作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

バーンスタイン/ウィーンフィルの交響曲88番、協奏交響曲DVD(ハイドン)

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今日は久しぶりのDVDです。

BernsteinVPO88.jpg
HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)指揮のウィーンフィルの演奏で、ハイドンの交響曲88番、協奏交響曲の2曲を収めたDVD。収録は88番が1983年、協奏交響曲が1984年、何れもムジークフェラインでのライヴです。レーベルはDREAMLIFE。

このライヴですが、収録時間などから考えておそらく同じ日の演奏がDeutsche GrammophonからCDがリリースされており、88番についてはCDで既に取りあげていますが、ちょっとした違いもあるため、あらためて取りあげた次第。

バーンスタインのハイドンは世評は高いものの、私は特にウィーンフィルとの晩年の演奏は今ひとつぐっと来ない印象を持っています。むしろ古いニューヨークフィル時代の演奏の方が好みと言っていいでしょう。その辺はこれまでの記事でも書いてきたとおりです。

2012/06/25 : ハイドン–交響曲 : バーンスタイン/ウィーンフィルの102番1971年ライヴ
2011/09/15 : ハイドン–声楽曲 : バーンスタイン/ロンドン交響楽団のテレジアミサ
2011/08/15 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番5】バーンスタイン/ウィーンフィルのテレジアミサライヴ!
2011/05/08 : ハイドン–交響曲 : バーンスタイン/ウィーンフィルの88番、オックスフォード
2010/12/26 : ハイドン–交響曲 : 【新着】バーンスタイン/NYPの97番、98番DVD
2010/09/11 : ハイドン–オラトリオ : バーンスタインの天地創造DVD

響きの美しいウィーンフィルとの演奏ですが、ハイドンにしては少々厚化粧な感じをともなうのは、バーンスタイン一流の濃い表情付けからくる訳です。これが気にならない人にはたまらない演奏かもしれませんね。私はバーンスタインの、特に遅い楽章でのちょっと濃い味付けに少々違和感を感じるため、あまりいい評価にはしてきませんでした。純粋に音から感じるイメージがそういう印象を引き起こしているんだと思います。特に今日取り上げる88番のラルゴのこってりとした雰囲気は評価の分かれ目。先日取りあげたヨッフム/ベルリンフィルとの演奏の古典的な均整のとれた響きとはかなり異なる印象を持ちます。

今回、映像でこの演奏を見ると、逆にこのこってりとした雰囲気があまり気にならず、映像の面白さで一気に見られてしまいます。これが不思議なところ。

Hob.I:88 / Symphony No.88 "Letter V" 「V字」 [G] (1787?)
満員の観衆で埋まるムジークフェラインザール。コンサートマスターは山岳事故で亡くなってしまったゲルハルト・ヘッツェル、懐かしい! フルートの長身のディター・フルーリーも若いですね。バーンスタインは顔色も良く、にこやかいハイドンの演奏を楽しんでいるよう。燻したようなウィーンフィルの響きに包まれ、指揮も楽しいそう。流石に名指揮者だけあって、表情豊かに指示を出していき、オケからちょっと濃いめのハイドンの楽興を引き出して行きます。
つづくラルゴはかなり遅めのテンポ。先に触れたように、音だけで聴くよりも表情の濃さは気になりませんが、古典派というよりはロマン派の音楽のよう。バーンスタインの指揮姿はクライバーのように陶酔感を感じるほどではありませんが、オケに対する指示のわかりやすさ、求める音楽を表情で示す表現力は流石。この表現力があとでものを言う事になります。
メヌエットは丁寧に立体感を際立たせて行く感じ。フレーズごとにくっきりと表情をつけていき、柔らかい光で照らして陰影を豊かにつけていきます。
フィナーレは、先日のヨッフム/ベルリンフィルがあまりにも素晴らしかったので比べてしまいがちですが、それに比べると力に頼りがちと聴こえてしまいます。ウィーンフィルはこの曲のDNAを良く踏まえて、徐々に響きの渦持ち込み、最後はバーンスタインに煽られクライマックスに上り詰めて終了。バーンスタインは会場の拍手に応じて礼をしますが、すぐにオケの方にふりかえり、指揮棒を上げます。すると再びフィナーレがはじまりますが、すぐに指揮棒はおろし、顔の表情だけでオケをコントロール。そう、これが有名なバーンスタインの顔だけでの指揮。ハイドンのユーモラスなメロディーに合わせてバーンスタインの表情が変わります。観客もこのパフォーマンスを楽しんでいるようす。一貫したリズムの曲、しかも2度目の演奏なので奏者が指揮に合わせるというより、指揮者が奏者に合わせているのかもしれませんね。最後はムジークフェラインの観客から暖かい拍手が降り注ぎます。CDではこのパフォーマンスの面白さは伝わらないと言う事で取り入れられていないということでしょう。これもハイドンの交響曲の面白さを伝える演奏ですね。

Hob.I:105 / Sinfonia Concertante 協奏交響曲 [B] (No.105) (1792)
続いて1年後、1984年のライヴ。ちょっと気になるのがバーンスタインの買い色が悪い事。酒好き、タバコ好きで知られるバーンスタインも健康不安を抱えていたのでしょうか。今度はコンサートマスターがウェルナー・ヒンク。ソロは以下のとおり。

ヴァイオリン:ライナー・キュッヒル(Rainer Küchl)
チェロ:フランツ・バートロメイ(Franz Bartolomey
オーボエ:ワルター・レーマイヤー(Walter Lehmayar)
ファゴット:ミカエル・ウェルバ(Michael Werba)

協奏交響曲は、同じウィーンフィルの演奏でも1973年にベームの指揮で演奏した名盤があります。先程の88番がかなりバーンスタイン流にメリハリをつけた演奏だったのに対し、こちらは奏者にかなり自由に演奏させており、自然な流れが心地良い演奏。ソロを担当するウィーンフィルのトップ奏者の音楽に対し、バーンスタインは挑んだり制御したりすることを強制するのではなく、自然体で臨んでいます。88番に対して、こちらはそうした姿勢が良い方向に働いている印象。全楽章、ソロとオケが自然にやりとりするところがいい演奏。そういう意味でバーンスタインらしさは後退していますが、それがマイナスとは感じません。

バーンスタインの名門ウィーンフィルとのハイドンですが、映像で見ると音だけのときとは結構印象が変わると実感した演奏でした。88番の方はフィナーレを顔だけの指揮で繰り返すと言う演出の面白さが加わり、これもハイドンの面白さをあらわすよく考えられた演奏だと感心しきり。そして協奏交響曲の方は、ソロ奏者の演奏を映像で見られる面白さが味わえます。どちらもCDよりもいい印象。ということで、ほぼ音楽は同じと思われますが、評価はそれぞれ[++++]と、1ランクアップとします。

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