プレヴィン/ウィーンフィルのオックスフォード
ジャズをはじめとして、多彩な活動で知られるひとですが、CDの整理をしていたら、この人のハイドンの交響曲からザロモンセットから2枚分のCDを発見!、というよりラックの肥やしになっていたので、あらためて聴いてみました。

92番オックスフォードと96番奇跡、1992年2月の録音。

こちららは102番と104番ロンドン。1993年3月の録音。
残念ながら、どちらもフィリップス盤のため廃盤のようですが、、、
調べたところ、タワーレコードが国内盤で復刻してました。

フィリップスのキリッとしたジャケットの良さが失われてしまったのが残念ですが、2枚で1500円との価格設定はありがたい限りですね。
肝心の演奏は、極めてオーソドックスな現代楽器によるハイドンの交響曲。ムジークフェラインでのウィーンフィルの弦の響きの美しさを最大限に引き出した演奏といえるでしょう。プレヴィンらしく過剰な演出はなく、メロディーラインのわかりやすさを優先しているようで、ダイナミクスは控えめで、曲の主旨を音符にすべて奏でさせるような作為のない自然な演奏。
4曲の中でいいのは、92番オックスフォードと96番奇跡。オックスフォードはとろけるようなムジークフェラインの響きと、少しおどけた感じのフレージングが曲想にあってます。終楽章の踊るようなメロディーの演出の巧さもプレヴィンならではのものですね。奇跡はキレよりも豊かな響きを生かした構成。こちらもウィーンフィルの響きの美しさ全開の演奏です。弦楽器の自然なフレージングはやはりウィーンフィルならではでしょう。
この2曲は最高評価の[+++++]としました。おすすめ盤です。
102番とロンドンは、生き生きとしたところが一歩後退。重厚さにすこし傾いたのか、前の2曲に感じられた遊びというか余裕が足りません。102番は[++++]、名盤ひしめくロンドンは[+++]としました。
このようなベーシックな魅力を核にしたプレヴィンの演奏ですが、似たタイプには、以前に取り上げたテイト盤がありましたし、まだ取り上げていないスラトキン盤などもあり、ハイドンの交響曲の素直な魅力を知るのにはこのアルバムも良いアルバムだと思います。
最後に、プレヴィンの愛聴盤をもう1枚紹介しておきましょう。ただし、ジャズです(笑)

ニューヨークのThe Jazz Standardにおける2000年10月のライヴ。プレヴィンのピアノとデヴィッド・フィンクのベースのデュエット。残念ながらこちらも現役盤ではないようです。
プレヴィンのピアノは、ジャズミュージシャンのすえた響きでスウィングするピアノというよりも、コンサートグランドでスウィングする感じで面白いですが、ちょっと変わったプレヴィンのピアノでもライヴ独特の盛り上がりは見事。ライヴハウスの熱気が伝わります。やはりジャズ出身の人だけあって、モーツァルトのコンチェルトではあれだけ純粋無垢な響きを奏でながら、これだけのスゥイング感もだせるのは流石です。
音楽とは音を楽しむものということだということを地でいく人なんでしょうね。うらやましい限り。
この年齢になっても、自らの様々な才能で人々を喜ばせるとは、流石です。
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