アイフォー・ジェームスのホルン協奏曲集(ハイドン)
しばらく意図してメジャー盤を取りあげてきましたところ、マイナー盤聴きたい症候群が再発。今日はド・マイナーなアルバム。妙に嬉しいです(笑)

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ジャケットからもマイナーな雰囲気が滲み出て、ワクワクします(笑)
アイフォー・ジェームス(Ifor James)のホルン、ヴラディスラフ・ツァルネッキ(Vladislav Czarnecki)指揮の/南西ドイツ・プフォルツハイム室内管弦楽団(Südwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim)の演奏で、ハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)、伝ハイドンでミヒャエル・ハイドンの作と思われるホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、ケルビーニのホルンと弦楽合奏のためのソナタNo.1、No.2、ネルーダのホルン協奏曲の全5曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1986年12月4日、ドイツ南部のシュツットガルトとカールスルーエの間にあるプフォルツハイムのコミュニティーセンターでのセッション録音。レーベルは独ebs recording。
ホルン奏者のアイフォー・ジェームスははじめて聴く人ですが、調べたところ有名な人でした。1931年、イギリス中部のカーライル生まれで、父は有名なコルネット奏者、母はソプラノ歌手とのこと。早くも4歳にしてブラスバンドでコルネットを吹き、3年後には劇場で仕事としてトランペットを吹くまでになります。その後カールスルーエのカテドラルでアシスタントオルガニストを経験。1951年、ホルン奏者に戻り、ホルンを独学で勉強して王立音楽アカデミーに入り、デニス・ブレインの父、オウブレイ・ブレインにホルンを師事します。以後、ハレ管弦楽団、王立リバプールフィルなどでホルン奏者を務め、再びハレ管弦楽団で首席ホルン奏者となり、ソロや室内楽などもこなすようになりました。ロンドンに移ってからは多くのオケや室内楽団で首席ホルン奏者を務めました。イギリス室内管やあのフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルなどが有名なところ。また教育者としては、王立音楽アカデミー、マンチェスターの王立ノーザンカレッジ、フライブルク音楽院などでホルンを教え、多くの名演奏家を輩出したとのことです。2004年に亡くなっています。
南西ドイツ・プフォルツハイム室内管弦楽団は戦後間もなくの1950年にヒンデミットの生徒だったフリードリッヒ・ティレガントによって設立された室内管弦楽団で、1971年から81年まで、ポール・アンゲラー、1986年からこのアルバムの指揮を務めているヴラディスラフ・ツァルネッキ、2002年以後はセバスチャン・テヴィンケルが指揮をとっています。ちなみにセバスチャン・テヴィンケルの振るアルバムを以前に一度取りあげておりました。
2011/03/06 : ハイドン–交響曲 : セバスチャン・テヴィンケル/南西ドイツ室内管の悲しみ
さて、ちょっとマイナーなアルバムながら、曲は好きなホルン協奏曲。このアルバム、テヴィンケルの時とは異なり、実にゆったりとした癒される演奏でした。名盤の予感的中です!
Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
序奏の響きは小編成のオケとは思えないほどゆったりと響くもの。テンポもゆったり、指揮も実にリラックスして屈託のないもの。アイフォー・ジェームスは朗々とホルンを鳴らし、純粋に曲の演奏を楽しんでいるよう。かといって一本調子なところは微塵もなく、演奏技術はホルンもオケも確かなものがあります。良く聴くとゆったりと吹いているようで、リズムは非常に正確、細かいデュナーミクのコントロールも緻密で、技術に裏付けられたゆったり感であることがわかります。1楽章のカデンツァはホルンのまろやかな響きのいいところだけを取り出したような絶妙に磨かれた演奏。米を削り込んだ大吟醸のごときまろやかさ。
スタイルを変化させるという選択肢の存在すら感じさせず、くつろいだままアダージョに入ります。我を出した表現がはばかられるほどの自然な音楽の流れ。超自然体。ホルンはまるでアルプスの山頂で谷中に響きわたるように朗々と吹いているよう。ただただハイドンの書いた音符を自然に響かせることがこの曲の最も美しい演奏であることを知っているかのような確信犯的演奏。このアダージョはホルンの低音の魅力が炸裂する曲ですが、音程が徐々に下がって行く場面でもアイフォー・ジェームスの演奏は安定感抜群。脳内に癒しホルモンが広がります。シュワ~~ッ(笑) カデンツァは短いのですが、ホルンの存在感のある響きにグッと引き寄せられる妙技を披露します。
フィナーレに入ると軽やかなオケに乗ってホルンも実に軽やか。速いパッセージの音階が異常にスムーズな事で、アイフォー・ジェームスの超絶テクニックが垣間見えました。技術があってこその自然さですね。カデンツァも素晴しいキレ。技術を誇示しない真のテクニシャンということでしょう。
続いてッミヒャエル・ハイドン作とされるホルン協奏曲ですが、こちらも盤石の演奏。実に説得力のある自然な演奏です。ホルン協奏曲好きな方のツボを射止める演奏ですね。
このアルバム、例によってディスクユニオンの棚で発見したマイナー盤。出会ったときに、さりげないジャケットにピンと来ましたが、勘が冴えていました。ハイドンのホルン協奏曲の自然な演奏として実に味わい深いもの。ホルンの落ち着き払った自然な表情、ホルンの美しい音色、完璧すぎるくらいリラックスしたオケのサポートと言うことなし。火花散る緊張感もいいのですが、こうした音楽の楽しさに浸れる演奏は貴重です。まさに演奏者がよほど上手くないとこの癒しは得られませんね。部屋の中に美しいホルンの響きが満ちあふれる至福の演奏でひた。決して個性的な演奏ではありませんが、私はこう言うハイドンが好きなのです。やはりこれは[+++++]です。

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ジャケットからもマイナーな雰囲気が滲み出て、ワクワクします(笑)
アイフォー・ジェームス(Ifor James)のホルン、ヴラディスラフ・ツァルネッキ(Vladislav Czarnecki)指揮の/南西ドイツ・プフォルツハイム室内管弦楽団(Südwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim)の演奏で、ハイドンのホルン協奏曲(Hob.VIId:3)、伝ハイドンでミヒャエル・ハイドンの作と思われるホルン協奏曲(Hob.VIId:4)、ケルビーニのホルンと弦楽合奏のためのソナタNo.1、No.2、ネルーダのホルン協奏曲の全5曲を収めたアルバム。ハイドンの収録は1986年12月4日、ドイツ南部のシュツットガルトとカールスルーエの間にあるプフォルツハイムのコミュニティーセンターでのセッション録音。レーベルは独ebs recording。
ホルン奏者のアイフォー・ジェームスははじめて聴く人ですが、調べたところ有名な人でした。1931年、イギリス中部のカーライル生まれで、父は有名なコルネット奏者、母はソプラノ歌手とのこと。早くも4歳にしてブラスバンドでコルネットを吹き、3年後には劇場で仕事としてトランペットを吹くまでになります。その後カールスルーエのカテドラルでアシスタントオルガニストを経験。1951年、ホルン奏者に戻り、ホルンを独学で勉強して王立音楽アカデミーに入り、デニス・ブレインの父、オウブレイ・ブレインにホルンを師事します。以後、ハレ管弦楽団、王立リバプールフィルなどでホルン奏者を務め、再びハレ管弦楽団で首席ホルン奏者となり、ソロや室内楽などもこなすようになりました。ロンドンに移ってからは多くのオケや室内楽団で首席ホルン奏者を務めました。イギリス室内管やあのフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルなどが有名なところ。また教育者としては、王立音楽アカデミー、マンチェスターの王立ノーザンカレッジ、フライブルク音楽院などでホルンを教え、多くの名演奏家を輩出したとのことです。2004年に亡くなっています。
南西ドイツ・プフォルツハイム室内管弦楽団は戦後間もなくの1950年にヒンデミットの生徒だったフリードリッヒ・ティレガントによって設立された室内管弦楽団で、1971年から81年まで、ポール・アンゲラー、1986年からこのアルバムの指揮を務めているヴラディスラフ・ツァルネッキ、2002年以後はセバスチャン・テヴィンケルが指揮をとっています。ちなみにセバスチャン・テヴィンケルの振るアルバムを以前に一度取りあげておりました。
2011/03/06 : ハイドン–交響曲 : セバスチャン・テヴィンケル/南西ドイツ室内管の悲しみ
さて、ちょっとマイナーなアルバムながら、曲は好きなホルン協奏曲。このアルバム、テヴィンケルの時とは異なり、実にゆったりとした癒される演奏でした。名盤の予感的中です!
Hob.VIId:3 / Concerto per il corno [D] (1762)
序奏の響きは小編成のオケとは思えないほどゆったりと響くもの。テンポもゆったり、指揮も実にリラックスして屈託のないもの。アイフォー・ジェームスは朗々とホルンを鳴らし、純粋に曲の演奏を楽しんでいるよう。かといって一本調子なところは微塵もなく、演奏技術はホルンもオケも確かなものがあります。良く聴くとゆったりと吹いているようで、リズムは非常に正確、細かいデュナーミクのコントロールも緻密で、技術に裏付けられたゆったり感であることがわかります。1楽章のカデンツァはホルンのまろやかな響きのいいところだけを取り出したような絶妙に磨かれた演奏。米を削り込んだ大吟醸のごときまろやかさ。
スタイルを変化させるという選択肢の存在すら感じさせず、くつろいだままアダージョに入ります。我を出した表現がはばかられるほどの自然な音楽の流れ。超自然体。ホルンはまるでアルプスの山頂で谷中に響きわたるように朗々と吹いているよう。ただただハイドンの書いた音符を自然に響かせることがこの曲の最も美しい演奏であることを知っているかのような確信犯的演奏。このアダージョはホルンの低音の魅力が炸裂する曲ですが、音程が徐々に下がって行く場面でもアイフォー・ジェームスの演奏は安定感抜群。脳内に癒しホルモンが広がります。シュワ~~ッ(笑) カデンツァは短いのですが、ホルンの存在感のある響きにグッと引き寄せられる妙技を披露します。
フィナーレに入ると軽やかなオケに乗ってホルンも実に軽やか。速いパッセージの音階が異常にスムーズな事で、アイフォー・ジェームスの超絶テクニックが垣間見えました。技術があってこその自然さですね。カデンツァも素晴しいキレ。技術を誇示しない真のテクニシャンということでしょう。
続いてッミヒャエル・ハイドン作とされるホルン協奏曲ですが、こちらも盤石の演奏。実に説得力のある自然な演奏です。ホルン協奏曲好きな方のツボを射止める演奏ですね。
このアルバム、例によってディスクユニオンの棚で発見したマイナー盤。出会ったときに、さりげないジャケットにピンと来ましたが、勘が冴えていました。ハイドンのホルン協奏曲の自然な演奏として実に味わい深いもの。ホルンの落ち着き払った自然な表情、ホルンの美しい音色、完璧すぎるくらいリラックスしたオケのサポートと言うことなし。火花散る緊張感もいいのですが、こうした音楽の楽しさに浸れる演奏は貴重です。まさに演奏者がよほど上手くないとこの癒しは得られませんね。部屋の中に美しいホルンの響きが満ちあふれる至福の演奏でひた。決して個性的な演奏ではありませんが、私はこう言うハイドンが好きなのです。やはりこれは[+++++]です。
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