リノス・アンサンブルのディヴェルティメント集(ハイドン)

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リノス・アンサンブル(Linos Ensemble)の演奏で、ハイドンの管楽器と弦楽器のための室内楽曲4曲を収めたアルバム。ちょっと不思議な立ち位置のアルバムです。収録は1994年11月7日から10日にかけて、ミュンヘンのバイエルン放送の第2スタジオでのセッション録音。レーベルは独CAPRICCIO。
このアルバムは、いつもながら、湖国JHさんに貸していただいたアルバムなんですが、レビューを始めようと収録曲を調べ始めたところ、どうもこのアルバムだけに含まれる、、、というか、他のアルバムでは見かけない曲がいくつかふくまれているんですね。なんとなく調べあぐねていたところ、実は手元の未登録盤を保管してあるボックスに同じリノス・アンサンブルの演奏によるハイドンのフェルドパーティー曲集があり、こちらも同様、曲の特定に難航して長らく未登録盤ボックスの中に板と言う次第。おそらくハイドン作のものや、ハイドンの作と思われる曲を意図して集めて録音していると思われるアルバム。
ハイドンの曲ばかりを普段聴いているとはいえ、学者ではありませんので、こうゆう微妙な曲を扱っているアルバムについては、何となく落ち着きません。所有盤リストへの登録も、既知の曲であれば、ただ登録するだけなんですが、他のアルバムにない曲についてはいろいろ調べないと正体がわかりません。
このような微妙かつ激マイナーな曲を録音しているリノス・アンサンブルという団体、一体何者なんでしょう。
linos ensemble
彼らのサイトもドイツ語のみのため詳しいことはわかりませんが、1977年オーボエ奏者のクラウス・ベッカーが設立した管楽器を軸にしたアンサンブルで、レパートリーはバッハからシュトックハウゼンまで、編成はトリオから室内楽オーケストラまでということくらい。ということでわかる曲のレビューをしておきましょう。
Hob.II:F2 / Cassation
1曲目はカッサシオンのヘ長調。所有盤リストでカッサシオンのヘ長調を探すと、ホーボーケン番号でHob.II:F2というのがあり、エミール・クラインとハンブルク・ソロイスツの演奏が登録されていますが、このアルバムにあるだけで他に資料がない曲。5楽章構成でヴァイオリン、ヴィオラ、オーボエ、ファゴット、ホルン×2、コントラバスという編成。最近ディヴェルティメントをいろいろ聴いているせいか、出だしの1楽章のアレグロ・モデラートから軽快な音楽に引き込まれます。ホルンの加わった響きの美しさもかなりのもの。演奏は現代楽器によるオーソドックスなものですが、演奏から音楽が溢れ出してくるような活き活きとした歌が感じられるなかなかの演奏。一人一人のクッキリとメリハリのある演奏から、ソリストの腕はかなりのものでしょう。続いてメヌエット、アダージョ、メヌエット、ロンドと言う流れ。メヌエットはまさにハイドンの作というキレの良いもの。ファゴットのコミカルなメロディーの演出の上手さが光ます。アダージョはオーボエとコントラバスが活躍。ゆったりとしたリズムに乗ってオーボエが抜けるような上昇感のフレーズを奏でていきます。4楽章のメヌエットは最初のメヌエットとは異なりかなり展開していきます。フィナーレのロンドはハイドンの作風とはちょっと異なるような気もしますが、良くまとまってはいますし、展開に閃きもあり、私はハイドンの真作ではないかとの印象を持っています。
Hob.II:B4 Divertissement [B flat] (????) (Doubtful 疑作)
続く曲は、まったく知らなかった曲。ホーボーケン番号ではHob.II:B4と言う名前がついていますが。ちなみにこのアルバム以外では全く見かけない曲。オーボエの軽快な旋律から入る曲。ちなみに前々記事のシェーンブルン・アンサンブルのディヴェルティメント集の記事に対してHaydn2009さんからコメントいただいた情報によると、この曲の出だしから少しの部分が下記のTVCMに使われているとのことでした。
ハウス食品株式会社:商品・CM情報:ザ・ホテル・カレー
1楽章の演奏が軽やかに弾んでいるのは先に触れた曲同様。CMに使われることからも明らかなとおり、非常に流れが良く高揚感と推進力も十分。ハイドンの作にしては非常に滑らかな展開。演奏自体は非常に盛り上がり、リノス・アンサンブルの演奏によりクッキリとフレーズが浮かび上がりますが、構成感と言う点ではハイドンの筆によるものだとは断言できない曲ということでしょう。演奏は非常に緻密なもの。つづく2楽章はロンドで2楽章構成の曲ですが、なんとなくこの2楽章もハイドンではない人の作品のような気がします。
Hob.II:A4 Quartett [A] (before 1777)
つづいての曲はフルート四重奏曲イ長調。4楽章構成の曲。どことなくロンドン・トリオを思わせるフルートの音階が印象的。解説によればボルドー市立図書館で発見されたフルート四重奏曲6曲の中の1曲とのこと。2楽章のアダージョにはバッハのマタイ受難曲のアリアが引用されているのとのこと。この曲の構成と展開の面白さはハイドンそのもののように感じます。
Hob.II:25 / Notturno No.1 [C] (1789/90)
そして最後はようやく聴き慣れたノットゥルノ。いくらマイナー盤好きだからといっても、これだけ聴いたことがない曲が続くのはちょっとストレス(苦笑)。この曲ナポリ王フェルディナンドIV世の依頼で作曲した一連のノットゥルノやリラ・オルガニザータ協奏曲などは、過去に何度か取りあげていますので、メロディーに親しみがありますね。躍動感溢れる演奏はこういった機会音楽としては理想的な演奏。先日取りあげたシェーンブルン・アンサンブルよりも明るい調子でノリも良いので、一聴して楽しい雰囲気が伝わる演奏ですね。
シェーンブルン・アンサンブルにつづき、マイナー曲、埋もれた曲を活き活きと演奏するリノス・アンサンブル。ハイドンのディヴェルティメントはよく聴くと室内楽の喜びに溢れたいい曲が多いですね。情報の少なさ、アルバムの少なさからあまりつっこまずにいましたが、今回レビューしてみてその良さがわかりました。手元にはマンフレッド・フス盤やコンソルティウム・クラシクム盤もあり、挑み甲斐がありますね。こちらはまたの機会にでも取りあげることといたします。リノス・アンサンブルの今回の4曲、やはり[+++++]を進呈しないわけには参りませんね。
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