作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

アレクサンダー・ガヴリリュクのピアノソナタXVI:32(ハイドン)

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世の中ソチオリンピックに沸いておりますが、こちらは地道にハイドンの名盤探求の旅を続けております。ということで、久々にこれぞというピアノの名演盤みつけました!

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

アレクサンダー・ガヴリリュク(Alexander Gavrylyuk)のピアノで、ハイドンのピアノソナタ(Hob.XVI:32)、ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」、ブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」、ラフマニノフのピアノソナタ2番の4曲を収めたアルバム。収録は2001年4月18日から20日にかけて、埼玉県秩父にある総合文化施設秩父ミューズパークの音楽堂でのセッション録音。レーベルはオクタヴィアレコードのSACRAMBOWというレーベル。

私にとっては未知の奏者でしたが、もちろんハイドンが1曲含まれることから入手したものです。CDプレイヤーにかけると、ほれぼれするようないい録音。アンテナが冴えていました。

アレクサンダー・ガヴリリュクは1984年、キエフに次ぐウクライナ第2の都市、ハルキウ(ハリコフ)生まれのピアニスト。父はバヤン(ロシアのアコーディオン)奏者、母は民族音楽の指揮者という音楽一家の生まれで、7歳からピアノを習い始め、12歳でイタリアで開催されたセニガッリア市国際ピアノ・コンクールで優勝、15歳でキエフで開催されたホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール、オーストラリア・ピアノコンクールでも第1位となりました。さらに、2000年11月には、第4回浜松国際ピアノコンクールでも第1位に輝きました。その後日本には毎年のように来ていると言う事で、ご存知の方も多いかもしれませんね。演奏からもつたわりますが、生粋のロシアピアニズムの継承者で、リヒテル、ギレリス、ホロヴィッツを尊敬し、リヒテルの師でもあるネイガウスの著書を愛読しているそう。この録音は2001年と言う事で、ガヴリリュクが浜松のコンクールで勝った翌年、17歳での録音。どうりでジャケットの写真が若々しいわけです。この若者の弾く音楽、とても17歳のものとは思えません。

Hob.XVI:32 / Piano Sonata No.47 [b] (1776 or before)
冒頭に触れたように素晴しい録音。残響は多いのですが、ホール中程の席で実際に演奏を聴いているようなリアリティ。ピアノの響きの磨き抜かれた艶やかさと分厚い低音のリアルな響きに圧倒されます。まさに尊敬するリヒテルの演奏のような堅固な骨格とクッキリとしたフレーズの描写。ハイドンのフレーズに潜む陰りのようなものと力感が交錯しながら進む、この素晴しい名曲の調べを完璧に描いていきます。高音のタッチの力を抜いた軽やかさと、ぐさりと刻んでいくリスムの対比が見事。非の打ち所なし。美しすぎる1楽章。
つづくメヌエットは、リヒテルの平均律の演奏のような図太いのにしなやかな音楽が流れ出します。ゆったりと刻まれるリズムに身を任せて、音楽の波に浮かぶよう。これが17歳の奏でる音楽でしょうか。なにか大きなゆりかごにゆられているような安心感と癒しに包まれます。
フィナーレは最新の録音でリヒテルの演奏を聴くよう。素晴しい立体感、そして磨き抜かれたピアノの美音。速いパッセージはそよ風のように軽やかに吹き抜け、リズムのアクセントは時に鋼のような力強さ。全曲で10分ほどの演奏ですが、完全にガヴリリュクの術中にはまりました。

このあとのベートーヴェンの月光も素晴しい! 幽玄な導入から、ピアノが鳴り響く最後まで圧倒的な迫力で押し通します。リヒテルもびっくりでしょう。

このガヴリリュクのたった1曲のハイドンのソナタの演奏からは、リヒテルやエマニュエル・アックス、ブレンデルなど現代ピアノによるハイドンの名盤の数々に勝るとも劣らない素晴しい音楽が聴かれました。本人の志し通り、まさにロシアピアニズムの正統な継承者に相応しい演奏と言っていいでしょう。評価はもちろん[+++++]を進呈です。

ちょっと調べた限りではハイドンの録音はこれのみだと思いますが、今後の録音が楽しみな人です。是非ハイドンの名曲を録音して欲しいものですね。最近取りあげたグロウホヴァもそうですが、やはりロシアと言う国は素晴しい才能を生む国なのですね。

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4 Comments

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yoshimi

ガヴリリュクのハイドン録音

こんにちは。
ガヴリリュクのハイドン録音は、スタジオ録音はこのCDだけですが、同曲のライブ録音(マイアミ国際ピアノフェスティバル/2005年)がDVDとCD(「Live in Recital」)で出ています。
マイアミ録音のカップリング曲に好きな曲が多く、CD2枚組なのに安かったので、こちらのCDを持ってます。
彼は技巧抜群の人ですが、派手なパフォーマンスをすることはなく、端正で品の良い叙情感がありますね。
若手ピアニストのなかでは大変期待されている人です。

2005年のルービンシュタイン・コンクールでもこの曲を弾いていて、ライブ映像がYoutubeにあります
17歳のときの演奏とは、少し変わっているのかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=KwspBu5rbZc

Daisy

Re: ガヴリリュクのハイドン録音

yoshimiさん、こんにちは。東京は大雪で、先程まで雪かき。腰痛です(笑)

情報ありがとうございます。確かに2005年のマイアミ国際ピアノフェスティバルでハイドンのソナタを演奏していますね。2001年からどう変わったのか興味もあり、とりあえずCDを注文してみました。HMVの記述によれば2002年に交通事故にあったそうで、こういった経験を経る事で演奏にも影響があるかもしれませんね。yoshimiさんのお眼鏡にもかなう期待の若手と聞き、我が耳も安堵しております。

  • 2014/02/15 (Sat) 14:25
  • REPLY

だまてら

No title

ハイドンからラフマニノフまで盛りの良い音盤ですねー!
このピアニストは、エクストンからプロコフィエフの協奏曲全集を出しています。
愛聴盤!と太鼓判を押せないのはピアニストに起因するものではなく、
アシュケナージ/シドニー響のサポートがいま一歩だから・・・という事にして
おきましょう。

  • 2014/02/15 (Sat) 23:03
  • REPLY

Daisy

Re: No title

だまてらさん、おはようございます。
私はまったく知らない人でしたが、皆さんいろいろ聴いているのですね。ハイドンの覇気漲る演奏はすばらしいものがありますが、おそらくプロコフィエフも良かろうと想像がつきますね。

  • 2014/02/16 (Sun) 08:50
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