【新着】クラウディオ・アバド/モーツァルト管の協奏交響曲(ハイドン)
リリースが待ち遠しかったアルバムです。

HMV ONLINE
/
TOWER RECORDS
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)指揮のモーツァルト管弦楽団(Orchestra Mozart)の演奏で、モーツァルトのオーボエ協奏曲(K.314)とハイドンの協奏交響曲の2曲を収めたアルバム。収録は2013年3月20日から25日に行われたマドリードのオーディトリオ・デ・サラゴサとオーディトリオ・ナショナル・デ・ムジカのコンサートのライヴ。レーベルはアバドの録音ははじめてのリリースだと思われるスイスのclavesです。
今年の1月に亡くなってしまったアバド。昨年ルツェルン祝祭管との来日公演のチケットをとってあったんですが、体調不良のため中止になり、そのままステージに上がることなく亡くなってしまったことは以前記事にしております。晩年のアバドのマーラーは澄み切った心境が神々しいまでに昇華した素晴らしさでしたので、是非生で聴きたかったのですが、それもかないませんでした。
2014/01/21 : 徒然 : 【追悼】クラウディオ・アバド逝く
2013/09/12 : コンサートレポート : アバド/ルツェルン祝祭管来日中止
2013/05/18 : ハイドン–交響曲 : クラウディオ・アバドの98番、軍隊
2012/04/30 : ハイドン–協奏曲 : アドルフ・ハーセス/アバド/シカゴ響のトランペット協奏曲
2010/02/11 : ハイドン–交響曲 : アバドの「奇跡」
そのアバド、90年代にはハイドンの交響曲などを若手を集めたヨーロッパ室内管と録音しており、屈託なく切れ味鋭い演奏を聴かせていました。これらの録音は私のお気に入りのアルバムでもあります。最近まとめて再リリースされましたので、入手もしやすい状態です。
そのアバドが昨年、やはり自身で若手を集めて結成したモーツァルト管弦楽団と演奏したモーツァルトとハイドン。モーツァルトの方は、最近DGからライヴを中心にアルバムがいろいろリリースされていましがが、もはやアバドのハイドンが聴けるとは思っていなかっただけに、このアルバムがリリースされるという情報を知った時には驚きに近いものがありました。やはりアバドはハイドンの純粋無垢な音楽を忘れていませんでした。
オケのモーツァルト管弦楽団はアバドが2004年に設立したオケ。本拠地はイタリア、ボローニャ。団員は18歳から26歳に限られるとのことで、アバドがヨーロッパやベネズエラなどから優秀な若手奏者を集めて結成されたとのこと。このアルバムでのソリストは以下のとおり。
オーボエ:ルーカス・マシアス・ナバロ(Lucas Macías Navarro)
ヴァイオリン:グリゴリー・アース(Gregory Ahss)
チェロ:コンスタンチン・プフィッツ(Konstantin Pfiz)
ファゴット:ギョーム・サンタナ(Guilhaume Santana)
モーツァルトのオーボエ協奏曲のソロも兼ねるオーボエのルーカス・マシアス・ナバロはモーツァルト管の首席オーボエ奏者で、ヨーロッパ室内管弦楽団、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管、マーラー・チェンバー・オーケストラ、ルツェルン祝祭管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席オーボエ奏者として活躍している人。そのほかの3名もマーラー室内管の首席奏者を務める実力派ということで、ソリストはアバドの薫陶を受けた若手といういところでしょう。
1曲目に置かれたモーツァルト、いきなり天真爛漫にゆったりと鳴るオケの響きの響きに惹きつけられます。晩年のアバド特有の力の抜けた表現。この澄み切った心境こそが音楽の真髄だと言わんばかり。若手奏者の演奏にも関わらず、表面的な表現意欲は皆無で、純粋無垢で爽やかな演奏。にこやかに見守るアバドの姿が目に浮かびます。音響処理が巧みでライヴとは思えない仕上がりですが、個人的には咳払いや拍手は残して、千載一遇のライヴの臨場感を味わいたかったところです。
Hob.I:105 / Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
お目当てのハイドン。前曲のモーツァルトよりもオケの響きが柔らかく残響も自然。冒頭のオケの伴奏の天真爛漫さといったら例えようのないほど。音楽を演奏する喜びに満ちたオーラに満ち溢れています。ソリストはまさにオケに支えられて遊びまわるよう。オケの響きの柔らかさと自然さがこれほどまでとは思いませんでした。テンポは存分にゆったりとして、オケとソロの絡み合う面白さを落ち着いて楽しめます。アバドが晩年にたどり着いた澄み切った世界というところでしょうか。1986年の旧録音も良かったんですが、こちらは余裕がさらに増して、技巧や表現を超えた平安さを感じるレベル。ソリストも安心してアバドの棒にまかせて演奏している感じ。カデンツァでもソリストはアンサンブル重視。最後はオケが迎えに来てまとめる、幸せな気分になる演奏です。
アンダンテでもテンポはかなり落として、丁寧に丁寧にフレーズを描いていく姿勢は変わらず。ハイドンが4人の奏者を据えて協奏曲を描いた情景が想像できるような、楽しげなソロとオケのやりとり。ソロの各楽器のしっとりとした演奏が沁みます。4人の息がピタリと合って音楽に命が宿ります。
この曲の総決算的曲想のフィナーレですが、じっくりと落ち着いての入りから、徐々に躍動感と推進力を得ていくオーケストラの表情の変化が見事。軽々と吹き上がる機敏さがあるのですが、落ち着いた表情は崩さず、ゆったりと鳴り響きます。この自然なというか泰然とした表情のコントロールは奇跡的。よく聴くとソロもオケも隅々までアバド好みにコントロールされている緻密な演奏ですが、それにも増して自然で雄大な流れを感じさせます。オケとソロのバランス、ゆったりと分厚く響くオケ、ソロの自然な表情。すべてが完全に一体化した素晴らしい演奏と言っていいでしょう。
アバドが晩年にたどり着いた境地を象徴するような素晴らしいハイドンでした。ちょっと言葉になりません。音楽は表現を超え、自然な境地が心に残る演奏。録音を通してさえこの純粋無垢な音楽がつたわります。当日ライブを聴いた聴衆にはさらに多くのものが伝わったことでしょう。アバド自身が若手奏者を集めて音楽の真髄を伝えながら自らも楽しんでいた様子が伝わります。このハイドン、技術や表現を超えたところにある音楽自体が聴こえてくる絶品です。この曲を書いたハイドンの心がそのまま音楽になったような素晴らしい演奏でした。評価はもちろん[+++++]とします。多くの人に聴いていただきたい素晴らしいハイドンです。

HMV ONLINE
クラウディオ・アバド(Claudio Abbado)指揮のモーツァルト管弦楽団(Orchestra Mozart)の演奏で、モーツァルトのオーボエ協奏曲(K.314)とハイドンの協奏交響曲の2曲を収めたアルバム。収録は2013年3月20日から25日に行われたマドリードのオーディトリオ・デ・サラゴサとオーディトリオ・ナショナル・デ・ムジカのコンサートのライヴ。レーベルはアバドの録音ははじめてのリリースだと思われるスイスのclavesです。
今年の1月に亡くなってしまったアバド。昨年ルツェルン祝祭管との来日公演のチケットをとってあったんですが、体調不良のため中止になり、そのままステージに上がることなく亡くなってしまったことは以前記事にしております。晩年のアバドのマーラーは澄み切った心境が神々しいまでに昇華した素晴らしさでしたので、是非生で聴きたかったのですが、それもかないませんでした。
2014/01/21 : 徒然 : 【追悼】クラウディオ・アバド逝く
2013/09/12 : コンサートレポート : アバド/ルツェルン祝祭管来日中止
2013/05/18 : ハイドン–交響曲 : クラウディオ・アバドの98番、軍隊
2012/04/30 : ハイドン–協奏曲 : アドルフ・ハーセス/アバド/シカゴ響のトランペット協奏曲
2010/02/11 : ハイドン–交響曲 : アバドの「奇跡」
そのアバド、90年代にはハイドンの交響曲などを若手を集めたヨーロッパ室内管と録音しており、屈託なく切れ味鋭い演奏を聴かせていました。これらの録音は私のお気に入りのアルバムでもあります。最近まとめて再リリースされましたので、入手もしやすい状態です。
そのアバドが昨年、やはり自身で若手を集めて結成したモーツァルト管弦楽団と演奏したモーツァルトとハイドン。モーツァルトの方は、最近DGからライヴを中心にアルバムがいろいろリリースされていましがが、もはやアバドのハイドンが聴けるとは思っていなかっただけに、このアルバムがリリースされるという情報を知った時には驚きに近いものがありました。やはりアバドはハイドンの純粋無垢な音楽を忘れていませんでした。
オケのモーツァルト管弦楽団はアバドが2004年に設立したオケ。本拠地はイタリア、ボローニャ。団員は18歳から26歳に限られるとのことで、アバドがヨーロッパやベネズエラなどから優秀な若手奏者を集めて結成されたとのこと。このアルバムでのソリストは以下のとおり。
オーボエ:ルーカス・マシアス・ナバロ(Lucas Macías Navarro)
ヴァイオリン:グリゴリー・アース(Gregory Ahss)
チェロ:コンスタンチン・プフィッツ(Konstantin Pfiz)
ファゴット:ギョーム・サンタナ(Guilhaume Santana)
モーツァルトのオーボエ協奏曲のソロも兼ねるオーボエのルーカス・マシアス・ナバロはモーツァルト管の首席オーボエ奏者で、ヨーロッパ室内管弦楽団、ローマ聖チェチーリア国立音楽院管、マーラー・チェンバー・オーケストラ、ルツェルン祝祭管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席オーボエ奏者として活躍している人。そのほかの3名もマーラー室内管の首席奏者を務める実力派ということで、ソリストはアバドの薫陶を受けた若手といういところでしょう。
1曲目に置かれたモーツァルト、いきなり天真爛漫にゆったりと鳴るオケの響きの響きに惹きつけられます。晩年のアバド特有の力の抜けた表現。この澄み切った心境こそが音楽の真髄だと言わんばかり。若手奏者の演奏にも関わらず、表面的な表現意欲は皆無で、純粋無垢で爽やかな演奏。にこやかに見守るアバドの姿が目に浮かびます。音響処理が巧みでライヴとは思えない仕上がりですが、個人的には咳払いや拍手は残して、千載一遇のライヴの臨場感を味わいたかったところです。
Hob.I:105 / Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
お目当てのハイドン。前曲のモーツァルトよりもオケの響きが柔らかく残響も自然。冒頭のオケの伴奏の天真爛漫さといったら例えようのないほど。音楽を演奏する喜びに満ちたオーラに満ち溢れています。ソリストはまさにオケに支えられて遊びまわるよう。オケの響きの柔らかさと自然さがこれほどまでとは思いませんでした。テンポは存分にゆったりとして、オケとソロの絡み合う面白さを落ち着いて楽しめます。アバドが晩年にたどり着いた澄み切った世界というところでしょうか。1986年の旧録音も良かったんですが、こちらは余裕がさらに増して、技巧や表現を超えた平安さを感じるレベル。ソリストも安心してアバドの棒にまかせて演奏している感じ。カデンツァでもソリストはアンサンブル重視。最後はオケが迎えに来てまとめる、幸せな気分になる演奏です。
アンダンテでもテンポはかなり落として、丁寧に丁寧にフレーズを描いていく姿勢は変わらず。ハイドンが4人の奏者を据えて協奏曲を描いた情景が想像できるような、楽しげなソロとオケのやりとり。ソロの各楽器のしっとりとした演奏が沁みます。4人の息がピタリと合って音楽に命が宿ります。
この曲の総決算的曲想のフィナーレですが、じっくりと落ち着いての入りから、徐々に躍動感と推進力を得ていくオーケストラの表情の変化が見事。軽々と吹き上がる機敏さがあるのですが、落ち着いた表情は崩さず、ゆったりと鳴り響きます。この自然なというか泰然とした表情のコントロールは奇跡的。よく聴くとソロもオケも隅々までアバド好みにコントロールされている緻密な演奏ですが、それにも増して自然で雄大な流れを感じさせます。オケとソロのバランス、ゆったりと分厚く響くオケ、ソロの自然な表情。すべてが完全に一体化した素晴らしい演奏と言っていいでしょう。
アバドが晩年にたどり着いた境地を象徴するような素晴らしいハイドンでした。ちょっと言葉になりません。音楽は表現を超え、自然な境地が心に残る演奏。録音を通してさえこの純粋無垢な音楽がつたわります。当日ライブを聴いた聴衆にはさらに多くのものが伝わったことでしょう。アバド自身が若手奏者を集めて音楽の真髄を伝えながら自らも楽しんでいた様子が伝わります。このハイドン、技術や表現を超えたところにある音楽自体が聴こえてくる絶品です。この曲を書いたハイドンの心がそのまま音楽になったような素晴らしい演奏でした。評価はもちろん[+++++]とします。多くの人に聴いていただきたい素晴らしいハイドンです。
- 関連記事
-
-
アイザック・スターンのヴァイオリン協奏曲(ハイドン)
2014/12/27
-
ハンス・ガンシュ/カメラータ・アカデミカ・ザルツブルクのトランペット協奏曲(ハイドン)
2014/12/09
-
絶品! アルベルト・リジーのヴァイオリン協奏曲集(ハイドン)
2014/12/07
-
ラ・ディヴィナ・アルモニアの協奏曲集(ハイドン)
2014/12/02
-
【新着】クラウディオ・アバド/モーツァルト管の協奏交響曲(ハイドン)
2014/11/22
-
オレグ・カガンのヴァイオリン協奏曲(ハイドン)
2014/11/03
-
【新着】ジャン=エフラム・バヴゼのピアノ協奏曲集(ハイドン)
2014/10/31
-
【新着】アレクサンドル・タローのピアノ協奏曲(ハイドン)
2014/10/26
-
ケイト・ディリンガムのチェロ協奏曲集(ハイドン)
2014/09/23
-