作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

クーベリック/バイエルン放送響の時計1970年10月ライヴ(ハイドン)

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久々のライヴもの。

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ラファエル・クーベリック(Raphael Kubelik)指揮のバイエルン放送交響楽団(Bavarian Radio Symphony Orchestra)の演奏で、ハイドンの交響曲101番「時計」、バルトークの管弦楽のための協奏曲の2曲を収めたアルバム。このアルバムに演奏年の表記はありませんが、クーベリックのディスコグラフィのサイトによると収録は1970年10月1日、2日のライヴとのこと。レーベルは米FIRST CLASSICS。

Rafael Kubelík - Discographie - Discography

クーベリックのハイドンはこれまでにも4度取りあげています。

2012/07/24 : ハイドン–交響曲 : クーベリック/バイエルン放送響の99番1982年9月7日ライヴ
2012/01/27 : ハイドン–声楽曲 : クーベリック/バイエルン放送響の「戦時のミサ」
2010/10/11 : ハイドン–協奏曲 : フルニエ/クーベリックのチェロ協奏曲2番
2010/05/24 : ハイドン–オラトリオ : クーベリックの天地創造

クーベリックの紹介は99番の記事をご覧ください。

クーベリックは、多くの録音を残す事になったバイエルン放送響の首席指揮者として、1961年から79年までその任にありましたので、今日取り上げる1970年の頃は、まさにオケを完全に掌握していた頃でしょう。以前取りあげた、同じ組み合わせの後年の99番のライブが素晴しかっただけに、ちょっと期待が高まります。クーベリックの穏やかながらバランスのよいコントロールで聴く時計は、どうでしょうか。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
年代なりの粗さはあるものの、比較的鮮明な録音。音の実体感、骨格がしっかり出ているので聴きやすい録音です。予想通り、クーベリックらしいオーソドックスな序奏。穏やかな表情ながらじわじわと盛り上がっていきます。まさに王道を行くような安定感。中盤からの畳み掛けるような曲想のところでも、まったく慌てず、徐々に徐々に手綱を締めて、じわりと盛り上がります。アポロン的均衡が見事に保たれた、均整のとれた1楽章。
時計のリズムを刻むアンダンテは、まさにゆったりと時を刻むオーソドックスな時計。最近の演奏の多くがかなり速いテンポでキレよく進めると比べると時代を感じますが、このオーソドックスさを好む人も多いでしょう。やはりクライマックスに向け、じわりと盛り上げて行くクーベリックの穏やかな手腕が聴き所でしょう。
楽章の変わり目のテンポは超自然。最近の奇を衒った演奏を聴いているからこそ、この自然さが貴重です。メヌエットはわずかにレガートを効かせ、実に安定した演奏。教科書通りの誠実さ。まさに時計と言う曲の堅実さの真髄をつくような演奏。途中のフルートのソロの部分はフルートが浮かび上がるような不思議な浮遊感をうまく表現しています。ハイドンが書いたメロディーのオリジナルなイメージはこうだったのではないかとも思わせる説得力。
フィナーレに入っても気負う事なく、実に自然な演奏。手綱を強く引く事はなく、かわらず穏やか。迫力で聴かせると言う演奏ではなく、典雅な進行の面白さを聴けと言われているよう。確かにハイドンの書いた曲の艶やかな魅力がこの曲にはあり、明確にそこに表現のポイントを置いているよう。もちろんクライマックスでかなりの盛り上がりは聴かせますが、まったく破綻する事はなく、優雅な余韻を残します。ライヴとのことですが、拍手はカットされているようですね。

このあとのバルトークは上記のディスコグラフィが掲載されたサイトによると1968年頃のライヴのようですが、バルトークとなるとクーベリックもかなり力が入り、オケも髪を振り乱したようなかなりの迫力。前曲のバランスのとれたハイドンは、やはりハイドンに対するクーベリックの穏やかなイメージが解釈の根底にあるのでしょうね。

以前取りあげた後年の99番の覇気にくらべると、やはり穏やかさが目立ち、もう一超え踏み込んでほしいとも思わせる演奏でしたが、これはこれで名演だと思います。こうしたハイドンを振るひとはもうあまりいなくなっていますね。ハイドンの時計と言う曲の原風景のようなクーベリックのコントロールでした。評価は[++++]としておきましょう。

気づいてみれば、もうすぐ来年。今年もバタバタしているうちに暮れていきますね。

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