ドミトリー・バシキーロフのピアノソナタXVI:49(ハイドン)
4日にディスクユニオンで見つけたアルバム。

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ドミトリー・バシキーロフ(Dmitry Bashkirov)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタXVI:49、ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」、ショパンのマズルカなど8曲、合わせて10曲を収めたアルバム。収録は2006年6月、モスクワのグネーシン音楽大学のコンサートホールでのセッション録音。レーベルはチェコのEUROPE RCDというところ。
ドミトリー・バシキーロフははじめて聴く人。調べてみると1931年、黒海とカスピ海の間にあるグルジアの首都トビリシ生まれのピアニスト。1968年にはソ連の功労芸術家(ソ連の芸術家の栄誉称号)となり、1990年にはより上位の人民芸術家となりました。教育者としてモスクワ音楽院とマドリードのソフィア音楽大学で教え、多くの後進をを育てたとの事です。娘のエレーナ・バシュキロワもピアニストで、あのギドン・クレーメルと結婚後離婚、その後ダニエル・バレンボイムと再婚し、2人の子供がいるそうです。バレンボイムといえば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの映像でお目にかかったばかりですね。
ということで、ロシア圏では有名なピアニストだと思われますが、ネットでアルバムを探してみると、それほど多くのアルバムがリリースされている訳ではなく、ハイドンもおそらくこの1枚に1曲収められているだけのようです。
ロシア系といえば先日グロウホヴァのなかなかいいハイドンを聴いたばかりですが、バシキーロフはどう弾いてくるでしょうか。
Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
予想したよりも灰汁が強くなく、音質はブレンデルのハイドンに似た、磨かれたピアノの美音が広い空間に漂うような録音。ピアノがスピーカーの少し奥に定位し、残響はコンサートホールとしては多めでしょう。ブレンデルの演奏に似てはいますが、音階、フレージングが少し固い印象があり、アクセントもほんの少し強め。アクセントに少し溜めがあるのがロシア流でしょうか。それでも年配のロシアのピアニストの演奏とは思えない垢抜けた感じがあります。十分美しく磨かれたハイドンがそそり立ちます。
詩的なアダージョ・カンタービレは非常にデリケートなタッチで一音一音を空間に置いていき、意外と濃密な音楽が流れます。ブレンデルが音楽に興じながら音色を微妙に変化させてながら弾いていたの対し、バシキーロフは一貫してキラ星のごとき美音を奏でていきます。中間で大きく盛り上げるところ、テンポを落としてぐっと沈むところのコントロールは流石。この2楽章の可憐さをのこした構築感は悪くありません。演奏当時75歳にしてはタッチが鮮明で、若い人の演奏といっても通用するほど。
フィナーレはクッキリと弾むタッチの魅力に溢れた演奏。ピアノが良く鳴って余韻がホールに響く様が手に取るようにわかります。メロディーラインがクッキリと浮かび上がり、しっかりと主導権をとっていきます。曲を締めるのに相応しいダイナミックさ。やはり力みはなく、落ち着き払ってダイナミックに終わります。
このあとのベートーヴェンは幽玄、雄大な演奏。ハイドンはもう少しロシアっぽい力感を予想したのですが、さにあらず。非常に洗練された響きを重ねた、垢抜けた名演奏でした。こうなると、この人のハイドンの他の曲の演奏も聴いてみたくなると言うものです。リリースされているアルバムを見るとレパートリーは特にロシア系を狙っている訳ではなく、むしろ独墺系のものが多いことを考えると、むしろロシアのピアニストとしての先入観を持たずに聴いたほうが良かったのかもしれません。このハイドン、良く磨かれた名演でしょう。おすすめです。評価は[+++++]とします。

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ドミトリー・バシキーロフ(Dmitry Bashkirov)のピアノによる、ハイドンのピアノソナタXVI:49、ベートーヴェンのピアノソナタ14番「月光」、ショパンのマズルカなど8曲、合わせて10曲を収めたアルバム。収録は2006年6月、モスクワのグネーシン音楽大学のコンサートホールでのセッション録音。レーベルはチェコのEUROPE RCDというところ。
ドミトリー・バシキーロフははじめて聴く人。調べてみると1931年、黒海とカスピ海の間にあるグルジアの首都トビリシ生まれのピアニスト。1968年にはソ連の功労芸術家(ソ連の芸術家の栄誉称号)となり、1990年にはより上位の人民芸術家となりました。教育者としてモスクワ音楽院とマドリードのソフィア音楽大学で教え、多くの後進をを育てたとの事です。娘のエレーナ・バシュキロワもピアニストで、あのギドン・クレーメルと結婚後離婚、その後ダニエル・バレンボイムと再婚し、2人の子供がいるそうです。バレンボイムといえば、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの映像でお目にかかったばかりですね。
ということで、ロシア圏では有名なピアニストだと思われますが、ネットでアルバムを探してみると、それほど多くのアルバムがリリースされている訳ではなく、ハイドンもおそらくこの1枚に1曲収められているだけのようです。
ロシア系といえば先日グロウホヴァのなかなかいいハイドンを聴いたばかりですが、バシキーロフはどう弾いてくるでしょうか。
Hob.XVI:49 / Piano Sonata No.59 [E flat] (1789/90)
予想したよりも灰汁が強くなく、音質はブレンデルのハイドンに似た、磨かれたピアノの美音が広い空間に漂うような録音。ピアノがスピーカーの少し奥に定位し、残響はコンサートホールとしては多めでしょう。ブレンデルの演奏に似てはいますが、音階、フレージングが少し固い印象があり、アクセントもほんの少し強め。アクセントに少し溜めがあるのがロシア流でしょうか。それでも年配のロシアのピアニストの演奏とは思えない垢抜けた感じがあります。十分美しく磨かれたハイドンがそそり立ちます。
詩的なアダージョ・カンタービレは非常にデリケートなタッチで一音一音を空間に置いていき、意外と濃密な音楽が流れます。ブレンデルが音楽に興じながら音色を微妙に変化させてながら弾いていたの対し、バシキーロフは一貫してキラ星のごとき美音を奏でていきます。中間で大きく盛り上げるところ、テンポを落としてぐっと沈むところのコントロールは流石。この2楽章の可憐さをのこした構築感は悪くありません。演奏当時75歳にしてはタッチが鮮明で、若い人の演奏といっても通用するほど。
フィナーレはクッキリと弾むタッチの魅力に溢れた演奏。ピアノが良く鳴って余韻がホールに響く様が手に取るようにわかります。メロディーラインがクッキリと浮かび上がり、しっかりと主導権をとっていきます。曲を締めるのに相応しいダイナミックさ。やはり力みはなく、落ち着き払ってダイナミックに終わります。
このあとのベートーヴェンは幽玄、雄大な演奏。ハイドンはもう少しロシアっぽい力感を予想したのですが、さにあらず。非常に洗練された響きを重ねた、垢抜けた名演奏でした。こうなると、この人のハイドンの他の曲の演奏も聴いてみたくなると言うものです。リリースされているアルバムを見るとレパートリーは特にロシア系を狙っている訳ではなく、むしろ独墺系のものが多いことを考えると、むしろロシアのピアニストとしての先入観を持たずに聴いたほうが良かったのかもしれません。このハイドン、良く磨かれた名演でしょう。おすすめです。評価は[+++++]とします。
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