ルネ・ヤーコプスの天地創造

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ルネ・ヤーコプスが四季から5年を経て録音した快心の作とのふれこみ。
おそらく、事前のふれこみでは古楽器の天地創造の決定盤との誉れ高いものです。果たしてその地位を得ることが出来るのでしょうか。
録音は2009年1月のベルリンのテルデックスタジオ。
ソロは3名の配置。ソプラノはユリア・クライター、テノールはマクシミリアン・シュミット、バスはヨハネス・ヴァイザー、オケはいつものフライブルク・バロックオーケストラ、合唱はRIAS室内合唱団。
演奏は少人数の古楽器オケによる室内楽的な緊密な演奏。スケール感よりはキビキビとした進行にヤーコプスの主眼がおかれているように聴こえます。
ハイドンの最高傑作である天地創造の構造をスケールではなくタイトでかつ俊敏なオーケストラで聴かせようと言うコンセプトと受け取りました。
それゆえ冒頭の展開も第一部のクライマックスもスケール感を誇示することはなく、むしろ秩序を維持したままオケの限界のだいぶ手前で表現を留めている印象と感じました。
これが、良くもこの演奏の善し悪しの大きな鍵を握る大きな特徴になってます。
演奏はダイナミックレンジを切り詰め、旋律と限られたアクセントの範囲で旋律にメリハリを付けていくような展開。歌は若々しく、それぞれの歌手の最善の選択を感じることが出来ます。逆に歌に個性を感じるような演奏ではなく、完全にオーケストラの一部になっています。
聴き所はといえば、結局のところヤーコプスのコントロールということになりますが、歌とコーラスとオケとを旨くつないでいく、緊密な構成と言うところでしょう。弱音部分のコントロールは一級品ですが、スケール感がそこそこなため、迫力は今ひとつ。
事前の期待が大きかった分、普通の演奏という風にとられてしまうところがあるのは否めません。
古楽器の天地創造という視点からも、当ブログで高く評価した、クリスティと比較すれば、クリスティに軍配を上げざるを得ません。古楽器ではありませんが、最近絶賛のノリントン、そして演奏史上に燦然と輝くカラヤン盤などと比べても、あえてこの演奏を選ぶというべきインパクトは感じません。
四季では、ヤーコプス盤の位置づけは非常に高いものであったことを考えると、やはりこのアルバム、期待通りの出来ではないと思います。
評価は[+++]。すでに所有盤リストに記載してあるままであります。
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