作曲家ヨーゼフ・ハイドンの作品のCD、LP、映像などを収集しレビューしています。膨大なハイドンの作品から名盤、名演奏を紹介します。

エルメス四重奏団のOp.20のNo.5(ハイドン)

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ちょっと番外記事が続きましたので、正常化。レビュー対象盤はいろいろたまっているのですが、今日は1曲もののアルバムに行かざるを得ません。遅く帰ったのであまり時間がないんですね、スミマセン。

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HMV ONLINEicon / amazon / TOWER RECORDS

エルメス四重奏団(Quatuor Hermès)の演奏でハイドンの弦楽四重奏曲Op.20のNo.5、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲12番の2曲を収めたアルバム。収録は2012年6月3日から8日にかけて、響きの良いホールとして知られるスイス、ラ・ショー=ド=フォンの音楽ホールでのセッション録音。レーベルはharmonia mundi傘下のnascor。

エルメス四重奏団は初めて聴くクァルテット。2008年、リヨン国立高等音楽・舞踊学校のゾルタン・トートと北浜玲子(ラヴェル弦楽四重奏団)のクラスの4人の生徒が結成したクァルテット。結成以来積極的コンサート活動を行っていますが、中でもギドン・クレーメルが主催するオーストリアのロッケンハウス音楽祭に招かれ、キム・カシュカシアンや、クレメラータ・バルティカのメンバーと共演しているとの事。様々な賞を受賞している実力派のようですが、代表的なところでは、2011年のジュネーヴ国際音楽コンクールで優勝、クー・ド・クール・ブレゲ賞を受賞しています。最近ではアルテミス四重奏団、イザイ四重奏団などとともに学んでいるとの事。メンバーは下記のとおりです。

第1ヴァイオリン:オメール・ブシェーズ(Omer Bouchez)
第2ヴァイオリン:エリーゼ・リュウ(Élise Liu)
ヴィオラ:ユン=シン・チャン(Yung-Hsin Chang)
チェロ:アンソニー・コンドウ(Anthony Kondo)

Hob.III:35 / String Quartet Op.20 No.5 [f] (1772)
流石に美しく鮮明な響き。静寂の中にクァルテットが浮かびますが、実体感と迫力はほどほど。演奏はすこし様子を探るような引いたような姿勢の入り。第1ヴァイオリンのブシェーズの演奏は、アンサンブルの精度を狙ったというよりも一人楽器を良く鳴らそうというような演奏で、共演しているクレーメルの演奏スタイルに近いものがありますが、あの殺気に満ちた緊張感はなく、影響を受けながらも器が違うと言うのが正直なところ。曲が進むにつれて少しリラックスしてきているのか、音楽がしなやかになってきます。第1ヴァイオリンと他の3人の表情の濃さに明らかに差があり、多少単調な印象を与えてしまうのが惜しい所。迫力と言う面でももう一歩踏み込みが欲しいところです。
メヌエットに入っても演奏スタイルは変わらず、力を抜いて穏やかに音楽を鳴らしていくような演奏。もう少し遊び心を感じさせたりできると、彼らのスタイルが活きるでしょうか。
少し印象が変わったのがこのアダージョから。音楽がしっとりと溶け合い、4人の呼吸が今までよりも合ってきて、音楽が活き活きとし始めます。軽いタッチの美しさが印象に残るようになり、響きの美しさも磨かれてきました。この繊細なタッチの美しさはなかなかのもの。
フィナーレのフーガはなぜかミニマルミュージック風、抽象的な響きに聴こえます。意図して狙ったのでしょうか。ハイドンの生きた時代背景や演奏スタイルとは視点が違う演奏ということでしょう。演奏によっては畳み掛ける迫真の響きが聴ける楽章ですが、アプローチが異なると、印象もがらっと変わるものだと再認識。

この演奏、何度か聴いているうちになじんでくるのが不思議なところ。エルメス四重奏団は髪を振り乱してダイナミックに演奏する場面はなく、落ち着いてしっとりと音楽を聴かせるスタイル。そして精妙というよりは素朴な演奏を得意としているようです。若手としては珍しい演奏スタイルでしょう。ハイドンについては、多くの先人の演奏と比べて、彼らのスタイルに新鮮さがあるかと言えば、多少はあるというところでしょうが、ハイドンの演奏としての面白さといった点からは一石を投じることにはならなかったと思います。評価は[+++]としたいと思います。

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