ペーター・ダム/ヘルムート・コッホのホルン協奏曲VIId:4(ハイドン)
今日は珍しいアルバム。

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ヘルムート・コッホ(Helmut Koch)指揮のベルリン室内管弦楽団(Berlin Chamber Orchestra)の演奏でベルギーの作曲家アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリのバレエ組曲「共和主義者ロジエール(La Rosière républicaine)」、シュターミツのチェロ協奏曲、テレマンの2本のオーボエ、2本のホルンのための協奏曲、伝ハイドン作(ミヒャエル・ハイドン作?)のホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、レオポルド・モーツァルトのトランペットと2本のホルンのための協奏曲の5曲を収めたアルバム。収録年、場所などの記載はありませんが、ヘルムート・コッホは1975年に亡くなっており、このアルバムのオケであるベルリン室内管の音楽監督であったのが1970年までとのことで、収録は1970年以前と想像できます。レーベルは独PILZ。
このアルバムはお察しのとおり、いつも私の所有盤リストにないアルバムを送り込まれてくる湖国JHさんからの課題曲。特にホルンものを偏愛されており、今回はホルン系のアルバムをいろいろお借りしております。今日はその中からの1枚。
アルバムを手にとってみるとジャケットには"East German Revolution BERLIN CHAMBER ORCHESTRA"と誇らしげなタイトルが付けられており、「東独の革命的存在、ベルリン室内管弦楽団」とでも訳せば良いのでしょうか。あまりに気になるタイトルゆえ、早速聴いてみると、ヘルムート・コッホ指揮のベルリン室内管の名演奏集に偽りなし。どの曲もしっとりとした響きの魅力と力感が絶妙なバランス。この中に収められた伝ハイドンのホルン協奏曲もこれまた味わい深い名演ということで、ハイドンの真作ではありませんが、純粋に楽しめる演奏として取り上げました。
ヘルムート・コッホの演奏は過去に4回取り上げています。コッホの略歴などは天地創造新盤の記事を御覧ください。
2012/07/03 : ハイドン–協奏曲 : ウィリー・クルッグ、ヘルムート・コッホ/ベルリン室内管のトランペット協奏曲
2011/12/11 : ハイドン–声楽曲 : ヘルムート・コッホ/ベルリン放送響のネルソンミサ
2011/07/31 : ハイドン–オラトリオ : 【新着】ヘルムート・コッホの天地創造旧盤
2011/07/26 : ハイドン–オラトリオ : ヘルムート・コッホの天地創造新盤
ホルン協奏曲でホルンを吹いているペーター・ダムについても一度取り上げています。ダムの略歴などは下の記事をご参照ください。
2013/11/18 : ハイドン–協奏曲 : ペーター・ダムのホルン協奏曲(ハイドン)
さて、肝心のホルン協奏曲のレビューをしておきましょう。
Hob.VIId:4 / Concerto per il corno [D] (1781) by Michael Haydn?
ちょっと古びた録音ですが、燻らしたような響きがむしろいい味。オケの響きは実に艶やか。落ち着いた伴奏が実にいい雰囲気。ホルンの入りも実に落ち着いたもの。ゆったりと響くオケに合わせて、ホルンは意外に正確なリズムを刻みながら合わせてきます。ホルンのテクニック的には難しくない曲でしょうから、落ち着いて美音を響かせることに集中しているよう。この作為のない演奏こそ曲の面白さが引き立つというもの。シンプルなメロディーながら中盤以降、ちょっと難しそうな音階を事も無げに、しかも注意深く吹いていきます。カデンツァではまろやかなホルン独特の音色の面白さが際立ちます。コッホのコントロールするオケの艶やかさが印象的。
ぐっと沈んだ短調のアダージョ。ここでもオケのしっとりとした音色が素晴らしいです。ハープシコードもゆったりと伴奏を刻むことで癒しのような伴奏となり滔々と流れる音楽にうっとり。こうした深い呼吸のフレージングがはまって曲の美しさがいっそう強調されます。旧東独の堅実な演奏の魅力炸裂です。ハイドンの作かどうかの真贋など気にならなくなる演奏の深み。指揮者と奏者の完璧な信頼感に裏付けられた演奏と言っていいでしょう。このアダージョは見事。
アダージョの暗い淵のような曲調から、さっと陽の光が射したような明るい表情に変わります。テンポはゆったりしたままですが、音楽の表情の変化の鮮やかさが見事。ゆったりしてはいても推進力と躍動感もかなりあり、表情のコントロールの巧みさに驚きます。ダムのホルンもしっとりとした音色を保ちながら、表情の変化の面白さを十分意識してメロディーを刻んでいきます。最後のカデンツァも落ち着いた演奏で締めました。
先に書いたように、ハイドンの作かどうかなど全く気にならず、このホルン協奏曲の演奏じっくりと楽しめる名演奏といっていいでしょう。現代の演奏は音楽の美しさを純粋にこれだけ引き出すことを忘れてしまっているかもしれません。古典派の曲に仕組まれた美しさと癒しをここまで引き出す音楽性は並ではありません。ヘルムート・コッホしかり、ペーター・ダムもしかりです。これはこれで素晴らしい演奏と言っていいでしょう。評価は[+++++]です! 幸いamazonでは安く手に入りますので、是非、この癒しに満ちた演奏に触れてみてください。

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ヘルムート・コッホ(Helmut Koch)指揮のベルリン室内管弦楽団(Berlin Chamber Orchestra)の演奏でベルギーの作曲家アンドレ=エルネスト=モデスト・グレトリのバレエ組曲「共和主義者ロジエール(La Rosière républicaine)」、シュターミツのチェロ協奏曲、テレマンの2本のオーボエ、2本のホルンのための協奏曲、伝ハイドン作(ミヒャエル・ハイドン作?)のホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、レオポルド・モーツァルトのトランペットと2本のホルンのための協奏曲の5曲を収めたアルバム。収録年、場所などの記載はありませんが、ヘルムート・コッホは1975年に亡くなっており、このアルバムのオケであるベルリン室内管の音楽監督であったのが1970年までとのことで、収録は1970年以前と想像できます。レーベルは独PILZ。
このアルバムはお察しのとおり、いつも私の所有盤リストにないアルバムを送り込まれてくる湖国JHさんからの課題曲。特にホルンものを偏愛されており、今回はホルン系のアルバムをいろいろお借りしております。今日はその中からの1枚。
アルバムを手にとってみるとジャケットには"East German Revolution BERLIN CHAMBER ORCHESTRA"と誇らしげなタイトルが付けられており、「東独の革命的存在、ベルリン室内管弦楽団」とでも訳せば良いのでしょうか。あまりに気になるタイトルゆえ、早速聴いてみると、ヘルムート・コッホ指揮のベルリン室内管の名演奏集に偽りなし。どの曲もしっとりとした響きの魅力と力感が絶妙なバランス。この中に収められた伝ハイドンのホルン協奏曲もこれまた味わい深い名演ということで、ハイドンの真作ではありませんが、純粋に楽しめる演奏として取り上げました。
ヘルムート・コッホの演奏は過去に4回取り上げています。コッホの略歴などは天地創造新盤の記事を御覧ください。
2012/07/03 : ハイドン–協奏曲 : ウィリー・クルッグ、ヘルムート・コッホ/ベルリン室内管のトランペット協奏曲
2011/12/11 : ハイドン–声楽曲 : ヘルムート・コッホ/ベルリン放送響のネルソンミサ
2011/07/31 : ハイドン–オラトリオ : 【新着】ヘルムート・コッホの天地創造旧盤
2011/07/26 : ハイドン–オラトリオ : ヘルムート・コッホの天地創造新盤
ホルン協奏曲でホルンを吹いているペーター・ダムについても一度取り上げています。ダムの略歴などは下の記事をご参照ください。
2013/11/18 : ハイドン–協奏曲 : ペーター・ダムのホルン協奏曲(ハイドン)
さて、肝心のホルン協奏曲のレビューをしておきましょう。
Hob.VIId:4 / Concerto per il corno [D] (1781) by Michael Haydn?
ちょっと古びた録音ですが、燻らしたような響きがむしろいい味。オケの響きは実に艶やか。落ち着いた伴奏が実にいい雰囲気。ホルンの入りも実に落ち着いたもの。ゆったりと響くオケに合わせて、ホルンは意外に正確なリズムを刻みながら合わせてきます。ホルンのテクニック的には難しくない曲でしょうから、落ち着いて美音を響かせることに集中しているよう。この作為のない演奏こそ曲の面白さが引き立つというもの。シンプルなメロディーながら中盤以降、ちょっと難しそうな音階を事も無げに、しかも注意深く吹いていきます。カデンツァではまろやかなホルン独特の音色の面白さが際立ちます。コッホのコントロールするオケの艶やかさが印象的。
ぐっと沈んだ短調のアダージョ。ここでもオケのしっとりとした音色が素晴らしいです。ハープシコードもゆったりと伴奏を刻むことで癒しのような伴奏となり滔々と流れる音楽にうっとり。こうした深い呼吸のフレージングがはまって曲の美しさがいっそう強調されます。旧東独の堅実な演奏の魅力炸裂です。ハイドンの作かどうかの真贋など気にならなくなる演奏の深み。指揮者と奏者の完璧な信頼感に裏付けられた演奏と言っていいでしょう。このアダージョは見事。
アダージョの暗い淵のような曲調から、さっと陽の光が射したような明るい表情に変わります。テンポはゆったりしたままですが、音楽の表情の変化の鮮やかさが見事。ゆったりしてはいても推進力と躍動感もかなりあり、表情のコントロールの巧みさに驚きます。ダムのホルンもしっとりとした音色を保ちながら、表情の変化の面白さを十分意識してメロディーを刻んでいきます。最後のカデンツァも落ち着いた演奏で締めました。
先に書いたように、ハイドンの作かどうかなど全く気にならず、このホルン協奏曲の演奏じっくりと楽しめる名演奏といっていいでしょう。現代の演奏は音楽の美しさを純粋にこれだけ引き出すことを忘れてしまっているかもしれません。古典派の曲に仕組まれた美しさと癒しをここまで引き出す音楽性は並ではありません。ヘルムート・コッホしかり、ペーター・ダムもしかりです。これはこれで素晴らしい演奏と言っていいでしょう。評価は[+++++]です! 幸いamazonでは安く手に入りますので、是非、この癒しに満ちた演奏に触れてみてください。
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