作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】リサ・ラーションのアリア集(ハイドン)

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久しぶりの声楽曲。

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リサ・ラーション(Lisa Larsson)のソプラノ、ヤン・ヴィレム・デ・フリエンド(Jan Willem de Vriend)指揮のコンバッティメント・コンソート・アムステルダム(Combattimento Consort Amsterdam)の演奏で、「レディー・ファースト」と名付けられたハイドンのオペラ・アリア集SACD。収録は2012年1月10日から11日、2012年8月24日から27日、アムステルダムのシンゲル教会(Singelkerk)でのセッション録音。レーベルは蘭CHALLENGE CLASSICS。

このアルバム、リリースされたばかりですが、amazonしか取扱いがありません。

リサ・ラーションははじめて聴く人。コープマンのバッハのカンタータ集などで歌っている人との事。1967年スウェーデンに生まれたソプラノ歌手。最初はフルーティストだったようですが、バーゼルで学び、1993年からチューリッヒ歌劇場のメンバーとなり、フランツ・ウエルザー=メスト、ニコラウス・アーノンクール、クリスト・フォン・ドホナーニなどと共演。スカラ座では1995年にムーティの魔笛でパパゲーナを歌うなど、以降ヨーロッパの歌劇場で活躍しています。

指揮者のヤン・ヴィレム・デ・フリエンドは1962年、オランダのライデン生まれの指揮者、ヴァイオリニスト。アムステルダム音楽院、ハーグ王立音楽院などで学び、1982年にこのアルバムのオケであるコンバッティメント・コンソート・アムステルダムを設立、17世紀から18世紀の音楽を中心に演奏し、多くの録音も残しています。アルバムへの記載はありませんが、古楽器オケのようですね。

Hob.XXIVa:10 / Scena di Berenice "Berenice, che fai" ベレニーチェのシェーナ「ベレニーチェ、何をしようとしているのか?」 [D-f] (1795)
この曲はハイドンが第2回のロンドン旅行で交響曲99番から104番を作曲していたころに作曲されたもの。当時のイタリアの名ソプラノ、ブリギッタ・ジョルジ・バンティのために書かれた曲。恋人の死を嘆き、霊があの世に旅立つ際、連れて行ってほしいと乞う場面を歌った劇的な内容。
最新の鮮明な録音。すこし狭い響きの少ない教会で、残響を活かして収録されている感じ。オケは古楽器らしい鋭い響き。かなりアクセントがハッキリ刻まれれた、劇的な曲調を踏まえた演奏。特に抑えた部分の繊細なコントロールが素晴しいですね。古楽器オケの演奏としてはかなり表情の濃いものですが、くどい感じはありません。ラーションのソプラノは可憐さを主体に、声量はそこそこながら、非常に艶やかで、語りと歌の表情の変化のコントロールが巧み。クライマックスに向けた盛り上げ方も見事。線は細いものの、その良さを感じさせる好きなタイプのソプラノ。かなりの実力派とみました。

Hob.XXVIII:12 / "Armida" 「アルミーダ」 (1783)
アルミーダの序曲。ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート各1、ホルン、バスーン、オーボエ各2と小編成による演奏。クリアな響きで、かなりリズムを強調した演奏。中間部の沈みこみも深く、劇的な演奏。古楽器ではフスの演奏が印象に残っていますが、響きの純度は近いものの、かなり劇性を強調しています。これはこれで悪くありません。

Hob.XXVIII:13 / "L'anima del filosofo, ossia Orfeo ed Euridice" 「哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ」 (1791)
つづいては、ハイドン最後のオペラ、そしてエステルハージ家のため以外に書かれた唯一のオペラ「哲学者の魂、またはオルフェオとエウリディーチェ」の2幕からの3曲。レチタティーヴォにつづいてしっとりと歌われるエウリディーチェのしっとり語るような魅力ある歌唱が聴き所。

Hob.XXVIb:2 / Cantata "Arianna a Naxos" 「ナクソスのアリアンナ」 [E flat] (c.1789)
当ブログでもかなりの演奏を取りあげている演奏。数えてみるとこれで13演奏目。通常ピアノ伴奏で歌われる事が多いですが、オケによる伴奏版。これまでではバルトリ/アーノンクール盤、オジェー/ホグウッド盤のみがオケによる伴奏を採用しています。語るように柔らかく寄り添うオケ。ラーションは感情を表に出すのではなく、淡々と美しい声で歌い上げていきます。途中からオケのキレが良くなり、緊迫感が増しますが、ラーションはしなやかな歌で諌める感じ。オケの表現の幅の広さと歌の美しさが聴き所でしょう。

Hob.XXVIII:9 / "L'isola disabitata" 「無人島」 (1779)
つづいて歌劇「無人島」から序曲とアリア。序曲は、先程のアルミーダ同様、小編成オケのキレの良さ全開。このキレ、以前取りあげたヌリア・リアルの伴奏を担当したミッヒ・ガイックの振るオルフェオ・バロック管弦楽団に近いものがありますね。畳み掛けるように攻め込み、金管は炸裂、ハイドンの序曲のスペクタクルな音楽を聴き応え十分に演奏します。
アリアは第1部のシルビアのアリア「甘い錯乱のなかで」という曲。タイトル通り、実に甘い雰囲気の優雅な音楽。これまでの曲の中では一番ラーションの声質に合っています。美しいソプラノにうっとり。

Hob.XXVIII:5 / "L'infedeltà delusa" 「裏切られた誠実」 (1773)
サンドリーナのアリア、"E la pompa un grand'imbroglio"とありますが、神々しく祝祭的な序奏からはじまるカンタータの様な曲。自動翻訳にかけると「ポンプはまったくの詐欺」とのこと(笑)ラーションのいろいろなタイプの歌が楽しめると言う意味ではなかなか良い選曲。

Hob.XXIVb:3 / Aria di Nannina "Quando la rosa" for for Pasquale Anfossi's "La metilde ritrobata", Act 1 Scene 7 「薔薇に刺がなくなったら」アンフォッシの歌劇「メティルデの再会」への挿入曲 [G] (1779)
この曲、ライナーノーツのホーボーケン番号はXXXIVb:3ですが、曲名などからこれは誤りで、XXIVb:3でしょう。ハイドンが別の作曲家のオペラのために書いた挿入アリア。コケティッシュなラーションの魅力が際立ちます。(ハート)

Hob.XXVIII:5 / "L'infedeltà delusa" 「裏切られた誠実」 (1773)
最後は再び「裏切られた誠実」からヴェスピーナのアリア"Trinche vaine allegramente"。自動翻訳にかけても良くわかりません。最後は陽気に騒ぐ場面。まさにオペラの一場面のような臨場感です。

リサ・ラーションの歌うハイドンのオペラアリア集。ラーションは良く磨かれた非常に美しい声の持ち主。迫力はほどほどですが、艶やかな声質と高音の美しさはなかなか。好きなタイプの声です。ハイドンのオペラの名場面を、古楽器の表現力豊かなオケにあわせて華麗に歌い上げます。最新録音のSACDということで録音も万全。これまでヌリア・リアルの素晴しい歌曲集をおすすめしてきましたが、このアルバムも負けず劣らずです。このアルバムの魅力はヤン・ヴィレム・デ・フリエンド指揮のコンバッティメント・コンソート・アムステルダムの伴奏にもあり、まさに曲、歌、伴奏の三拍子そろった名盤でした。評価は全曲[+++++]とします。歌曲好きの皆さん、これは買いです!

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