ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノの弦楽四重奏曲Op.76(ハイドン)

amazon
ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノ(Giovane Quartetto Italiano)の演奏で、ハイドンの弦楽四重奏曲Op.76の6曲を収めた2枚組のアルバム。収録は1990年、ミラノでのセッション録音。録音会場についての記載はありません。レーベルはスイスのclaves。
ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノという団体、ジョヴァンヌを抜かすと名クァルテットの名前になります(笑)
クァルテットの名前で検索しても、アルバムとして表示されるのはこの1枚のみ。しかも現役盤ではないということで、クァルテット自体も現在存在しないかもしれません。非常に珍しいアルバムということでしょう。ライナーノーツによるとこのクァルテット、1982クレモナで設立されたクァルテット。1985年にはニューヨークのリンカーン・センターで開催されたイタリア・オン・ステージという音楽祭に招かれたとのこと。その後リヒテルに招かれ、1988年にモスクワツアーを行いモスクワ音楽院のホールで演奏し、ボロディン四重奏団と八重奏を行ったこともあるそう。日本にも来ているとの記載があるので、もしかしたら聴かれた方もいるのではないかと思います。記載によるとハイドン以外にもいろいろと録音がリリースされていたようですが、現在は流通していないということでしょう。メンバーは下記のとおり。
第1ヴァイオリン:アレッサンドロ・シモンチーニ(Alessandro Simoncini)
第2ヴァイオリン:ルイジ・マッツォ(Luigi Mazza)
ヴィオラ:デメトリオ・コムッツィ(Demetrio Comuzzi)
チェロ:ルカ・シモンチーニ(Luca Simoncini)
今や幻のクァルテットという存在になってしまったようですが、このアルバムはamazonではまだ手に入ります。今日はOp.76から、なぜかこれまで一度もレビューに取りあげていないNo.6を取りあげます。
Hob.III:80 / String Quartet Op.76 No.6 [E flat] (1797)
冒頭からイタリアのクァルテットらしい、伸びのある弦楽器が印象的。4人の奏者がそれぞれ自身の担当するパートの線を太めの筆でしっかり描いて行くような演奏。パートそれぞれのフレージングは、かなりメリハリがしっかりしており、なるほど、その演奏はイタリアのクァルテットの伝統を踏まえたもの。ハイドンの曲をイタリア風にしっかり料理して、流石のプレゼンス。
素晴しかったのがつづくアダージョ。1楽章も良かったのですが、ヴィブラートがしっかりかかった各パートの音色とフレージングがピタリとそろってクッキリとハイドンのアダージョの旋律を描いて行きます。メロディーの彫りが深く、かっちりと表情をつくっていくあたり、ミケランジェロの彫像のような、デフォルメされた彫りの深さが醸し出すアーティスティックな表情がたまりません。禁欲的ですらある高みに至ったアンサンブル。有無をもいわせぬ説得力があります。録音は各楽器の音像をオンマイクでしっかり捉えたもの。もしかしたらイタリア四重奏団よりもイタリアっぽいかもしれません。鳥肌が立つような緊張感。
メヌエットは第1ヴァイオリンのアレッサンドロ・シモンチーニの美音が耳に刺さるよう。楽器の記載はありませんが、さぞ良い楽器を使っていそう。途中からソロの演奏に惹き付けられるチェロも素晴しく艶やかな音色。流石クレモナのクァルテットと唸るばかりです。ヴァイオリンの音色がスピーカーから刺さるように飛んできます。テンポ設定が目立つことはなく、中庸な設定ですが、弦楽器の弦を擦る音の魅力を思い知らされるような、鋭く艶やかな音色に圧倒されます。
フィナーレも同様、畳み掛けるフレーズの連続、アンサンブルの鋭いキレはカミソリのよう。眼前にせまるアンサンブルに圧倒されます。部屋の中のまさに目の前にクァルテットが来ているようなリアリティ。美音の連続に痺れます。これは実際に聴いていただかなくてはわからないでしょう。まさに圧倒的なフィナーレ。あまりに見事な演奏に呆然とするばかり。ブラヴォー。
いやいや、びっくらこきました。あまりのリアリティとキレ味にこちらがキレそう。イタリアのクァルテットの素晴らしさがすべて詰まったような見事な演奏。リアルに定位する素晴しい録音と相俟って、ハイドンの弦楽四重奏曲がイタリア人の手にかかって、これほどまでに研ぎすまされた響きを得るとは思ってもみませんでした。冒頭に触れたように、このクァルテットの録音はこのアルバム以外には、中古でも流通していなようですが、これは素晴らしい。もちろん評価は[+++++]とします。あまりの素晴らしさに、腰を抜かしそうです。他の5曲もむらなく素晴らしい仕上がり。このアルバム、弦楽四重奏好きの皆さんは、是非手に入れるべきでしょう。絶対のオススメ盤です!
- 関連記事
-
-
ロータス・カルテットの五度、Op.20のNo.4(ハイドン)
2013/12/16
-
イタリア四重奏団の鳥(ハイドン)
2013/12/09
-
シュパンツィヒ四重奏団の弦楽四重奏曲集Vol.1(ハイドン)
2013/12/08
-
デカニー弦楽四重奏団のOp.1(ハイドン)
2013/11/22
-
ジョヴァンヌ・クァルテット・イタリアーノの弦楽四重奏曲Op.76(ハイドン)
2013/11/10
-
ジラール四重奏団のOp.76のNo.5(ハイドン)
2013/11/07
-
エルメス四重奏団のOp.20のNo.5(ハイドン)
2013/11/05
-
【新着】シュパンツィヒ四重奏団の弦楽四重奏曲集(ハイドン)
2013/10/21
-
ファイン・アーツ四重奏団のOp.74(ハイドン)
2013/10/05
-