作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

グリフォン三重奏団のピアノトリオ集(ハイドン)

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いやいや、素晴しいアルバムが続きます。

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amazon(mp3)

グリフォン三重奏団(The Gryphon Trio)の演奏で、ハイドンのピアノ三重奏曲集(Hob.XV:27、XV:19、XV:25、XV:18)。収録は1996年6月、カナダ、モントリオール近郊の聖オーギュスタン・ミラベル教会(Église Saint-Augustin - Mirabel)でのセッション録音。レーベルはモントリオールのANALEKTA fleurs de lys。

このアルバムも湖国JHさんから、さりげなく送り込まれたもの。このところ借していただいているアルバムが尋常ではないものが多く、最初に音を出すときの緊張感ったらありません。ご多分に漏れず、このアルバムもCDプレイヤーにかけたとたん、瑞々しい響きに圧倒されました。

グリフォン三重奏団は1993年の設立。それまで一緒に演奏していたヴァイオリンのアナリー・パティパタナクーンとチェロのローマン・ボリスにピアニストのジェイミー・パーカーが加わり、トリオとなりました。トリオの名前となった「グリフォン」とは頭が鷲で体がライオンという架空の生き物。今年創立20周年のアニヴァーサリーということです。

ピアノ:ジェイミー・パーカー(Jamie Perker)
ヴァイオリン:アナリー・パティパタナクーン(Annalee Patipatanakoon)
チェロ:ローマン・ボリス(Roman Borys)

Gryphon Trio

オフィシャルサイトを見ると、現在もクラシック以外や現代音楽まで幅広く活躍しているようです。サイトのメンバーの写真を見ると、ジャケットの写真が若々しく見えます。

Hob.XV:27 / Piano Trio (Nr.43/op.75-1) [C] (1796)
いやいや冒頭から素晴しい透明感とバランスの良い美しい音色に耳を奪われます。ピアノのリズムのキレは抜群。アンサンブルの精度も文句なし。聴き慣れたこの名曲が見事に響きます。こうゆう普通の質の高い演奏は好きです。録音も超自然で適度な残響に適度なリアリティ。特にピアノの美しい余韻が秀逸。93年録音ですが、現在でも優秀録音と言える素晴しいもの。音量を上げて聴くと、まさに眼前にトリオが出現します。
つづくアンダンテに入ってもピアノの素晴しいプレゼンスは変わらず。ゆったりと刻まれる音楽に痺れます。ヴァイオリンもチェロも雄弁ではありませんが、アンサンブルの精度は高く微塵も乱れを感じさせる事はありません。まさに理想的な演奏とはこの事でしょう。
フィナーレの畳み掛けるような迫力も十分。やはりピアノが素晴しいキレ。ヴァイオリンとチェロもそれに応じて素晴しい盛り上がり。レベル高いです、このトリオ。ハイドンの名曲のまさに決定版的演奏。

Hob.XV:19 / Piano Trio (Nr.33/op.70-2) [g] (before 1794)
短調の名曲。前曲につづき完璧な入り。ピアノも弦も触ると切れそうなほどの鋭敏な感覚をもちながら、実に自然な音楽の流れ。キレよく自然であるという理想的な演奏。この曲でも素晴しい録音によって、眼前でトリオが弾いているような素晴しいリアリティ。良く聴くと、崩しているところもあり、しっかりとアクセントを刻み、時折静寂を印象づけ、3人のアンサンブルの面白さを極限まで引き出している事がわかります。

Hob.XV:25 / Piano Trio (Nr.39/op.73-2) [G] (1795)
これまた名曲、ジプシー・ロンド。すでにこのトリオの素晴しい演奏にノックアウト気味。クリスマスイブでちょっとモルトをたしなんでいるので、至極いい気分。爽やかな響きの1楽章ですが、すこしテンポをゆっくり気味にとり、しっとりとした味わいを感じさせます。ポコ・アダージョはゆったり奏でられるピアノの宝石箱のような音楽に酔います。ピアノにのって奏でられるヴァイオリンは派手さはないものの、誠実さに打たれるような演奏。そしてフィナーレのジプシー・ロンド意外と落ち着いたスタンスで、ジプシー風の音楽を楽しんでいるよう。趣向を凝らしたアゴーギクでスリリングさ満点。

Hob.XV:18 / Piano Trio (Nr.32/op.70-1) [A] (before 1794)
最後は穏やかな表情が印象的な曲をもってきました。選曲、曲順のセンスとも抜群。最後はピアノの落ち着いた曲運び、それにあわせるヴァイオリンとチェロの絶妙の呼吸が聴き所。時折訪れる静寂が沁みます。孤高の表情で弾き進め、こちらもそれにあわせて深くリラックス。消え入るような響きが印象的。
アンダンテはまさに孤高の境地。宝石のようなピアノの音階が訥々と語られるように進み、ヴァイオリンとチェロが寄り添うように哀しげな旋律を重ねていきます。表現がここまで深まろうとは。ゆったりと室内楽を聴く楽しみに溢れた曲。
フィナーレはさっと光が差したような変化。軽やかなメロディーに変わり、アンサンブルにピアノが加わることで響きの透明感が増しています。これだけの軽やかさをもたらすとはハイドンのマジックなのでしょうか。弦楽四重奏曲とは全く異なる室内楽の魅力を思い知らされます。この軽さ、尋常ではありません。見事。

まったくはじめて聴くトリオでしたが、その演奏のあまりの素晴しさに圧倒されっぱなしです。これは名盤ですね。正統的で、音楽を聴く楽しみ、室内楽を聴く楽しみが詰まった素晴しいアルバム。偶然クリスマス・イヴに聴く事となりましたが、この幸福感はそう得られるものではありません。多くの方に聴いていただきたい絶品のアルバムです。残念ながら現役盤ではなさそうですが、amazonではmp3が登録されていますので、音楽を楽しむ事はできそうです。もちろん評価は[+++++]。参りました。

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