作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヤスパー・デ・ワール/コンセルトヘボウ室内管のホルン協奏曲(ハイドン)

0
0
今日は好きなホルン協奏曲。

deWaal.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

ヤスパー・デ・ワール(Jasper de Waal)のホルン、コンセルトヘボウ室内管弦楽団(Concertgebou Chamber Orchestra)などの演奏で、ハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)、モーツァルトのホルン四重奏曲からロマンス、ミヒャエル・ハイドンの作曲とされるホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、ハイドンのディヴェルティメント(Hob.IV:5)、ミヒャエル・ハイドンのセレナーデからホルンとトロンボーンのためのアダージョ、アレグロモルトの5曲を収めたSACD。収録は2009年6月、9月、アムステルダム中心部のワールセ教会(Waalse Kerk)でのセッション録音。レーベルはCHANNEL CLASSICS。

このアルバム、もちろん現役盤なのですが、当方の所有盤ではなく、湖国JHさんから貸していただいたもの。いままで何度か注文しようとしていたのですが、HMV ONLINEの在庫が切れていたりなどの理由で巡り合わせが悪かったもの。当方の所有盤リストの隙を見事についてアルバムを貸していただくといういつもの流れで、手元にやってきました。

ヤスパー・デ・ワールはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席ホルン奏者を2004年から2012年まで務めた人とのこと。1983年から84年にかけてオランダの数々の音楽コンクールで優勝します。その後オランダ南部のティルブルフ(Tilburg)にあるブラバント音楽院を1988年に卒業、1990年にはハーグ王立音楽院で学位を得ました。そして1990年から2004年までハーグ管弦楽団の第一ホルン奏者を務め、そしてコンセルトヘボウの首席ホルン奏者となったんですね。現在ではソリストとして活躍しています。

オケのコンセルトヘボウ室内管弦楽団は、1987年にコンセルトへボウ管の主要メンバーを集めて設立された室内管弦楽団ということです。

名手ぞろいのコンセルトヘボウのメンバーによるハイドンということで期待十分ですね。

Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
非常に透明感の高いオケ。古楽器のようなノンヴィブラートの響きですが、現代楽器による演奏ですね。キビキビとしたテンポのオーケストラの伴奏に乗って、ホルンも蒸留水のような清らかな響き。清透な響きの美徳に溢れた演奏。健康にこだわった食事が少し物足りない印象を残すのと同様、スッキリクリアな演奏ですが、もう少し個性というか灰汁が欲しいと言う気になってしまうところもあります。
つづくアダージョもスタンスは変わらず、爽やかな序奏から入り、ホルンもまったくストレスなく、さりげない演奏。ホルンのワールは、テクニックは確か。こともなげにホルンのメロディーを正確に吹いていきます。あまりに軽々と吹いていくのでご利益が感じられないほど(笑) このアダージョの聴かせどころであるホルンの低音の魅力も、あまりに淡々と吹いていくので肩すかしを食った気がします。ただ、カデンツァに入ると只ならぬ安定感で高音のフレーズを吹き抜き、はっとさせられます。
フィナーレは、軽やかさがようやく曲想にマッチして、華やかさを帯びた美音の響宴の趣。あまりに正確なホルンの音階がここにきて快感に変わります。オケも透明一途。特にヴァイオリンの線の細いきらめきが繊細感をもたらします。最後のカデンツァもワールの屈託のないホルンの上昇感が聴き所。

つづくモーツァルト、そしてハイドンの作とされてきたミヒャエル・ハイドンのホルン協奏曲は、1曲目のハイドンのホルン協奏曲よりもメリハリがついて、正直すこし上の出来。オケの響きにもリアリティが増し、軽やかさばかりではない清楚な印象が残ります。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
難曲ホルン三重奏曲。この曲でもワールの軽やかなホルンさばきは変わりません。この曲は先日聴いたヘルマン・バウマン盤の圧倒的な存在感の演奏を取りあげたばかりですが、その演奏とは異なり、ワールのテンポ感の良いクリアなホルンの響きがスルスルと通り過ぎていくよう。難しい曲を演奏している風情も重要であると再認識した次第。あまりに軽々と演奏しているので練習曲のように聴こえてしまうくらい。演奏の精度は高く、やはりワールのテクニックの確かさが印象にのこりました。

実はこのアルバムでもっとも心に残ったのが最後のミヒャエルハイドンのセレナーデからの2曲。適度な溜めと癒しに満ちた音楽。曲自体もハイドン程の構成の面白さはないものの、高揚感に満ちたメロディーの面白さはなかなかのもの。ホルンとトロンボーンの織りなすえも言われぬとろけるような響きに、オケもこころなしか弾み気味。これは文句なし!

はじめて聴くヤスパー・デ・ワールのホルン。非常に清潔感あふれる、キリリとした演奏でしたが、上手いだけでは上手く聴こえないということを感じさせた演奏。やはり音楽は心で聴くもの。当たり前の事ですが奏者の個性がもうひと踏み込み欲しいという余韻がのこりました。特にハイドンの曲にはもうすこしメリハリがあったほうがいいでしょう。逆に末尾のミヒャエルハイドンのセレナーデでは、穏やかな演奏から滲み出る癒しが感じられる名演奏でした。これは奏者と曲の相性の問題か、はたまた、演奏のムラの問題なのかはわかりません。ハイドンの評価は両曲ともに[++++]とします。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

0 Comments

There are no comments yet.