超絶技巧! アレッシオ・アレグリーニのホルン三重奏曲(ハイドン)
忘年会続きでしばらく間をあけてしまいました。肝臓と心を癒すためにレビューに戻ります。いやいや、すばらしいアルバムはまだまだあるものです。

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アレッシオ・アレグリーニ(Alessio Allegrini)のホルンにイ・ソリスティ・デッラ・スカラ・ミラノ(I Solisti della Scala Milano)の演奏で、ケルビーニのホルンと弦楽四重奏のためのソナタ1番、2番、グラウン(Johan Gottlieb Graun)のホルン、2つのヴァイオリン、チェロの為の4声の協奏曲、コール(Wenzeslaus Leopold Kohl)のホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの為の四重奏曲第3番、ハイドンのホルン、ヴァイオリン、チェロの為の3声のディヴェルティメント(Hob.IV:5)、モーツァルトのホルン、ヴァイオリン、2つのヴィオラ、チェロの為の五重奏曲(KV407)、ロッシーニのラ・グランデ・ファンファーレの7曲を収めたアルバム。収録は2000年10月4日から6日にかけて、バイエルン放送のミュンヘンスタジオ2でのセッション録音。レーベルはスイスのTUDOR。
このアルバム、いつもながら当方の所有盤リストにないアルバムを送り込んでこられる湖国JHさんに貸していただいているもの。湖国JHさんは無類のホルン好きなんですが、このアルバムは私も存在を知らなかったもの。こういったアルバムの中に超絶的な名演盤があるから油断はできません。
アレッシオ・アレグリーニは近年ではアバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音で知られた人ですのでご存知の方も多いでしょう。略歴をWikipediaなどからさらっておきましょう。1972年、ローマの北にあるポッジョ・ミルテート(Poggio Mirteto)生まれのホルン奏者。ローマの聖チェチーリア音楽院で学び首席で卒業、その後ヴェネツィアのフェニーチェ劇場管弦楽団及びサルデーニャ島のカリアリ歌劇場管弦楽団の首席ホルン奏者に就任します。1995年、ムーティに招かれミラノ・スカラ座及びミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者に就任。その後プラハの春国際音楽コンクール、ミュンヘン国際音楽コンクールなどで優勝、2002年にはベルリンフィルの客員奏者を1年間務めます。また現在は聖チェチーリア音楽院管弦楽団首席奏者のほか、アバドに招かれルツェルン祝祭管弦楽団、モーツァルト管弦楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団の各首席奏者として活躍しています。現代を代表するホルン奏者の一人と言ってよいでしょう。アレグリーニ以外のハイドンの演奏に参加している奏者は下記のとおり。
ヴァイオリン:フランチェスコ・マナラ(Francesco Manara)
チェロ:マッシモ・ポリドーリ(Massimo Polidori)
ネットで調べてみるとマナラは1992年からスカラ座のコンサートマスターを務めてる人、ポリドーリもスカラ座の首席チェロ奏者ということで、イタリア人の腕利きトリオといったところでしょう。
そのアレグリーニが2000年に録音した「ラ・グランデ・ファンファーレ」と題されたアルバム。末尾にロッシーニ作曲の題名曲が収められており、それをアルバムタイトルにしたもの。収録曲はいずれもホルンが活躍する曲ばかりですが、アレグリーニのホルンは、ちょっと次元が違いました。とくに末尾のロッシーニのファンファーレは鳥肌が立つような超絶技巧に驚きます。ホルンという楽器はこれほどまでに音量を抑えて美しい音を出せる楽器だったとあらめて認識した次第。また不気味に響く抑えた超低音の表現もぞくぞくするほど。そしてなによりこのアルバムが凄いのが、しなやかな静寂感。完璧なテクニックによって、音楽がとろけるようにしなやかに流れます。忘年会と今年一年の垢を落とすには好適な一枚でした。
Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
ハイドンのこの曲は上の曲名のリンク先に表示されるとおり、現時点で手元に今日取り上げるアルバムを含む8枚のアルバムがあり、そのうち5枚をレビューしています。2楽章の小曲ですが、ホルンの奏でる旋律の面白さを味わえる名曲だと思います。これまでこの曲を最も完璧に吹いていたのはヘルマン・バウマン。しかし、このアレグリーニはバウマンを超える演奏です。なにより難曲という演奏ではなく、美しい静寂感に支配された美の結晶のような音楽。
冒頭からホルンがとろけるような美音。角がきれいにとれたなめらかな音。しかもかなり音量をコントロールしてホルンにしては異例のメリハリ。ヴァイオリンとチェロとの息もぴたりと合って、美しいメロディーをしなやかに置いていきます。低い音の安定感も見事。そして高音の抜ける感じも実に自然。この曲がこれほど落ち着いた表情をみせたことはありません。このゆったりとしなやかに響くホルンの美音、尋常ではありません。変奏が淡々と進みますが、盤石の安定感。最後の変奏の見事な低音と音階のジャンプ。たった3人の奏でる音楽ですが、シンプルなメロディーが絡み合って陶酔の彼方へ。軽々と伴奏するヴァイオリンとチェロに乗ってホルンの朗々とした美音が耳に残ります。これは事件のような超名演です。
ハイドンに続くモーツァルトのホルン五重奏曲も同様、異次元の名演。そして最後のロッシーニ!
いやいや、あまりに見事な演奏に惚れ惚れします。アレッシオ・アレグリーニという人、これほどホルンをしなやかに、しかもしっとりと吹けるものとは知りませんでした。映像ではアバドが振るルツェルン祝祭管のホルンセクションではおなじみの人。きれいに手入れされたヒゲがトレードマークで、顔は馴染みがありましたが、その演奏の真価はこのアルバムで初めて知った次第。アバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音がありますが、未聴ですので早速注文しました。このアルバムはホルンの神業的妙技を味わえる宝石のようなアルバム。ハイドンはもちろん[+++++]。ホルン好きな方は、必聴、というより、このアルバムにはホルンという楽器の素晴らしさが全て詰まった世界遺産的価値があります。
いやいや、湖国JHさん、参りました。

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アレッシオ・アレグリーニ(Alessio Allegrini)のホルンにイ・ソリスティ・デッラ・スカラ・ミラノ(I Solisti della Scala Milano)の演奏で、ケルビーニのホルンと弦楽四重奏のためのソナタ1番、2番、グラウン(Johan Gottlieb Graun)のホルン、2つのヴァイオリン、チェロの為の4声の協奏曲、コール(Wenzeslaus Leopold Kohl)のホルン、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの為の四重奏曲第3番、ハイドンのホルン、ヴァイオリン、チェロの為の3声のディヴェルティメント(Hob.IV:5)、モーツァルトのホルン、ヴァイオリン、2つのヴィオラ、チェロの為の五重奏曲(KV407)、ロッシーニのラ・グランデ・ファンファーレの7曲を収めたアルバム。収録は2000年10月4日から6日にかけて、バイエルン放送のミュンヘンスタジオ2でのセッション録音。レーベルはスイスのTUDOR。
このアルバム、いつもながら当方の所有盤リストにないアルバムを送り込んでこられる湖国JHさんに貸していただいているもの。湖国JHさんは無類のホルン好きなんですが、このアルバムは私も存在を知らなかったもの。こういったアルバムの中に超絶的な名演盤があるから油断はできません。
アレッシオ・アレグリーニは近年ではアバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音で知られた人ですのでご存知の方も多いでしょう。略歴をWikipediaなどからさらっておきましょう。1972年、ローマの北にあるポッジョ・ミルテート(Poggio Mirteto)生まれのホルン奏者。ローマの聖チェチーリア音楽院で学び首席で卒業、その後ヴェネツィアのフェニーチェ劇場管弦楽団及びサルデーニャ島のカリアリ歌劇場管弦楽団の首席ホルン奏者に就任します。1995年、ムーティに招かれミラノ・スカラ座及びミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者に就任。その後プラハの春国際音楽コンクール、ミュンヘン国際音楽コンクールなどで優勝、2002年にはベルリンフィルの客員奏者を1年間務めます。また現在は聖チェチーリア音楽院管弦楽団首席奏者のほか、アバドに招かれルツェルン祝祭管弦楽団、モーツァルト管弦楽団、ヨーロッパ室内管弦楽団の各首席奏者として活躍しています。現代を代表するホルン奏者の一人と言ってよいでしょう。アレグリーニ以外のハイドンの演奏に参加している奏者は下記のとおり。
ヴァイオリン:フランチェスコ・マナラ(Francesco Manara)
チェロ:マッシモ・ポリドーリ(Massimo Polidori)
ネットで調べてみるとマナラは1992年からスカラ座のコンサートマスターを務めてる人、ポリドーリもスカラ座の首席チェロ奏者ということで、イタリア人の腕利きトリオといったところでしょう。
そのアレグリーニが2000年に録音した「ラ・グランデ・ファンファーレ」と題されたアルバム。末尾にロッシーニ作曲の題名曲が収められており、それをアルバムタイトルにしたもの。収録曲はいずれもホルンが活躍する曲ばかりですが、アレグリーニのホルンは、ちょっと次元が違いました。とくに末尾のロッシーニのファンファーレは鳥肌が立つような超絶技巧に驚きます。ホルンという楽器はこれほどまでに音量を抑えて美しい音を出せる楽器だったとあらめて認識した次第。また不気味に響く抑えた超低音の表現もぞくぞくするほど。そしてなによりこのアルバムが凄いのが、しなやかな静寂感。完璧なテクニックによって、音楽がとろけるようにしなやかに流れます。忘年会と今年一年の垢を落とすには好適な一枚でした。
Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
ハイドンのこの曲は上の曲名のリンク先に表示されるとおり、現時点で手元に今日取り上げるアルバムを含む8枚のアルバムがあり、そのうち5枚をレビューしています。2楽章の小曲ですが、ホルンの奏でる旋律の面白さを味わえる名曲だと思います。これまでこの曲を最も完璧に吹いていたのはヘルマン・バウマン。しかし、このアレグリーニはバウマンを超える演奏です。なにより難曲という演奏ではなく、美しい静寂感に支配された美の結晶のような音楽。
冒頭からホルンがとろけるような美音。角がきれいにとれたなめらかな音。しかもかなり音量をコントロールしてホルンにしては異例のメリハリ。ヴァイオリンとチェロとの息もぴたりと合って、美しいメロディーをしなやかに置いていきます。低い音の安定感も見事。そして高音の抜ける感じも実に自然。この曲がこれほど落ち着いた表情をみせたことはありません。このゆったりとしなやかに響くホルンの美音、尋常ではありません。変奏が淡々と進みますが、盤石の安定感。最後の変奏の見事な低音と音階のジャンプ。たった3人の奏でる音楽ですが、シンプルなメロディーが絡み合って陶酔の彼方へ。軽々と伴奏するヴァイオリンとチェロに乗ってホルンの朗々とした美音が耳に残ります。これは事件のような超名演です。
ハイドンに続くモーツァルトのホルン五重奏曲も同様、異次元の名演。そして最後のロッシーニ!
いやいや、あまりに見事な演奏に惚れ惚れします。アレッシオ・アレグリーニという人、これほどホルンをしなやかに、しかもしっとりと吹けるものとは知りませんでした。映像ではアバドが振るルツェルン祝祭管のホルンセクションではおなじみの人。きれいに手入れされたヒゲがトレードマークで、顔は馴染みがありましたが、その演奏の真価はこのアルバムで初めて知った次第。アバドとモーツァルト管とのモーツァルトのホルン協奏曲の録音がありますが、未聴ですので早速注文しました。このアルバムはホルンの神業的妙技を味わえる宝石のようなアルバム。ハイドンはもちろん[+++++]。ホルン好きな方は、必聴、というより、このアルバムにはホルンという楽器の素晴らしさが全て詰まった世界遺産的価値があります。
いやいや、湖国JHさん、参りました。
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