作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

オーストラリア・ソロイスツのヴァイオリン協奏曲(ハイドン)

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前記事でふれたとおり、臨時システムでのレビューです。今日はレア盤。

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オーストラリア・ソロイスツ(The Soloists of Australia)の演奏で、ヴィヴァルディの「調和の霊感」からNo.10、ハイドンのヴァイオリン協奏曲(Hob.VIIa:1)、メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲(Op.20)の3曲を収めたアルバム。指揮とハイドンのヴァイオリンソロはロナルド・トーマス(Ronald Thomas)。収録は1986年2月26日、27日にかけて、オーストラリア西部の街、パースのコンサートホールでのセッション録音。レーベルは英Chandos。

このアルバム、先週末、ディスクユニオン神保町店に立ち寄り発掘したもの。オーストラリアものというだけで珍しいのですが、オーストラリアでもパースということで、オーストラリア大陸のシドニーの反対側。オーストラリア西端の最果ての地であります。実はこうゆうアルバムに名演奏が多いという傾向があり、しかもレーベルが何気にいい演奏のツボを押さえたChandosということで、微塵の迷いもなくゲットです。

ジャケットには屋外で和やかに微笑むオケの面々の写真。メンバーは皆さん壮年の脂の乗りきった世代の方々。ジャケットの左下には太陽を背にした渡り鳥のイラストをあしらったパース音楽祭 "FESTIVAL OF PERTH" のロゴが記され、これも最果て感抜群。何枚か仕入れたアルバムの中でもこのアルバムが一番気になるものでした。

早速CDプレイヤーにかけたところ、予想的中。これがなかなか素晴しい演奏でした。

ライナーノーツによると、このオーストラリア・ソロイスツは常設オケではなく臨時編成のオケということです。メンバーはオーストラリア内外からこのパース音楽祭のために集まった人。ハイドンでのヴァイオリン独奏と指揮を担当するロナルド・トーマスはパースのある西オーストラリアの生まれ。17歳でオーストラリアを離れ、ロンドンとスイスで音楽を学び21歳でカール・フレッシュ国際コンクールで優勝して以降は、在英のイギリス室内管、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズなどのリーダー、指揮者を歴任した人とのこと。1958年にオーストラリアを離れて以降、オーストラリアにはコンサートやレコーディングのために頻繁に訪れているそう。1986年にはこのパース音楽祭のため、オーストラリア・ソロイスツを組織して音楽監督となっているとのことです。

Hob.VIIa:1 / Violin Concerto [C] (c.1765)
冒頭から小編成の弦楽オケのタイトな響きが魅力的。ほんのすこし速めに感じるテンポでオケは鮮明にリズムを刻んでいきます。ロナルド・トーマスのヴァイオリンは先日聴いたマルク・デストリュベの弓さばきに近い、楽器をふくよかにならしきる素晴しい美音。私の好きな淡々と美音を重ねていく演奏です。ソロもオケも腕前は確か。立地から考えると日本では那覇交響楽団のような存在ですが、これはヨーロッパの一流どころといっても通用する腕前でしょう。特にロナルド・トーマスの高音の抜群の伸びはCDプレイヤーの音色の変化のせいばかりではないでしょう。見事なのがカデンツァ。まさに美音の響宴。
つづく2楽章のアダージョは、まさにロナルド・トーマスのヴァイオリンが、ゆったりと響くピチカートにのって、天上にも昇るような心地の美音を聴かせます。奏者の力が抜けて至福の癒しの音楽。
フィナーレはテンポはほどほどゆっくり、リズムをきちんと刻んで、じっくり音楽を描いていくタイプの演奏。最後まで慌てた感じはなく、実にしっくりとしたテンポを刻んでいきます。ヴァイオリンはここに来てリズムをカッチリと描く事で前2楽章としっかりと対比をつけています。この変化のセンスが抜群。オケも少しエッジを効かせてヴァイオリンに呼応。最後はぐっと溜め込んで終了。

いやいや、オーストラリアの最果ての地での演奏という興味で手に入れたのが正直なところでしたが、このハイドンは素晴しい! 日本では今一メジャーになりませんが、ハイドンのヴァイオリン協奏曲の素晴しさを堪能できる素晴しい演奏です。この地までくると、人は心が穏やかになるのでしょうか。デストリュベ盤もそうですし、グラン・カナリア・フィルもそうでしたが、西欧、アメリカの中心ばかりが一流の演奏をするわけではありませんね。なにか伝統からはなれたところにこそ、自由な気質と、真のリラックスがあるような気がします。この演奏もじつに穏やかな心境での演奏だからこそ心に響くのでしょう。やはり[+++++]を進呈します。

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