作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ノリントンの天地創造

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予告通りというか、半分記事を書きかけて昨夜は寝てしまったので書き上げてアップです。

ノリントンは最近、ハイドンのザロモンセットをセットで出したりして、ハイドンの演奏においても目立つ存在なんですが、肝心なザロモンセットが今ひとつピンとこなかったこともあり、ちょっと微妙な存在。
おそらく、こちらの想像するノリントン像と最近の演奏のギャップみたいなものがあるんじゃないかと思います。
個人的には最近のものより古いものの方がノリントンの良さがあるように感じます。

NorringtonCreation.jpg
HMV ONLINEicon

ジャケットは私の好きなB級デザイン。渋めの写りのノリントンの写真となぜか蓮の花を配した、なんともヘンテコリンなデザイン。B級デザイン好みを狙ってたとしたら、相当なデザイナーの腕力でしょう(笑)

録音は1990年3月のライヴですが、発売は2008年と最近。2009年のハイドンイヤーに当てたものでしょう。
オケはなんとヨーロッパ室内管弦楽団。ヨーロッパ室内管といえばアバドとの交響曲録音で、火を噴くような俊敏さを見せた超絶テクニカル集団。

当ブログ:アバドの「奇跡」

そしてコンサートはベルリンフィルハーモニーの室内楽ホールで行われました。ドイツ表現主義の奇才、ハンス・シャロウンの最高傑作。カラヤンとシャロウンが生んだ現代最高のコンサートホール建築だと思います。
大ホールの方はカラヤン、ベルリンフィルとのジャケットや映像、アバドやラトルとの映像などでもなじみだと思いますが室内楽ホールの方はあまりなじみがないかと思いますので、サイトを紹介しておきましょう。

ベルリンフィルハーモニー:ヴァーチャルツアー

ジャバアプレットなんでしょうか、ローディングに時間がかかりますが、待つ甲斐は十分あります。
左側にプラン(平面図)があり、その下の大ホールと室内楽ホールそれぞれにフロア(階)外観を選択するリンクがあり、クリックするそのプランが表示され、そこからアイポイント(視点)を選べるようになります。
秀逸なのが、そのアイポイントでみたインテリアの空間が右側で映像で表示されると同時に、表示される映像の視野方向が左側のプラン上にも同時に表示され、自身の視野が確認できるところ。基本的に動線をたどりながら視点をクリックしてまわるのが楽しいです。

この仕組みで、まさに自分がフィルハーモニーのなかを歩きまわって見ているのと同様の体験ができます。
すばらしいのは、シャロウンのこの名建築が単なる写真や図面のみでその複雑な空間構成を理解できないことを理解して、このようなインタフェースをウェブサイトに公開していること。
建築を学ぶもの、ベルリンフィリハーモニーに憧れるものに対して、このウェブサイトはすばらしい手段を提供しています。
室内楽ホールも大ホールと同様、舞台を客席が取り巻く形。ここで天地創造をヨーロッパ室内管とやるということは小規模なオケとコーラスによるものでしょう。

さて、肝心の演奏ですが、、、 これは名演ですね。
いい意味で期待を大きく裏切られました。私が期待するノリントンの理想的な演奏がここにありました!

導入からビックリさせられるのが速めのテンポ。多くの演奏が導入の部分をことさらじっくり演出していくのに対して、何のこだわりもなくさくさくすすめて冒頭から他の演奏と差別化するような入り。ただしテンポに違和感があるのは冒頭のみで、その後はテンポに違和感があるところはありません。基本的には少し速めの部分が多いです。

まずはオーケストラは、期待どおり、俊敏かつ緻密なフレージングで、この盤の大きな魅力のひとつとなっています。ノリントンと言えばノンヴィブラートですが、フレージングは十分綿密で、弦の響きの透明感が高まったという印象程度。
ノリントンのコントロールは、彼らしい楽天的なノリのいいもので、歌の伴奏にまわるところは意外とおとなしく伴奏をつとめたり、メリハリが利いていて面白いです。
総じてノリントンの個性がいい意味で発揮され、オケの俊敏さ、コーラスの緻密な響きがうまく引き出されています。

そして、意外と言っては失礼ですが、この盤の聴き所は歌です。
歌手は3人でこなすタイプ。ソプラノはクリスティアーネ・エルツェ。コレクションにはエルツェの歌ったものはありません。調べたところウェブサイトがありました。

クリスティアーネ・エルツェのサイト

このソプラノが非常に美しい。わたしが好きなヤノヴィッツに声がにていて、くらくらします。いつもの8曲目のガブリエルのアリア、すばらしい出来です。今でも若く見えるエルツェ、今から20年前の90年のライヴ当時はデビューしたてでしょう、初々しさがあっていいですね。
このサイトのディスコグラフィには同じノリントンの四季や、アーノンクールの天地創造ミサのアルバムに参加していることがわかりました。

ウリエルのテノールはスコット・ウィアー。この人も良く通る美声の持ち主。ハイドンの所有盤だとアーノンクールのアルミーダに出てます。いつものバッハカンターサイトの英文略歴を張っておきましょう。1956年生まれのアメリカ人。

スコット・ウィアー略歴(英文)

そしてバスはペーター・リカ。堂々とした歌唱ですが、ちょっぴり癖があります。

ペーター・リカ略歴(英文)

3人の歌手の歌は十二分に魅力的。この盤の魅力の大きな一角を占めています。

ということで、評価ですが、[+++++]つけちゃいました。
90年の録音をわざわざハイドンイヤーにぶつけてきた甲斐のあるものですね。
こうなると、俄然未入手の同じ組み合わせによる四季の方も聴いてみたくなりましたね。
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