作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

オイゲン・ヨッフム/ベルリンフィルの88番、98番(ハイドン)

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コンサートや桜見物に興じている間に、レビューから遠ざかっておりました。やはりレビューをこなしてこそ、当ブログの存在意義があるというもの。本日は名演奏家のアルバムですが、ちと変わったもの。

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HMV ONLINEicon(CD ザロモンセット)/ amazon(CD ザロモンセット)/ TOWER RECORDS(CD ザロモンセット)

オイゲン・ヨッフム(Eugene Jochum)指揮のベルリンフィル(Berliner Philharmoniker)の演奏で、ハイドンの交響曲88番、98番を収めたLP。収録の情報はLP自体に記載はありませんが、この演奏を収めているCDのザロモンセットの情報を見ると88番は1961年10月、98番は1962年5月の収録であることがわかります。レーベルはDeutsche Grammophonです。

CD盤のザロモンセットは手元にあるのですが、このベルリンフィルとの演奏を含まない4枚組のものですが、現行盤はボックスセットの5枚組で、今日取り上げる演奏もオマケのように含まれています。

さて、ヨッフムのハイドンですが、あらためて調べてみると、かなりの回数取りあげていることがわかりました。書いている本人はそれほど取りあげた記憶がないのですが、、、(笑)

2013/07/12 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送響の91番、太鼓連打
2012/03/20 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ウィーン響の驚愕、95番ライヴ
2012/01/25 : ハイドン–声楽曲 : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送響のチェチーリア・ミサ
2011/12/30 : ハイドン–交響曲 : 【600記事記念】オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの「ロンドン」
2011/09/22 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ-2
2011/09/20 : ハイドン–オラトリオ : オイゲン・ヨッフム/バイエルン放送交響楽団の天地創造ライヴ
2011/06/07 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドンフィルの93番
2011/05/28 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ドレスデン・シュターツカペレの93番
2010/12/29 : ハイドン–交響曲 : オイゲン・ヨッフム/ロンドン・フィルの軍隊、時計ライヴ
2010/09/02 : ハイドン–協奏曲 : フルニエ/ヨッフムのチェロ協奏曲
2010/08/05 : ハイドン以外のレビュー : ヨッフム/バンベルク響のモーツァルト後期交響曲

ヨッフムのハイドンのザロモンセットはある意味定番とされている録音です。軽やかに吹き上がるタイトな名演盤なんですが、その影にかくれて、いろいろな録音があり、先日取りあげたバイエルン放送響との91番、太鼓連打などやドレスデン・シュターツカペレとの録音、ライヴなどがあり、スタイルは一貫しているものの、演奏の出来はいろいろ。ツボにはまった演奏の素晴しさは格別なものがあります。

今日取り上げる、1960年代初頭の演奏は、数あるヨッフムの演奏の中でも、指折りの一枚です。当時のLPからは若きヨッフムのキレキレの音楽が吹き出してきました。

Hob.I:88 / Symphony No.88 "Letter V" 「V字」 [G] (1787?)
冒頭からベルリンフィルらしい、低音弦の力強い響きが印象的。ヨッフムらしい折り目正しい端正なコントロールの序奏。そして軽やかに主題に入りますが、ベルリンフィルらしく弦楽器の切れ込むようなタイトなボウイングが素晴しい緊張感を感じさせます。インテンポで攻め込む弦楽パートのせめぎ合いがスリリング。録音はかなり直接音重視ですが、エコー成分ががかなりあり、ダイレクトなのに潤いを感じる不思議な響き。
バーンスタインの演奏では脂っこさを感じさせる2楽章ですが、ヨッフムのコントロールはまさに端正。ゆったりとしすぎず、適度にリラックスした奏者がアンサンブルを楽しんでいるよう。中盤の盛り上がりも力まず、オケを素直に鳴らし、反響を楽しむようです。ふたたびリラックスしたメロディーラインが戻り、至福のひととき。
意外にメヌエットが練ります。ゆったりと溜めをつくってオケを巧みにコントロール。なんとなく今まで知るヨッフムの印象と異なるので新鮮な感じ。中間部のトルコ風のメロディーの演出の巧みなことに驚きます。何気ないメロディーを実にニュアンス豊かに奏で、音楽が踊るよう。
まったく間を置かずフィナーレに突入。小気味好くメロディーが弾み、めくるめくような変化に富んだ音楽。徐々にヴァイオリンが畳み掛けはじめ、ベルリンフィルの表現意欲のスイッチが入りました。ヨッフムの変化に富んだ棒が活き活きと弾む音楽を繰り出し、音楽は最高潮に上り詰めます。これほどの面白さとは予想だにしなかった陶酔。これはハイドンに聴かせてあげたい、空前絶後の面白さ。いやいや参りました。

Hob.I:98 / Symphony No.98 [B flat] (1792)
LPをひっくり返して、今度は98番。88番と98番とは実に渋い選曲です。序奏から機敏な展開。タイトに響き渡る音楽が心地よい展開。緩急自在とはこのことのように、時に速めのテンポで畳み掛けます。音楽を冷静に捉えると、変化と機知が織りなす感興が極まる素晴しい演奏。そこここで引き締まった音楽が感じられるタイトな進行。
つづくアダージョは凛々しさを保ちながら、ベルリンフィルの演奏とわかる緊張感溢れる音楽が流れます。ゆったりとしきらない音楽。
メヌエットもフレージングの面白さはつづき、CDとはひと味違うダイレクトな感興がスピーカーから流れ出します。クッキリと浮かび上がるメロディーライン。すこし力を抜いたり、輝かしいフレーズを聴かせたりと、ヨッフムのコントロールは自在。オケがそれについていっているので、音楽は一貫して引き締まっています。
前曲同様やはり間を置かずにフィナーレに入ります。ハイドンが書いた音楽はこれほど面白いものと誇示するようなヨッフムのコントロール。録音の鮮度が高いので、まさにそこで演奏しているような緊張感。ベルリンフィルも自然にヨッフムの棒についていきます。LPから流れ出す音楽はまさにヨッフムが楽譜から読みとった機知をそのままあらわすよう。音楽は鮮度を失わず、ソロのヴァイオリンとオケの掛け合いも気合いを失いません。この交響曲独特の展開を楽しむような余裕たっぷりの展開。最後はコミカルな展開を織り交ぜていきますが、チェンバロのソロの聴かせどころの演出の巧みさを印象づけて終わります。

今まで抱いていたヨッフムのハイドンのイメージよりもかなり踏み込んだ演奏。速めのテンポで畳み掛けるだけの演奏ではなく、かなり曲の真髄にせまるタイトなコントロールが聴き所の演奏でした。ロンドンフィルとのザロモンセットの演奏よりも緊張感は数倍上の素晴しい演奏と言っていいでしょう。上のリンク先のボックスセットをお持ちでない方は買い直す価値ありです。評価は両曲とも[+++++]とします。この演奏、両曲ともにそれぞれの曲のベストな演奏と言ってもいい出来です。ブラヴォー!

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