作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

【新着】ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの交響曲99番、時計、軍隊(ハイドン)

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知らぬ間に第3弾がリリースされていたようです。このシリーズ、なかなか粋なジャケットデザインです。

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amazon / TOWER RECORDS

ブルーノ・ヴァイル(Bruno Weil)指揮のカペラ・コロニエンシス(Cappella Coloniensis)の演奏で、ハイドンの交響曲99番、101番「時計」、100番「軍隊」の3曲を収めたSACD。収録は2012年9月29日、2013年2月16日の両日、ドイツ、エッセンにあるエッセン・フィルハーモニーのアルフレッド・クルップホールでのライヴ。レーベルは独Ars Production。

ヴァイルのハイドンはトーマス・ファイなどと同様、かなりの回数取りあげています。

2013/05/09 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル/ターフェルムジークの86番
2012/08/11 : ハイドン–管弦楽曲 : ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの「十字架上のキリストの最後の七つの言葉」
2012/01/24 : ハイドン–オラトリオ : ブルーノ・ヴァイル/カペラ・コロニエンシスの四季
2011/08/14 : ハイドン–声楽曲 : 【お盆特番4】ブルーノ・ヴァイルのテレジアミサ、ネルソンミサ
2011/01/10 : ハイドン–オラトリオ : ブルーノ・ヴァイルの天地創造
2010/12/25 : ハイドン–交響曲 : 【年末企画】ブルーノ・ヴァイルの交響曲50番、64番、65番
2010/03/08 : ハイドン–交響曲 : ブルーノ・ヴァイル、ザロモンセットへ

いろいろ書いているとおり、最近のカペラ・コロニエンシスとの演奏は、昔の溌剌としたヴァイルの良さから、かなり落ち着いてきていますので、好みも別れる所でしょう。このアルバム、久しぶりのヴァイルの新譜と言う事で何となく気になっていました。

Hob.I:99 / Symphony No.99 [E flat] (1793)
予想通り、さっぱりと速めのテンポで入ります。先日ファイの新譜を聴いたばかりですが、ヴァイルも新参者ファイに負けてはおれぬとの気合いの入った演奏。ファイよりも変化は少なめですが、キビキビとしたオケの魅力はターフェル・ムジークとの時代を彷彿とさせるもの。一時落ち着いてしまったと思ったんですが、ヴァイルのキビキビとタイトな演奏の魅力は健在でした。中盤以降は素晴しい推進力で畳み掛ける迫力に溢れたもの。ライヴですが会場ノイズは皆無で音響処理をしているのでしょう。
アダージョはゆったりと盛り上がる魅力に溢れた曲ですが、ヴァイルのアプローチは古楽器的な音色を活かしたさっぱりとした感興で聴かせるもの。途中さらりとフルートの音色の透明感が際立つ部分が印象的。ジャケット写真を見ると管楽器は古楽器ですね。メヌエットはキビキビとしたオーケストラコントロールで聴かせます。
期待のフィナーレはファイが千変万化する表情の変化で聴かせたものを、ヴァイルはオーソドックスながら、各楽器の面白い響きを重ねて油彩で色を置いていくような練りをを感じるもの。途中テンポを落としたところのカジュアルな表現など、ハイドンの面白さを知り尽くした人ならではの工夫があります。分厚いオケに奏者の息づかいを感じるような各楽器の面白い響き。なかなかいい99番です。拍手はカットされています。

Hob.I:101 / Symphony No.101 "Clock" 「時計」 [D] (1793/4)
時計も序奏は速目でさっぱりとしたもの。やはり主題に入るとがっちりとしたオケによる推進力溢れる演奏。オケは適度に粗いのですが、それが良い方向に働いてます。時計の良さは1楽章にあると確信している私にとって、このヴァイルの畳み掛けるように推進していく演奏は理想的。モダン、スタイリッシュでかつオーセンティックなところをおさえたバランスの良い演奏と言っていいでしょう。
有名な時計のアンダンテは速い速い。予想はしてましたが、まるでおとぎの国の時計のような微笑ましさ。中盤以降の激しいフレーズに入っても快速テンポは変わらず、グイグイいきます。落ち着かないぐらい速い。
その勢いを受けて、メヌエットも比較的速いテンポで楽天的に入ります。音楽に勢いがあるせいか、アクセントもきっちり効いてメリハリも十分。
そして最後のフィナーレは、なぜかほっとするような落ち着きを帯びています。もちろんクッキリとして推進力もほどほどあるのですが、全体に音楽がなじんで、ゆったりと流れる印象があります。カペラ・コロニエンシスの低音弦の迫力はなかなか見事。クライマックスはオケが振り切れんばかりに鳴って終了。

Hob.I:100 / Symphony No.100 "Military" 「軍隊」 [G] (1793/4)
そして、期待の軍隊。この曲も最近ファイの名演に接しています。ヴァイルの演奏はオーソドッックスなものですが、前曲からの流れの影響か、落ち着きが感じられます。やはり、じっくりと歌う部分の存在が曲を落ち着かせます。堂々として、風格があり、穏やかでもある演奏と良いでしょう。風格の1楽章。
そして軍隊の行進を描いたアレグレットは普通にはじまりますが、ここぞの爆発が凄い。普通の演奏とは異次元のアクセント。床を踏み鳴らすような音まで聴こえて、ハイドンの機知に応えているよう。なかなかユニーク。打楽器陣大活躍。流石SACDだけあって鮮明に響きます。
メヌエットは響きの余韻を楽しむよう。十分ダイナミックなんですが、前楽章が異次元のダイナミックさだったので、流麗、穏やかな演奏に聴こえるのが不思議なところです。
フィナーレも同様、最初は大人しく、テンポもすこし穏やか目に聴こえますが、徐々に盛り上がり、特に固い音のティンパニが加わると響きが引き締まり、最後は爆発します。やはり軍隊はこうこなくては。

久々にブルーノ・ヴァイルらしいハイドンを聴くことができました。硬質な響きと鋭いアクセントが決まったときのキレは流石というところ。ただし、ターフェル・ムジークとの初期交響曲、パリセットの飛ぶ鳥を落とす勢いの演奏とくらべると、やはり落ち着いていて、あと一歩の踏み込みを求めたくなってしまうのも正直なところ。迫力のコントロールは見事ですが、逆に曲としての音楽的なまとまりについては、これ以上の演奏も増えてきているというのが正直なところでしょう。私の評価は3曲とも[++++]とします。

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