作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アマティ四重奏団のOp.54のNo.1(ハイドン)

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以前取りあげた演奏が素晴しかったアマティ四重奏団の未聴のアルバムが手に入りました。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

アマティ四重奏団(Amati Quartett)の演奏による、モーツァルトの弦楽四重奏曲No.10(KV.170)、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.54のNo.1、モーツァルトの弦楽四重奏曲No.19「不協和音」(KV.465)の3曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は2001年10月14日、フランクフルト放送の放送ホールでのセッション録音。レーベルはスイスDIVOX。

先に触れたとおり、アマティ四重奏団のアルバムは以前に2度ほど取りあげています。

2012/03/31 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : アマティ四重奏団のOp.50
2012/03/09 : ハイドン–弦楽四重奏曲 : アマティ四重奏団のOp.77

上の記事を参照いただければわかるとおり、アマティ四重奏団の演奏は、ハイドンの弦楽四重奏曲の演奏としては理想的なもの。手元にあるのはレビューした1988年録音のOp.77と1995年録音のOp.50の後半3曲の2つのアルバムですが、今日取り上げる演奏はそれより新しい2001年の録音。ハイドンの録音は他に未入手のOp.50の前半3曲のみですが、この録音ペースをみればわかるとおり、録音もかなり間をおいてじっくりアプローチしているよう。その演奏の出来を聴くと、録音には周到な準備をしてのことと想像できます。このアルバム演奏当時のメンバーは下記のとおり。1995年のOp.50の録音の時と同じメンバーです。

第1ヴァイオリン:ウィリィ・ツィマーマン(Willi Zimmermann)
第2ヴァイオリン:カタルツィナ・ナヴロテク(Ktarzyna Nawrotek)
ヴィオラ:ニコラス・コルティ(Nicholas Corti)
チェロ:クラウディウス・ヘルマン(Claudius Herrmann)

このアルバムでも以前の録音と同様、ハイドンのクァルテットの輝き、キレ、美しいメロディーを理想的にまとめたような高みに至っています。ハイドンのクァルテットの素晴しさを余すところ無く伝える名演奏と言っていいでしょう。

Hob.III:58 / String Quartet Op.54 No.1 [G] (1788)
なんという輝き。弦楽四重奏の最上の響き。速めのテンポできらめくようにハイドンのメロディーを演奏していきます。これより美しい響きを作る事は難しいのではと思わせる完璧なアンサンブル。録音も弦楽器の美しい響きと胴鳴りを鮮明にとらえた素晴しいもの。高音の美しいのは言うまでもありませんが、ヴィオラとチェロの存在感もかなりのもの。音量を上げて聴くと、眼前にクァルテットが等身大で出現。息をもつかせぬ緊密なアンサンブルに圧倒されます。1楽章から見事な演奏に引き込まれます。
アレグレットは第1ヴァイオリンのツィマーマンの美音と他の3人の伴奏が明確に対比され、メロディーラインがクッキリと浮かび上がります。アンサンブルはキレキレ。4人の息がピタリと合って、ボウイングにも寸分のずれもありません。超高精度ながら、精度に感心があるのではなく、音楽が実に自然に流れます。アルバンベルクの演奏がメロディーをかっちりと合わせることに集中している一方、こちらは精度はそれ以上ながら、合わせているのは音楽の呼吸。より深いレベルでの音楽を造っているように聴こえます。
メヌエットに入ると、冒頭から程よい軽さを帯びて音楽が活き活きと弾みます。まさに絶妙な音楽。この呼吸の見事さは尋常ではありません。まさにフレージングが神がかっています。奇跡の精度。
フィナーレは足早なのに音楽はじっくりと地に足がついて次々とメロディーを受け渡していきます。そして弦楽器4本という構成でのダイナミクスの限りを尽くした起伏。曲のクライマックスに相応しい盛り上がりを聴かせますが、合間に力を抜くところのセンスが良いので強音が引き立ちます。最後は絶妙な力の抜きを聴かせて終わります。ブラヴォー!

いやいや、前2枚のアルバムも素晴しかったのですが、このアルバムの演奏もキレてました。前後に置かれたモーツァルトもハイドン同様、素晴しい演奏。古典期の弦楽四重奏の魅力が詰まった見事な出来にうっとり。このアルバムほど弦楽四重奏曲の魅力をわかりやすくつたえるものは無いでしょう。すべての人に聴いていただきたい超名盤です。評価はもちろん[+++++]以外をつける余地はありません。幸いまだ入手可能なようなので、興味のある方は今のうちに!

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