作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】サラゴン四重奏団のOp.76のNo.5(ハイドン)

4
0
なんだかいろいろ忙しく、しばらく間をあけてしまいました。今日は最近手に入れた弦楽四重奏曲。

SlagonQ.jpg
HMV ONLINEicon / TOWER RECORDS

サラゴン四重奏団(Salagon Quartet)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76のNo.5、シューベルトの弦楽四重奏曲第13番「ロザムンデ」の2曲を収めたアルバム。収録は2012年3月5日、6日、ミュンヘンの南西にあるイルゼーという街でのセッション録音。レーベルはET'CETERA。

サラゴン四重奏団ははじめて聴くクァルテット。アルバムもこのほかにJ. M. クラウスの弦楽四重奏曲集が1枚あるのみですので、比較的新しい団体でしょう。調べたところ設立は2004年で古楽器によるクァルテット。ヴァイオリンのクリスティーネ・ブッシュはいろいろとアルバムをリリースしています。フライブルクでベルリンフィルのコンサートマスターだった、ライナー・クスマウルらにヴァイオリンを学んだのち、コンツェントス・ムジクス・ウィーン、フライブルク・バロック・オーケストラなどで活躍、近年はヘレヴェッヘ率いるコレギウム・ヴィカーレ・ヘントのコンサートマスターとしても活躍している人です。他のメンバーはフライブルク生まれで、フラブルク音楽院などで学び、古楽器オケなどで活躍している人ということです。彼らのウェブサイトと、クリスチャン・ブッシュのサイトを紹介しておきましょう。

Salagon Quartet
Christine Busch

クリスティーネ・ブッシュのサイトはなかなかこだわった造り。アルバムもかなりの数をリリースしていることがわかります。

第1ヴァイオリン:クリスティーネ・ブッシュ(Christine Busch)
第2ヴァイオリン:リサ・ジュリアン・インマー(Lisa Juliane Immer)
ヴィオラ:セバスチャン・ウォーファート(Sebastian Wohlfarth)
チェロ:ゲジーネ・ケラス(Gesine Queyras)

さて、この新進気鋭の古楽器クァルテットはハイドンをいかに料理するのでしょうか。興味津々です。

Hob.III:79 / String Quartet Op.76 No.5 [D] (1797)
いきなり透明感、色彩感に満ちた古楽器の響きに引き込まれます。かなり残響を含んだ響きで、少し遠くにクァルテットが定位する感じ。楽器の響きの余韻の消え入るようすを楽しむように各奏者が音を重ねていきます。テンポは中庸、フレッシュな古楽器の響きによりメロディーが浮かびあがりますが、しなやかさもあり、まとまりも悪くありません。どちらかというと響きの美しさに集中している分、音楽の深みがもう少し欲しいと思わなくもありません。
つづく有名なラルゴに入るとブッシュのヴァイオリンの輝きが増し、他のパートも次々と存在感を示すように、ぐっと入り込んできます。ゆったりした音楽というよりは、ピリリと緊張の糸が張られた音楽。響きは純粋で磨き抜かれていますが、ちょっと力が入りすぎて、固く感じなくもありません。相変わらず響きの純度は高く、アンサンブルも精緻。あとすこし余裕があると良い演奏になると思います。終盤、音量とテンションを落として少しリラックス。
メヌエットが彼らの響きの美学が一番よくわかります。メロディーラインが磨きあげられ、所々で印象的にアクセントを効かせます。そして楽器の音色も多彩にコントロールして、非常にわかりやすい対比をつけていくので、これまで聴いてきたメヌエットとは別の曲のように鮮烈、流麗に響きます。演奏のクォリティーは非常に高いです。
そしてフィナーレは古楽器ならではの鋭い高音域の音色を活かして、キリリと引き締まりながらも躍動する音楽。非常に美しく磨きこまれた弦楽器の音色によるアンサンブル。テクニックは万全です。非常に鮮やかなフィナーレでした。

かなりはっきりとした音色をもったクァルテットですね。古楽器の雅さ、渋目の音色といった方向ではなく、鮮明で色彩感に飛んだ音への強いこだわりが感じられます。正直ハイドンの弦楽四重奏曲としては人工的な印象が強くなり、音を造り過ぎな印象も感じなくはありません。もしかしたらモーツァルトではもう少ししっくり来るかもしれませんね。つづくシューベルトではハイドンほどの違和感は感じませんので、このへんがハイドンの演奏の難しいところかもしれません。しっかりとした技巧と表現力をもつクァルテットですので、今後の音楽の熟成によって、誰にも表現できなかったハイドンの高みに到達できるかもとの可能性も感じさせる演奏でした。評価は[++++]としましょう。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

4 Comments

There are no comments yet.

michael

No title

こんばんは

サラゴンSQは2005年のJ.M.クラウス:四重奏曲録音のときと、2ndヴァイオリンとヴィオラのメンバーが替わっていますね。
J.M.クラウスの演奏もサラゴンSQは秀演でしたが、一番良かったのはシュパンツィヒSQでした。

Daisy

Re: No title

michaelさん、こんばんは。
ご指摘のとおり、このクァルテットもメンバーが交代していますね。クァルテットにとってメンバー交代は非常に大きなことと思います。このアルバムでの演奏を聴くと第1ヴァイオリンのクリスティーネ・ブッシュの個性で引っ張っているような感じでしょうか。J.M.クラウスもハイドンと同時代の人ですし、ちょっと興味がありますが、ハイドンの未聴盤の山の前に、挑む余裕がありません(苦笑)

  • 2014/11/16 (Sun) 23:51
  • REPLY

だまてら

No title

ごぶさたしています。
団体名も耳新しいですが、「エトセトラ」レーベルとは懐かしいですね!
しばらく前に活動を休止した・・・と聞いた記憶があるのですが、勘違い
か、はたまた再興なったのでしょうか?
ところで、タグ分類がぁー!!

  • 2014/11/20 (Thu) 22:32
  • REPLY

Daisy

Re: No title

だまてらさん、コメントありがとうございます!
早速タグ修正させていただきました。最近小さい字が見にくくなってきました(苦笑)
ET'CETERAレーベルですが、手元にも何枚かのアルバムがあり、いずれも個性的なものです。こうゆうレーベルには生き残って欲しいですね。

  • 2014/11/21 (Fri) 07:42
  • REPLY