ミロスラフ・ケイマル/チェコフィルのトランペット協奏曲(ハイドン)
ここ数記事、チェコものが続いておりましたが、手元の未登録盤にチェコものがありましたので続けて取りあげます。

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TOWER RECORDS
ミロスラフ・ケイマル(Miroslav Kejmar)のトランペット。ペトル・シュクヴォル(Petr Škvor)指揮のチェコフィルハーモニー室内管弦楽団の演奏によるハイドンのトランペット協奏曲、ミヒャエル・ハイドンの小トランペット協奏曲、レオポルド・モーツァルトのトランペット協奏曲、ヨハン・ヘルテルのトランペット協奏曲2番の4曲を収めたアルバム。収録は1987年9月4日から12月1日にかけて、プラハの芸術家の家でのセッション録音。レーベルはSPURAPHONですが日本コロムビアによる国内盤。
トランペットのミロスラフ・ケイマルは1941年生まれのチェコのトランペット奏者。ネットにはあまり情報がありませんが、どうやら元チェコフィルの首席トランペット奏者のようです。もともとリベレツの軍隊付属音楽学校でトランペットを学び、5年間軍隊の任務に着いたあと、1971年までプラハ音楽院、プラハ音楽アカデミーで本格的に音楽を学びました、1970年からはチェコフィルの団員となり、国際的に活躍するようになり、名が知られるようになったそう。チェコフィルのトランペット奏者として、マーラーの交響曲3番の3楽章のソロでヴァーツラフ・ノイマンを感激させたとライナーノーツにあります。
このアルバムで指揮をとる、ペテル・シュクヴォルは1948年生まれのヴァイオリニスト、指揮者。こちらもネットに情報がありませんが、チェコフィルとのアルバムでヴァイオリニストとしてソロを担当するアルバムがいくつかあることから、チェコフィルのヴァイオリン奏者だった人でしょう。チェコ語のサイトを調べると1993年に亡くなっているようです。
そしてオケもチェコフィルではなくチェコフィルハーモニー室内管ということで、チェコフィルの団員による室内管弦楽団でしょう。
国内盤ということで日本語の解説がついているのですが、奏者についてはケイマルの情報がわずかに書かれているのみ。折角の名演奏なので、もう少し奏者の情報があるといいですね。私は奏者がどんな環境で学び、どんな人生を送ってきたかということに非常に興味があります。残念ながらチェコ語は読めませんので、こうしたローカルな奏者について紹介するのは限界がありますね。
ということで、当ブログで取りあげたのも、ひとえにその演奏が素晴しいからに他なりません。演奏について虚心坦懐にレビューする事に致しましょう。
Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
深く燻したような伴奏のオケの音色。活気と覇気に満ちあふれているのに響きは実にしっくりときます。冒頭からオケの素晴しい響きに圧倒されます。ケイマルのトランペットはメロディーがくっきりと浮かび上がるはっきりとした音色。ただし録音のバランスはオケの迫力優先なので、冷静なケイマルのトランペットソロがオケの迫力に飲み込まれそう。ケイマルは終始おちついたコントロールでトランペットを操りますが、吹き上がるところでの浸透力があり、オケに負けてはいません。オケは指揮のシュクヴォルが煽っているのかかなりのインテンポで攻めて来ますが、ケイマルが冷静にやり過ごす感じ。1楽章の終盤、ケイマルもオケに触発されるように盛り上がり、カデンツァでは見事に滑らかなトランペット捌きを聴かせ、転がるように音階を操り、ようやくソリストここにありとの存在感を示します。
アンダンテでは、オケがしっとりと沈み、今度はトランペットの引き立て役にまわります。この辺の切り替えは見事。ケイマルは今度は主役とばかり、朗々と美しいメロディーを吹いていきます。フレージングはオーソドックスですが、よく情感が乗った美しい音楽。ハイドンのトランペット協奏曲の魅力でもある、楽器の響きの真髄に触れるような滑らかなメロディーを無心に奏でていきます。小細工は不要、自然に沸き上がる情感。
予想通りフィナーレはオケが再び主導権を握り、鮮やかな響を聴かせながらソロを迎えます。ケイマルはフレーズの終わりをキリリと引き締め、かなりメリハリをつけた演奏。このへんはオケの熟練奏者の燻し銀のテクニックというところでしょうか。こうした緩急が音楽に変化を与え、短いフィナーレを聴き応えあるものにしています。ここぞと言うときのトランペットの輝きは見事。シカゴ響のアドルフ・ハーセスが全編にわたる輝きを聴かせたのとは異なり、要所要所でキリリと引き締める味のあるトランペットですね。いや、見事。
この後につづく3曲もオケが実に上手い。しっとりとした伴奏にケイマルが応じる素晴しい音楽。ミヒャエル・ハイドンの小トランペット協奏曲では、突き抜けるように上昇する高音が鳥肌もの。レオポルド・モーツァルトの典雅な音楽もしっとりと濡れたような表情にうっとり。あまり聴かないヨハン・ヘルテルのトランペット協奏曲も古典の均衡を保ついい曲です。
このアルバム、一聴するとオーソドックスな演奏に聴こえますが、良く聴くとレビューしたように実に味わい深い演奏。トランペット協奏曲は名盤が多いですが、その中にあってもこの味わい深さはかなりのもの。トランペットも素晴しいのですが、特にオケの燻し銀の響きがこの演奏の価値を高めています。このアルバム、奏者も指揮者も未知の人でしたが、この素晴しさに触れて、世界は広いと実感。まだまだ未知の名盤が潜んでいるのでしょうか。幸いまだ手に入るようですので、広くオススメできますね。もちろん評価は[+++++]とします。

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ミロスラフ・ケイマル(Miroslav Kejmar)のトランペット。ペトル・シュクヴォル(Petr Škvor)指揮のチェコフィルハーモニー室内管弦楽団の演奏によるハイドンのトランペット協奏曲、ミヒャエル・ハイドンの小トランペット協奏曲、レオポルド・モーツァルトのトランペット協奏曲、ヨハン・ヘルテルのトランペット協奏曲2番の4曲を収めたアルバム。収録は1987年9月4日から12月1日にかけて、プラハの芸術家の家でのセッション録音。レーベルはSPURAPHONですが日本コロムビアによる国内盤。
トランペットのミロスラフ・ケイマルは1941年生まれのチェコのトランペット奏者。ネットにはあまり情報がありませんが、どうやら元チェコフィルの首席トランペット奏者のようです。もともとリベレツの軍隊付属音楽学校でトランペットを学び、5年間軍隊の任務に着いたあと、1971年までプラハ音楽院、プラハ音楽アカデミーで本格的に音楽を学びました、1970年からはチェコフィルの団員となり、国際的に活躍するようになり、名が知られるようになったそう。チェコフィルのトランペット奏者として、マーラーの交響曲3番の3楽章のソロでヴァーツラフ・ノイマンを感激させたとライナーノーツにあります。
このアルバムで指揮をとる、ペテル・シュクヴォルは1948年生まれのヴァイオリニスト、指揮者。こちらもネットに情報がありませんが、チェコフィルとのアルバムでヴァイオリニストとしてソロを担当するアルバムがいくつかあることから、チェコフィルのヴァイオリン奏者だった人でしょう。チェコ語のサイトを調べると1993年に亡くなっているようです。
そしてオケもチェコフィルではなくチェコフィルハーモニー室内管ということで、チェコフィルの団員による室内管弦楽団でしょう。
国内盤ということで日本語の解説がついているのですが、奏者についてはケイマルの情報がわずかに書かれているのみ。折角の名演奏なので、もう少し奏者の情報があるといいですね。私は奏者がどんな環境で学び、どんな人生を送ってきたかということに非常に興味があります。残念ながらチェコ語は読めませんので、こうしたローカルな奏者について紹介するのは限界がありますね。
ということで、当ブログで取りあげたのも、ひとえにその演奏が素晴しいからに他なりません。演奏について虚心坦懐にレビューする事に致しましょう。
Hob.VIIe:1 / Concerto per il clarino [E flat] (1796)
深く燻したような伴奏のオケの音色。活気と覇気に満ちあふれているのに響きは実にしっくりときます。冒頭からオケの素晴しい響きに圧倒されます。ケイマルのトランペットはメロディーがくっきりと浮かび上がるはっきりとした音色。ただし録音のバランスはオケの迫力優先なので、冷静なケイマルのトランペットソロがオケの迫力に飲み込まれそう。ケイマルは終始おちついたコントロールでトランペットを操りますが、吹き上がるところでの浸透力があり、オケに負けてはいません。オケは指揮のシュクヴォルが煽っているのかかなりのインテンポで攻めて来ますが、ケイマルが冷静にやり過ごす感じ。1楽章の終盤、ケイマルもオケに触発されるように盛り上がり、カデンツァでは見事に滑らかなトランペット捌きを聴かせ、転がるように音階を操り、ようやくソリストここにありとの存在感を示します。
アンダンテでは、オケがしっとりと沈み、今度はトランペットの引き立て役にまわります。この辺の切り替えは見事。ケイマルは今度は主役とばかり、朗々と美しいメロディーを吹いていきます。フレージングはオーソドックスですが、よく情感が乗った美しい音楽。ハイドンのトランペット協奏曲の魅力でもある、楽器の響きの真髄に触れるような滑らかなメロディーを無心に奏でていきます。小細工は不要、自然に沸き上がる情感。
予想通りフィナーレはオケが再び主導権を握り、鮮やかな響を聴かせながらソロを迎えます。ケイマルはフレーズの終わりをキリリと引き締め、かなりメリハリをつけた演奏。このへんはオケの熟練奏者の燻し銀のテクニックというところでしょうか。こうした緩急が音楽に変化を与え、短いフィナーレを聴き応えあるものにしています。ここぞと言うときのトランペットの輝きは見事。シカゴ響のアドルフ・ハーセスが全編にわたる輝きを聴かせたのとは異なり、要所要所でキリリと引き締める味のあるトランペットですね。いや、見事。
この後につづく3曲もオケが実に上手い。しっとりとした伴奏にケイマルが応じる素晴しい音楽。ミヒャエル・ハイドンの小トランペット協奏曲では、突き抜けるように上昇する高音が鳥肌もの。レオポルド・モーツァルトの典雅な音楽もしっとりと濡れたような表情にうっとり。あまり聴かないヨハン・ヘルテルのトランペット協奏曲も古典の均衡を保ついい曲です。
このアルバム、一聴するとオーソドックスな演奏に聴こえますが、良く聴くとレビューしたように実に味わい深い演奏。トランペット協奏曲は名盤が多いですが、その中にあってもこの味わい深さはかなりのもの。トランペットも素晴しいのですが、特にオケの燻し銀の響きがこの演奏の価値を高めています。このアルバム、奏者も指揮者も未知の人でしたが、この素晴しさに触れて、世界は広いと実感。まだまだ未知の名盤が潜んでいるのでしょうか。幸いまだ手に入るようですので、広くオススメできますね。もちろん評価は[+++++]とします。
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