作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヘルマン・バウマンのホルン三重奏曲(ハイドン)

2
0
今日はこのアルバム。懐かしいPHILIPSのアルバムです。

BaumannGQ.jpg
amazon

ヘルマン・バウマン(Hermann Baumann)のホルン、ゲヴァントハウス四重奏団(Gewandhaus-Quartett)の演奏で、モーツァルトのピアノ四重奏曲KV.407、ハイドンのホルン、ヴァイオリン、チェロのためのディヴェルティメントIV:5、ミヒャエル・ハイドンがモーツァルトのホルン協奏曲3番の2楽章を編曲したロマンス、ベートーヴェンの六重奏曲Op.81b、アントン・ライヒャのホルンと弦楽四重奏のための五重奏曲Op.106の5曲を収めたアルバム。収録は1992年1月、ライプツィヒのポール・ゲルハルト教会でのセッション録音。レーベルは今は亡きPHILIPSレーベル。

このアルバムは例によって、こちらの所有盤リストにないアルバムのうち、これぞという名演盤を貸していただく湖国JHさんから送り込まれた刺客(笑) 名手へルマン・バウマンによる難曲IV:5ということで、興味津々です。ヘルマン・バウマンの演奏は以前にホルン協奏曲を集めたアルバムを取りあげています。

2010/10/16 : ハイドン–協奏曲 : ヘルマン・バウマンのホルン協奏曲集

バウマンについては一度も略歴などを紹介していませんので、簡単に触れておきましょう。

ヘルマン・バウマンは1934年、ドイツのハンブルクに生まれたホルン奏者。なんと17歳まではジャズドラムと歌手の勉強をしていたそう。17歳でヴュルツブルク音楽学校に入り、以来12年に渡ってドルトムンドフィル、シュツットガルト放送響などで首席ホルン奏者を務めました。1964年にミュンヘンで開催されたARD国際コンクールで優勝し、その後はソロ活動などに転向。多くのレコーディング、コンサート等で活躍しています。教育者としてはエッセンのフォークワン音楽学校で30年に渡ってホルンを教えています。

バウマンのホルンは難しいホルンを軽々と安定感抜群に吹き抜いていく素晴しいテクニックが特徴。あまりに軽々と正確に吹くので、ホルンが簡単な楽器に思えてくるほど。

曲のIV:5にはそれほど多くの録音がある訳ではないんですが、これまでに2枚のアルバムを取りあげています。

2013/03/23 : ハイドン–室内楽曲 : アベッグ・トリオ20年ぶりのピアノ三重奏曲集
2012/07/15 : ハイドン–室内楽曲 : ライプツィヒ放送響ホルン四重奏団によるホルン三重奏曲など

難曲だけにテクニックの見せ所ということでしょう。えも言われぬ楽興にすいこまれそうな曲です。

Hob.IV:5 Divertimento à tre [flat] (1767)
ヴァイオリンはカール・スズケ(Karl Suske)、チェロはイェルンヤコブ・ティム(Jürnjakob Timm)。今回、これまでレビューで取りあげた2枚のアルバムをあらためて聴き直してみましたが、ホルンの安定度はバウマンの方が俄然上ですね。PHILIPS全盛期の空気感を感じる素晴しい録音。教会の空間の中に、ホルンと2本の弦楽器が鮮明に定位します。まったく溜めのない見事なリズムで吹いていくバウマン。そしてスズケのヴァイオリンと、ティムのチェロもしっかりとした存在感で、こちらも安定度抜群。リズムのキレも素晴しいものです。スズケのヴァイオリンは落ち着き払って、冷静沈着。なによりバウマンのホルンのあっけらかんと感じるほどのびのびとした旋律が圧倒的。この演奏だけ聴いている方は単純な曲だと思うでしょうが、他のアルバムを聴くと、この曲の難しさに気づくでしょう。テクニックはそれほど素晴しいものがあります。7分少々の短い曲ですが、ホルンのテクニックと室内楽の喜びに溢れた名曲でしょう。聴いているうちに圧倒的なバウマンのホルンに打ちのめされるよう。まるで簡単な練習曲でも弾くような軽さ。何気にスズケのヴァイオリンの音色の美しさにもうっとり。最後までホルンの超絶テクニックに圧倒される演奏。本当に凄いテクニックはテクニックを感じさせない自然さにあるのだと教えられるような演奏。これぞ神業と言うべきでしょう。

他の曲も同様、バウマンが軽々と吹くホルンの絶妙な音色に酔いしれる曲。やはり他の奏者とはレベルが違うと再認識した次第。素晴しい録音、素晴しい演奏、そして素晴しいアルバム企画と三拍子そろったPHILPS全盛期の名盤ということでしょう。PHILIPSにはこうした何気ないアルバムも宝石のような仕上がりのものが多く、全盛期はモーツァルトのアルバムを中心にずいぶん集めたものです。このアルバム、ハイドンの名曲IV:5のベスト盤です。評価は[+++++]に間違いなしです。

にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
関連記事

2 Comments

There are no comments yet.

戎棋夷説

中古を注文しました。

カール・ズスケが加わってる、と言われたら、これは欲しいですね。他の曲も興味が湧きます。良いですね、こういうアルバム。

  • 2014/02/05 (Wed) 01:25
  • REPLY

Daisy

Re: 中古を注文しました。

戎棋夷説さん、コメントありがとうございます。
昔のPHILIPSには、こうゆう何気ない曲を集めて名手が録音する余裕がありましたね。えんじ色の横のラインが誇らしげです。録音も良く楽しめると思います。

  • 2014/02/05 (Wed) 07:43
  • REPLY