作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【番外】関西・四国・中国大紀行(その12)

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(つづき) その1

津山郊外の絶品ラーメン店、麺屋大輔の駐車場で、カーナビにセットした行き先は、兵庫県小野市の浄土寺。一般的にどの程度知られているかはわかりませんが、日本建築史上の傑作の一つです。

津山から小野までは100kmほど。麺屋大輔は津山のはずれにあったため、まずは津山市内に入ります。意外と言っては失礼ですが津山は大きな街。駅前近くになると吉井川という川添いに出て、程なく中国自動車道の津山インターに差し掛かります。ナビの指示どおり、津山インターから高速に乗り、そのまま東へ。再び美作、佐用、福崎、加西と関東人には妙に新鮮な地名を眺めながらのドライブ。そして滝野社(たきのやしろと読む!)インターで高速を降りるようナビに促され、中国高速を降ります。そのまま国道175号を南下すると、小野市に入り、浄土寺との看板が目に入ります。いよいよ、まだ見ぬ至宝に出会えます。

浄土寺に到着すると広い駐車場はあるものの車はほとんど停まっていません。この日は平日木曜日ということですが、これほどの名建築にしては少々寂しい雰囲気も漂います。ジリジリと照りつける日差しのなか、人気のない駐車場に車をとめ、まずは目指す、国宝浄土堂の位置を確かめます。

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浄土堂は脇の入り口を入ってすぐのところにいきなりありました。

Wikipedia:浄土寺(小野市)

この浄土寺浄土堂が日本建築史上画期的な存在であり、ここを一目見ておきたいと思っていたのには、学生時代の日本建築史の授業にさかのぼります。鎌倉時代、鎌倉五山の建築の権威だった担当教授の授業での圧倒的な迫力の講義の印象がいまだに脳裏から消えません。

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この浄土寺にある国宝浄土堂は、東大寺の大勧進職を務めた、俊乗房重源が建久8年(1197年)に建立したもの。それまでの日本建築の伝統的工法、意匠とは全く異なる大仏様という中国伝来の様式で建てられた建物。他に大仏様で建てられ、今に残るものは同じく重源による東大寺南大門があります。

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日本建築の象徴的な意匠に軒下の木製の組み物があり、これを枓栱(ときょう)と言いますが、法隆寺などからつづく日本建築の枓栱は、柱の上に繊細な組み物を乗せて行くのが一般的です。ところが、この浄土寺浄土堂や東大寺南大門など大仏様の建物では柱の上に組ものを組むのではなく、柱に水平の貫がぐさりと突き刺さるもの。肘木も挿肘木(さしひじき)といって、柱にぐさりと挿すものになります。この写真の浄土堂の枓栱でも挿肘木による直線的なリズムが構造の面白さを直裁に表現しています。日本建築の時代変遷は枓栱を見ると概ねわかるものですが、後にも先にもこうしたダイナミックかつ直裁な意匠のものは存在しません。これは重源が中国に行って直接中国の建築様式を学び、その手法を日本にもたらしたものだからと言われています。

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この浄土堂が素晴しいのは、こうした枓栱の様式が特殊だという点ではありません。残念ながら内部は撮影禁止でしたので、写真は拝観料をいただいてもらったパンフレットをスキャン。内部はこの大仏様のストラクチャーの面白さが炸裂。柱間3間ずつの正方形のお堂の柱をつなぐ貫や虹梁が飛び交い、しかも朱塗りの虹梁の下側には構造を目立たせるためか、白塗りの縁取りがされ、まさに構造自体を見せる、モダニズムにも通じる意匠。そしてそのお堂一杯の大きさで収められた快慶作の阿弥陀三尊像。仏像をお堂を造った後に運び入れるのが難しいほどお堂一杯の大きさで収まっています。天井を張らず、垂木が露出しているので屋根裏の構造が一層目立っています。

内部はまさに圧巻。柱の上昇感はカルナック神殿か、サンピエトロのバルダッキーノ(天蓋)を思わせるもの。中央にそびえ立つ阿弥陀三尊像まわりをゆっくり廻るとまさに極楽浄土。夕方にさしかかると、仏様の背の西側の蔀(しとみ)戸から夕陽が差し込み堂内が朱に染まって来るのですが、この日はまだ時間はやく、明るかったですね。皆でしばらく堂内をのんびり見学。受付の方がしきりにこの阿弥陀三尊像の花の高い端正な顔立ちが素晴しいとおっしゃってたのが印象に残りました。是非朱に染まる頃再訪してみたいと思います。

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外に出て屋根を仰ぎ見ると、ほとんど反りのない端正なカーブ。

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西にまわると先程光をとっていた蔀戸。

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外見はなんということもないお堂ですが、やはり実際に見るとその素晴らしさが一層よくわかりました。この旅のはじめに立ち寄った宇治平等院鳳凰堂とともに、浄土思想の建築的表現の究極の姿といっていいでしょう。学生時代の講義のインパクトそのままの大迫力のお堂でした。



暑いなか歩き回ったので、少々疲れ気味。ということで、一路本日の宿をとってある神戸に向かいます。小野から神戸まではそれほどの距離ではありませんが、カーナビにセットすると、なにやら高速道路の分岐が多数。さながら首都高で目黒から箱崎を通って駒形に抜けるような道のり(笑) これはナビのアシストなしでは行けそうにありません。

浄土寺を出て先程の国道175号をさらに南下すると、今度は山陽自動車道の三木小野インターにさしかかります。ここから高速に乗り、いろいろクネクネ分岐して、なぜか初日に通った明石大橋のたもとまで来ます。一歩間違えると淡路島に入ってしまいそうな中、ナビの指示に巧みに応じて、神戸方面に舵を切ります。そして柳原というところで降りるよう指示があり、神戸の街に入ります。街中をしばらく進み、ハーバーランドや三宮のあたりにさしかかってようやくこの日の宿に到着します。

初日から旅館泊まりがつづいていたので、この日は変化球でホテルです。この日は三宮の老舗ホテル、オリエンタルホテルをとっていました。横浜に似た港町のクラシカルな風情。久しぶりに都会に来ました(笑)

旅はもうすこし続きます。

その13へ)

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2 Comments

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sifare

妙に親しみのある地名がいよいよ~

こんにちは~

小野からまぁ近いですが、こんな国宝のお寺があるとは知りませんでした(+o+)是非一度行ってみたいです。(滝野社は友人の実家がある所(^-^))

先日の現代の英知を駆使したスマートなダムも昔日のダムの業績の上に成り立ったもので、どちらも本当に美しいですね。私も旅をしたい~

Daisy

Re: 妙に親しみのある地名がいよいよ~

sifareさん、おはようございます。
いつも寄り添ったコメントありがとうございます。仕事でときたま関西方面に出かけることはありますが、たいてい新幹線で、仕事の目的地との往復だけで終わってしまいます。車で関西を廻ることは滅多にありませんので、こちらも実に新鮮でした。
浄土寺は晴れた日の夕方に是非。阿弥陀様が背後からの夕陽で朱に輝き、極楽浄土に直行出来ます(笑)
こちらは、連日仕事にまみれて現世に引き戻され、旅の思い出がうすらぎつつあります(涙)

  • 2014/06/16 (Mon) 08:03
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