作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

ヴァン・スヴィーテン三重奏団のピアノ三重奏曲集(ハイドン)

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ピアノトリオがつづきます。実は訳あって(笑)ピアノトリオのアルバムをいろいろとっかえひっかえ聴き比べて整理しなおしています。

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ヴァン・スヴィーテン三重奏団(Van Swieten Trio)の演奏による、ハイドンのピアノ三重奏曲全集。10枚のCDに41曲が収められています。今日取り上げる曲の収録は2004年12月7日、8日、オランダ、ロッテルダム近郊のスキーダム(Schiedam)のウエストフェスト教会(Westvest Church)でのセッション録音。レーベルはなぜかハイドンのマイナー曲の録音に執念を燃やす、廉価盤の雄、蘭BRILLIANT CLASSICS。

実はこのアルバム、かなり前から手元にあってたまに聴いていたのですが、所有盤リストへ登録するのを失念しておりました。最近グリフォン三重奏団のピアノトリオを聴いてから、手元のアルバムなどいろいろ聴き直していて、ようやくこのアルバムが未登録だと気づいた次第。

演奏者はヴァン・スヴィーテン三重奏団という古楽器のトリオですが、この全集だけでもフォルテピアノ以外の奏者は何人か変わっています。今回この全集もいろいろ聴き直してみましたが、今日取り上げるCD3がとりわけ出来がいいですね。ということでCD3をピックアップした次第。CD3(CD9も)の演奏者は以下のとおり。

フォルテピアノ:バート・ファン・オールト(Bart van Oort)
ヴァイオリン:フランク・ポルマン(Franc Polman)
チェロ:ヨブ・テル・ハール(Job ter Haar)

バート・ファン・オールトは1959年オランダ、ユトレヒト生まれのフォルテピアノ奏者。王立ハーグ音楽院で最初はピアノ、スタンリー・ホグランドにフォルテピアノを学びました。1986年、ベルギーのブリュージュで開催されたモーツアルトフォルテピアノコンクールで観客特別賞を受賞。その後渡米し、コーネル大学でマルコム・ビルソンに師事し、93年、古楽器演奏の音楽芸術博士号を取得したとのこと。その後、国際的に活躍するようになり、最近ではハーグ音楽院、アムステルダム音楽院で古楽器演奏などを教えています。

ヴァイオリンのフランク・ポルマンはアムステルダムのスェーリンク音楽院で学び、ヨーロッパの古楽器オケのコンサートマスターなどで活躍している人。かつてコンバッティメント・コンソート・アムステルダムなどを率いていたそう。

チェロのヨブ・テル・ハールも王立ハーグ音楽院でアンナー・ビルスマらに学び古楽器オケで活躍している人。

この全集の演奏はどれもそこそこ良いのですが、CD3は冒頭から素晴しいキレ。メンバー的には他の巻の方が格上なんでしょうが、っこのメンバーによる演奏が一際光っています。

Hob.XV:12 / Piano Trio (Nr.25/op.57-2) [e] (1788)
えぐるように斬り込んでくるヴァイオリン。冒頭から3人ともハイテンション。古楽器それぞれから迸る生気。リズムが弾み火を噴くような掛け合いと静寂が交互にやってきます。ヴァイオリンのフランク・ポルマンの鋭い切れ込みに、オールトが応じています。録音は教会の残響を活かしながらも鮮明さは十分。
アンダンテに入ると、古楽器特有の繊細な音色を活かしたゆったりと雅な展開。いい具合に力が抜けて、音楽が色濃く浮かび上がってきます。特にオールトのフォルテピアノの抑えた表情が曲の美しさを際立たせています。
フィナーレはタッチの軽さを存分に活かした入りから、徐々に力が満ちて、素晴しい迫力。フォルテピアノがびりつく寸前まで鳴らしきり、アンサンブルは再び火を吹きます。終盤印象的なデフォルメが決まって素晴しい盛り上がり。

Hob.XV:36 / Piano Trio (Nr.12) [E flat] (before 1760)
初期の典雅なトリオ。あっさりとした構成の曲をさっぱりと仕上げていきます。小刻みなメロディーがこだまするような不思議な曲想の曲。ここでもヴァイオリンの存在感ある小気味好い演奏が光ります。
2楽章はめずらしくポロネーズ。メロディー構成はシンプルながら、メロディーラインの面白さは流石ハイドン。そしてフィナーレも後年の精緻を極めた曲とは異なり、かなりシンプルな構成。中間部でチェロが印象的なメロディーを奏で、それにヴァイオリンとフォルテピアノが伴奏するような部分がありますが、非常にセンスの良い演奏。このシンプルな曲を古楽器の美しい音色と、さらっとしたスタイルでまとめ上げる手腕はなかなか。

Hob.XV:38 / Piano Trio (Nr.13) [B flat] (before 1760)
もう一曲初期の曲。前曲同様、このシンプルな曲のシィンプルさを際立たせるような軽いタッチの演奏。ヴァイオリンの美音、チェロの刻む正確なリズム、そしてフォルテピアノの羽毛のような軽さのタッチが醸し出す絶妙の雰囲気が聴き所でしょう。

Hob.XV:11 / Piano Trio (Nr.24/op.57-1) [E flat] (1788)
再び円熟した筆致の曲に。1788年とハイドンがロンドンに旅立つ2年前の頃の作曲。初期の曲と比べると曲は比較にならないくらい豊穣になり、各楽器が自在にメロディーを奏でながら複雑に絡み合い素晴しい構成感を感じさせるもの。この曲は2楽章構成。普段あまり聴かない曲ですが、聴き進むうちに美しいメロディの連続に引き込まれていきます。ヴァン・スヴィーテン三重奏団の演奏は優雅にして繊細。この曲では弾むような推進力が素晴しい。2楽章もに入ってもフォルテピアノのキレと、絶妙なタッチは健在。この余裕ある表情が音楽を活き活きとさせているのでしょう。

ヴァン・スヴィーテン三重奏団によるハイドンのピアノ三重奏曲全集からの1枚。メンバー構成によって音楽の造りがかわるのは当たり前でしょうが、このメンバーによるハイドンのピアノトリオは至福レベルの名演奏。古楽器演奏のピアノトリオではこれぞという1枚でしょう。メンバーが変わるとその部分が変わるのではなく、音楽のノリや造りまで変わってしまうのですね。興取りあげた4曲はもちろん全曲[+++++]とします。

さてさて、明日は晦日。そろそろ今月の1枚、そして今年の1枚を考えませんと、、、

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