ハンガリーの腕利き奏者2人によるハイドンのタイトなヴァイオリンとヴィオラのためのソナタがどう響くでしょうか。このアルバムのレビューにあたってこの曲の手元の5組のアルバムを改めてちょい聴きしてみました。その中でのこのアルバムの演奏の位置付けは、誠実かつ鼻筋の通った正統的演奏。リアルに響くヴァイオリンとヴィオラがきっちりくっきりメロディーを重ねていきます。アントン・シュテックらによる古楽器の演奏はしなやかな古楽器の残響にあふれた共鳴の変化を聴くような演奏。そして同じHUNGAROTONのデーネシュ・コヴァーチュらの演奏は楽器の響きがそぎ落とされ、響きの髄を聴くような禁欲的な演奏。そして未レビューのフェデリコ・グリエルモらによる演奏は響きを生かした楽観的な演奏。そしてフランスのギヨーム・シュートルらによるライヴは演奏はなかなかいいのですが録音が荒くヴァイオリンの響きの美しさを楽しみきれない節がある演奏です。ということで、曲を理解するためには今日取り上げるヴィルモシュ・ザバディ盤が一番良いということになります。

Hob.VI:1 Sonata for Violin and Viola No.1 [F] (c.1769)
張りのあるヴァイオリンの音色。しなやかに寄り添うヴィオラ。律儀にすら感じる安定したテンポで淡々と音楽を奏でていきます。覇気のある1楽章に続いてゆったりとした2楽章のアダージョ・エ・ソステヌート。表情はあまり変えずにテンションを変えてきます。清々しいほどの気高さを感じます。3楽章はメヌエットでわずかにコミカルな表情を見せます。律儀ながら高音の伸び伸びとした音色の魅力を振りまきます。

Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.2 [A] (c.1769)
ヴァイオリンとヴィオラ2本の緊密なアンサンブルの魅力が徐々に炸裂。ヴァイオリンの輝かしい音色と、ちょっとくすんだヴィオラの丁々発止のやり取りの面白さがたまりません。快活美麗な1楽章からぐっと沈む2楽章への切り替えの鮮やかさ。聴き進むうちに精妙な境地に。そして3楽章でパッと光が射すような明るさに変化。たった2本の楽器のアンサンブルからこれだけの表情の変化を生むのは流石。

Hob.VI:3 Sonata for Violin and Viola No.3 [B flat] (c.1769)
妙に郷愁を感じるリズミカルなメロディー。ヴァイオリンのキレは徐々に冴えてきて自在な境地に至ります。ヴィオラの引き立て役に徹するところにもグッときます。最初の曲で感じた教科書的な律儀さは影を潜め、十分リラックスして弓裁きも冴えます。いつもながらハイドンの創意には脱帽。楽章ごとに曲にまったく異なる個性を与え、次々と美しいメロディーが繰り出される面白さを純粋に楽しめます。デュエットという最小限の楽器間のハーモニーで描く創意。

Hob.VI:4 Sonata for Violin and Viola No.4 [D] (c.1769)
曲が進むにつれてめくるめくようにメロディーが繰り出される快感に酔いしれます。ヴィルモシュ・ザバディはこの曲の面白さを知っているが故か、必要以上の表現は加えず、音符を音にすることの愉悦感のみで音楽を作っていきます。こちらにはハイドンの音楽の面白さが強烈に印象づけられます。確かな技術に裏付けられた豊かな音楽がここにあります。またしても見事な2楽章の沈み。そして3楽章のメヌエットでの穏やかな躍動感に引き戻されます。変奏が進んで音楽がだんだん広がる面白さ。

Hob.VI:5 Sonata for Violin and Viola No.5 [E flat] (c.1769)
前曲の変奏を受けてか、その面白さを引き継ぐような曲調で始まり、ヴァイオリンとヴィオラが緊密に絡み合います。クァルテットほど複雑ではないので、絡まりが耳で追える面白さがあります。これは演奏する方も面白そう。この曲のアダージョではヴァイオリンの張りのある息の長いメロディーが印象的。そしてメヌエットでは変則的なテンポの面白さを披露。音楽を感じる脳のあらゆる部分に刺激が走るような構成。脳ピキピキ。

Hob.VI:6 Sonata for Violin and Viola No.6 [C] (c.1769)
一気に聴き通してもう最後の曲。こちらが感じる名残惜しさを察してか、そよ風のようにサラリとかわされます(笑) ヴァイオリンの音階の面白さに追随するのに精一杯。こちらの想像力が追いつけません。アダージョはことさら深く響きます。そして最後のメヌエットではヴィオラが雄弁になり、その刺激かヴァイオリンもハツラツとメロディーを刻んで終わります。

ヴィルモシュ・ザバディとペーテル・バールショニによるヴァイオリンとヴィオラのためのソナタ集。このコンビで聴くと、この曲の素晴らしさ際立ちます。奏者としての個人的な表現力というより曲の面白さに純粋に共感したような愉悦感。キリリとひきしまって律儀なところもあり、実に奥行きの深い演奏です。先に紹介したように他の演奏もそれなりに魅力的ですが、ハイドンのこの名曲のファーストチョイスはこのアルバムを薦めます。ヴァイオリンとヴィオラというたった2本の楽器が作る美しいメロディーとアンサンブルの妙。やはりハイドンは天才です。(あたりまえですが、、、) もちろん評価は[+++++]ですね。

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2 Comments

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小鳥遊

恐らくはバリトン・トリオと並ぶハイドンの代表作!?

コヴァーチより上とは聞き捨てならない(笑)けど確かに素晴らしい録音でした。

見付けたら必ず買う作品集ですが、フンガロトンの2枚を上回るのはまだ現れないですね。

Daisy

Re: タイトルなし

小鳥遊さん、こんばんは。

私もだんだんこの曲の魅力にはまってきました。ハイドンの代表作との指摘、一般受けはともかく、これは名曲ですね。HUNGAROTONの面目躍如でもありますね!

  • 2015/01/17 (Sat) 23:43
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